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トントン。倉口さんが階段を下りていく音を聞きながら、俺達は作業を続けた。段ボールは全部使わないと思うから、5箱だけ組み立てたところだ。黒崎はやることがないから、ベッドの上に座った。そして、腕を組み、朝陽の部屋の中を眺め始めた。
「黒崎さん。ペットボトルのお茶を飲んだら?冷えていないけど。ここにあるよ」
「ああ。お前達が作業をしているところをすまない」
「いいんだよ。朝陽も飲みなよ。あ、でも、トイレに行きたくなったら困るね。下に下りるのは、帰る時だけにしたいだろ」
「大丈夫だよ。でも、クーラーが効いてきたから、まだ飲まなくて平気だ。思ったよりも早く終わりそうだよ。ここにあるやつ、全部持って行ったら、選ばなくていい」
「そうだね。5箱で済みそうかな?けっこう服があるね。朝陽って、物が少ないタイプだと思っていたよ」
「お母さんが買ってきてくれていたんだ。ここにあるのは高校に入ったときの服もあるから、けっこう詰まっているよ。もう小さくて入らないやつだ」
「パーカーとTシャツだね。ジーンズもあるね。一枚ずつ持って行ったら?それか、全部持って行く?黒崎さんの読みは当たったよ。段ボールを10枚用意して良かったね」
「全部持って行け。ただし、今の家に入りきらないだろうが……。寝る場所が無くなる。それも考えておけ」
「あ、そうだね。うちに送る?俺の部屋に運んだら何とかなるよ」
「いい。自分のアパートに送ってもらうよ」
がさ。朝陽が服を段ボールの中に入れた。そして、小学校と中学の卒業証書が入った筒を、一番上に入れた。この段ボールはいっぱいになった。俺が封をすることにして、ガムテープを手に取った。
ビーーーー。ガムテープを引っ張って、段ボールに貼り付けた。朝陽が次々と荷物を選んでいくなか、俺は段ボールの封をしていった。これで2箱目だ。黒崎は朝陽に話しかけている。今日の段取りの話だ。谷本さんに会った時には淡々として挨拶しろということと、もしも倉口さんと谷本さんが言い争いになっても仲裁に入るなということを説明し、朝陽に理解を求めた。
「朝陽、いいか。仲裁をするのはお前らしいことだと言えるが、今日はベターじゃない。巻き込まれるな」
「うん。俺は見ているだけにするよ。……え?トゲのある言い方だった?そんなことないよ。そんなつもりで言っていないよ。俺に出来ることは無いんだなって思って、むなしくなっただけだよ」
「そう思う必要は無い。今のお前と同じ年の大学生が、家庭のある女性と付き合っただけだ。悪いのは大学生とその女性だ。お前は巻き込まれている。だから、仲裁なんかしなくていい。やらせておけ。事が大きくなりそうなら俺が仲裁する」
「え?黒崎さん。最初からそうならないように仲裁するって言っていなかったっけ?」
「気が変わった。まあ、大したことじゃ無い。親が誰かを特定するだけのことだ。倉口でも谷本さんじゃないかも知れないとは言っておく」
「黒崎さんっ。そんな言い方はやめろよ~」
「なんか、そんな気がしてきたよ……。ありがとう。ショックが小さくて良かったよ。はあ……」
朝陽がため息をついた。黒崎の言うことを本気にしてしまったようだ。さすがにママは本当のことを言っていると思う。今日のような事態を迎えて、今更別の人かも知れないなんて話は無いだろう。黒崎だってそう思っていると思う。最初から言うはずだと。
「朝陽。他にも言うことがある。これからお母さんと倉口は話し合いを持つことになる。たしか時効があったんじゃないかと思うが、やったことには変わりない。話し合いの末に、お母さんに別の誰かがいたかもしれない。その可能性が出てくる。倉口にもあったかもしれない。その時は冷静になれ」
「うん……」
朝陽が頷いた。そして、パッと顔を上げた。俺は話に集中していたから気がつかなかったが、倉口さんが部屋の前に来ていた。顔を真っ赤にさせている。
「黒崎さん。ペットボトルのお茶を飲んだら?冷えていないけど。ここにあるよ」
「ああ。お前達が作業をしているところをすまない」
「いいんだよ。朝陽も飲みなよ。あ、でも、トイレに行きたくなったら困るね。下に下りるのは、帰る時だけにしたいだろ」
「大丈夫だよ。でも、クーラーが効いてきたから、まだ飲まなくて平気だ。思ったよりも早く終わりそうだよ。ここにあるやつ、全部持って行ったら、選ばなくていい」
「そうだね。5箱で済みそうかな?けっこう服があるね。朝陽って、物が少ないタイプだと思っていたよ」
「お母さんが買ってきてくれていたんだ。ここにあるのは高校に入ったときの服もあるから、けっこう詰まっているよ。もう小さくて入らないやつだ」
「パーカーとTシャツだね。ジーンズもあるね。一枚ずつ持って行ったら?それか、全部持って行く?黒崎さんの読みは当たったよ。段ボールを10枚用意して良かったね」
「全部持って行け。ただし、今の家に入りきらないだろうが……。寝る場所が無くなる。それも考えておけ」
「あ、そうだね。うちに送る?俺の部屋に運んだら何とかなるよ」
「いい。自分のアパートに送ってもらうよ」
がさ。朝陽が服を段ボールの中に入れた。そして、小学校と中学の卒業証書が入った筒を、一番上に入れた。この段ボールはいっぱいになった。俺が封をすることにして、ガムテープを手に取った。
ビーーーー。ガムテープを引っ張って、段ボールに貼り付けた。朝陽が次々と荷物を選んでいくなか、俺は段ボールの封をしていった。これで2箱目だ。黒崎は朝陽に話しかけている。今日の段取りの話だ。谷本さんに会った時には淡々として挨拶しろということと、もしも倉口さんと谷本さんが言い争いになっても仲裁に入るなということを説明し、朝陽に理解を求めた。
「朝陽、いいか。仲裁をするのはお前らしいことだと言えるが、今日はベターじゃない。巻き込まれるな」
「うん。俺は見ているだけにするよ。……え?トゲのある言い方だった?そんなことないよ。そんなつもりで言っていないよ。俺に出来ることは無いんだなって思って、むなしくなっただけだよ」
「そう思う必要は無い。今のお前と同じ年の大学生が、家庭のある女性と付き合っただけだ。悪いのは大学生とその女性だ。お前は巻き込まれている。だから、仲裁なんかしなくていい。やらせておけ。事が大きくなりそうなら俺が仲裁する」
「え?黒崎さん。最初からそうならないように仲裁するって言っていなかったっけ?」
「気が変わった。まあ、大したことじゃ無い。親が誰かを特定するだけのことだ。倉口でも谷本さんじゃないかも知れないとは言っておく」
「黒崎さんっ。そんな言い方はやめろよ~」
「なんか、そんな気がしてきたよ……。ありがとう。ショックが小さくて良かったよ。はあ……」
朝陽がため息をついた。黒崎の言うことを本気にしてしまったようだ。さすがにママは本当のことを言っていると思う。今日のような事態を迎えて、今更別の人かも知れないなんて話は無いだろう。黒崎だってそう思っていると思う。最初から言うはずだと。
「朝陽。他にも言うことがある。これからお母さんと倉口は話し合いを持つことになる。たしか時効があったんじゃないかと思うが、やったことには変わりない。話し合いの末に、お母さんに別の誰かがいたかもしれない。その可能性が出てくる。倉口にもあったかもしれない。その時は冷静になれ」
「うん……」
朝陽が頷いた。そして、パッと顔を上げた。俺は話に集中していたから気がつかなかったが、倉口さんが部屋の前に来ていた。顔を真っ赤にさせている。
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