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25-9(夏樹視点)
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13時。
宿泊するホテルにチェックインをして、部屋に入ったところだ。あらかじめ依頼しておき、通常よりも早い時間に入らせてもらった。俺と黒崎が同じ部屋で、朝陽は同じ階の別の部屋で泊まる。荷物を下ろして昼ご飯を済ませたらもう出るから、急いでテーブルの上にパンを並べた。家の近くで買ってきてあったパンだ。朝陽にはもう渡してあるから、今頃食べているだろう。大学で培った早食いという方法で、一瞬で終わらせると言っていた。
俺も食べたら良いが、なんだかお腹が空いていない。そこで、黒崎に食べてもらおうとすると、一口だけでも食べておけと言われた。俺は素直にそうしておき、ペットボトルのお茶を飲んで、パンを胃に流し込んだ。黒崎の方はもう3つめに取りかかっている。クロワッサン類だ。
「黒崎さん。朝陽の様子を見てくるよ。心配だからさ」
「ああ、頼む」
「行ってくるよ」
パンを食べている黒崎に手を振り、俺は部屋を出た。ほんの数メートル先にある部屋だ。その1215室のドアをノックした。すると、ドアが開き、口をもぐもぐさせている朝陽が出てきた。見た感じは普通だ。ここに着いたときにため息をついていたから心配だった。親子鑑定のあるホテルではないのに、もうそんなにネガティブになっているから、これから倉口家に行くというのに大丈夫なのかという思いもあった。朝陽のことを気が弱いと言っているわけでは無い。誰だって気が重いはずだ。しかし、今から意気消沈していると、これからのことを乗り越える体力が無いと思った。そして、心に負担が掛かりすぎかも知れないと思った。
「朝陽。大丈夫かよ?食べているなら良かったけど……」
「お腹は空いていたよ。夏樹こそ、食べたの?」
「一口だけだよ。食欲が無いんだ」
「お兄ちゃんがよく許したな。絶対に一個は食べさせると思っていたよ」
「最近はそうでもないんだ。俺、朝はしっかり食べてきたからさ。ごめんね。食べているのに。また迎えに来るよ」
「もう出られる。3個食べたから、もうお腹いっぱいだ」
「本当に早食いなんだね~」
「うん。待ってて」
そう言って、朝陽がペットボトルのお茶を飲んだ。そして、ふうっと息を吐き、バッグを持って部屋を出てきた。本当にもう出られるそうだ。Tシャツとズボン姿だ。肩に掛けてあるバッグも服もオンライズのもので揃えられており、六槍さんが強引に持ってきたから着ないと悪いと言っていたとおりだと思って、面白くて笑った。すると、朝陽も笑った。
「夏樹。やっと笑ったな」
「俺、引きつった顔をしていたかな?」
「ううん。そうでもないけど、いつもより笑わないなって思って見ていたよ。さあ、お兄ちゃんのところに行こうよ」
「うん」
俺達の部屋は1208号室だ。鍵は開いたままだから、ノックをすること無くドアを開けると、黒崎がもう出る支度をしているところだった。俺のバッグを持ってくれている。
「黒崎さん。朝陽がもう出られるってさ」
「素早い支度だな。褒めてやる」
「ありがとう。お兄ちゃんも早食いだな」
朝陽が黒崎の前に立った。とても怖がっているようには見えないから、空港で言っていたのは冗談だったのだろう。2人が並んでいるところを見ると、ママに似ているとは思うが、違う顔立ちをしている。知り合いの人に父親違いの兄弟だと言ったら、なるほどと納得しそうだ。しかし、2人は兄弟の絆が出来ていると思う。黒崎は朝陽のことを何かと気にして可愛がっている。朝陽の方は驚くことがあるようで、面食らった顔をすることがあるが、たまにしか会わないからそうなのだと思う。もっと近くで暮らしていて、頻繁に黒崎と会っていたら、偉そうな口調は愛情からだと分かるだろう。いや、もう分かっているのか。朝陽が黒崎から話しかけられて、時々笑顔で頷いている。
「朝陽。家に着いたら真っ直ぐに自分の部屋に行け。倉口と話すときには荷物整理の手を止めるな。話しながらやれ。俺達もそばにいる」
「うん。話すことは無いけどね。こんな言い方したら悪いとは思っているよ。俺のことを育ててくれた父親に対してさ。でも、俺は……」
「そうか。もう出るぞ。夏樹。来い」
「うん」
朝陽が言葉に詰まったから、黒崎が肩を叩き、エレベーターへと促した。俺も付いていった。そして、1階まで降りて外に出て、湿気の混ざった風を感じた。ホテルのエントランスの車寄せにはタクシーが停車しており、さっそく俺達はその車に乗り込んだ。行き先は倉口家だ。
乗り込んだ後、黒崎が倉口さんに電話を始めた。予定通りに着きそうだと。その時、朝陽は緊張しているようで、顔をこわばらせていた。そこで、俺は朝陽の手を取り、さすって、俺も緊張していると伝えた。
宿泊するホテルにチェックインをして、部屋に入ったところだ。あらかじめ依頼しておき、通常よりも早い時間に入らせてもらった。俺と黒崎が同じ部屋で、朝陽は同じ階の別の部屋で泊まる。荷物を下ろして昼ご飯を済ませたらもう出るから、急いでテーブルの上にパンを並べた。家の近くで買ってきてあったパンだ。朝陽にはもう渡してあるから、今頃食べているだろう。大学で培った早食いという方法で、一瞬で終わらせると言っていた。
俺も食べたら良いが、なんだかお腹が空いていない。そこで、黒崎に食べてもらおうとすると、一口だけでも食べておけと言われた。俺は素直にそうしておき、ペットボトルのお茶を飲んで、パンを胃に流し込んだ。黒崎の方はもう3つめに取りかかっている。クロワッサン類だ。
「黒崎さん。朝陽の様子を見てくるよ。心配だからさ」
「ああ、頼む」
「行ってくるよ」
パンを食べている黒崎に手を振り、俺は部屋を出た。ほんの数メートル先にある部屋だ。その1215室のドアをノックした。すると、ドアが開き、口をもぐもぐさせている朝陽が出てきた。見た感じは普通だ。ここに着いたときにため息をついていたから心配だった。親子鑑定のあるホテルではないのに、もうそんなにネガティブになっているから、これから倉口家に行くというのに大丈夫なのかという思いもあった。朝陽のことを気が弱いと言っているわけでは無い。誰だって気が重いはずだ。しかし、今から意気消沈していると、これからのことを乗り越える体力が無いと思った。そして、心に負担が掛かりすぎかも知れないと思った。
「朝陽。大丈夫かよ?食べているなら良かったけど……」
「お腹は空いていたよ。夏樹こそ、食べたの?」
「一口だけだよ。食欲が無いんだ」
「お兄ちゃんがよく許したな。絶対に一個は食べさせると思っていたよ」
「最近はそうでもないんだ。俺、朝はしっかり食べてきたからさ。ごめんね。食べているのに。また迎えに来るよ」
「もう出られる。3個食べたから、もうお腹いっぱいだ」
「本当に早食いなんだね~」
「うん。待ってて」
そう言って、朝陽がペットボトルのお茶を飲んだ。そして、ふうっと息を吐き、バッグを持って部屋を出てきた。本当にもう出られるそうだ。Tシャツとズボン姿だ。肩に掛けてあるバッグも服もオンライズのもので揃えられており、六槍さんが強引に持ってきたから着ないと悪いと言っていたとおりだと思って、面白くて笑った。すると、朝陽も笑った。
「夏樹。やっと笑ったな」
「俺、引きつった顔をしていたかな?」
「ううん。そうでもないけど、いつもより笑わないなって思って見ていたよ。さあ、お兄ちゃんのところに行こうよ」
「うん」
俺達の部屋は1208号室だ。鍵は開いたままだから、ノックをすること無くドアを開けると、黒崎がもう出る支度をしているところだった。俺のバッグを持ってくれている。
「黒崎さん。朝陽がもう出られるってさ」
「素早い支度だな。褒めてやる」
「ありがとう。お兄ちゃんも早食いだな」
朝陽が黒崎の前に立った。とても怖がっているようには見えないから、空港で言っていたのは冗談だったのだろう。2人が並んでいるところを見ると、ママに似ているとは思うが、違う顔立ちをしている。知り合いの人に父親違いの兄弟だと言ったら、なるほどと納得しそうだ。しかし、2人は兄弟の絆が出来ていると思う。黒崎は朝陽のことを何かと気にして可愛がっている。朝陽の方は驚くことがあるようで、面食らった顔をすることがあるが、たまにしか会わないからそうなのだと思う。もっと近くで暮らしていて、頻繁に黒崎と会っていたら、偉そうな口調は愛情からだと分かるだろう。いや、もう分かっているのか。朝陽が黒崎から話しかけられて、時々笑顔で頷いている。
「朝陽。家に着いたら真っ直ぐに自分の部屋に行け。倉口と話すときには荷物整理の手を止めるな。話しながらやれ。俺達もそばにいる」
「うん。話すことは無いけどね。こんな言い方したら悪いとは思っているよ。俺のことを育ててくれた父親に対してさ。でも、俺は……」
「そうか。もう出るぞ。夏樹。来い」
「うん」
朝陽が言葉に詰まったから、黒崎が肩を叩き、エレベーターへと促した。俺も付いていった。そして、1階まで降りて外に出て、湿気の混ざった風を感じた。ホテルのエントランスの車寄せにはタクシーが停車しており、さっそく俺達はその車に乗り込んだ。行き先は倉口家だ。
乗り込んだ後、黒崎が倉口さんに電話を始めた。予定通りに着きそうだと。その時、朝陽は緊張しているようで、顔をこわばらせていた。そこで、俺は朝陽の手を取り、さすって、俺も緊張していると伝えた。
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