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黒崎自身は言葉数が少なくて、ストレートな表現をする。だからこそ、誉め言葉が伝わる。安心できるという空気も醸し出している。それが今はいない黒崎社長であり、現在の黒崎常務なのだろう。
「黒崎さん。喜んでくれていたね」
「ああ」
「黒崎社長時代が懐かしいよ。久しぶりに見られて良かったよ」
「普段の俺は気に入らないのか?」
「え?バレていたの?」
「夏樹、こっちを見ろ」
「黒崎さん……。こんな場所でさ……」
「バカヤロウ」
「だって、頬っぺたにさわったじゃん」
「パンケーキが付いていたから取っただけだ」
ピン!頬を指先で思い切り弾かれた。けっこう痛かった。
「いたっ。新しい技を編み出すなよ……」
「……早く食べろ」
「さっきまで優しかったのに……」
「期間限定だ。いいのか?置いて行くぞ」
「待ってよ。すぐに食べるから。もう、味が分からないじゃん」
「……冗談だ。ゆっくり食べろ」
何だよ。分からず屋と心の中で呟いた。すると、フォークをパンケーキに刺したところで、クシャミが出そうになった。ここはみんながくつろいでい場所だ。盛大なクシャミをするわけにはいかない。
「ふぁーー、クシュンッ」
控えめなクシャミが出たから良かった。顔を上げると、黒崎が眉間に皺を寄せていた。俺の方を見ている。
「小さめに出したよ?なんで怒っているんだよ?」
「お前にじゃない。こっちを向け」
「えー?」
ハンカチを取られてテーブルに置かれた。そのまま顎に手が添えられて、上を向かされた。黒崎が身を乗り出してきたから、防衛反応で後ろに下がろうとした。
「いい子にしてろ」
「な、なに?」
「いいから。大人しくしろ」
「あ……。んん?」
すっと顔が近づけられて、額に温かいものが押し当てられた。目を開いたままだから、長いまつ毛が近くにある。その目が開かれて、至近距離で見つめ合った。
「黒崎さん……、あんたの誕生日なのにサプライズ?」
「そうだ。もっと見ろ」
「こんなにいいことがあるなら、毎日お祝いするよ」
「そこまで頻繁に年を取りたくない」
甘く囁かれて頬を撫でられた。もう一度キスをする予感だ。黒崎が外へ視線を向けた。どうしたのだろう?自分も視線を向けた。
「あれ……。どうしたのかな」
「効果ありだ」
「あ……」
ガラス壁の向こうでは、数人の男性達が離れて行った。キスシーンに驚いたのだろう。それに加えて、黒崎に恐怖を感じたに違いない。
「可愛いクシャミをするな。ますます寄ってくる」
「え?可愛いって?」
「そこで赤くなるな」
黒崎がぶっきらぼうに目を逸らした。人前でキスしたくせに。ヤキモチを妬いてくれたということだ。そこへ考えが行き着き、笑いが込み上げてきた。テーブルの下で足を蹴ってやると、蹴り返された。
「なんだよー?いたいってば……」
「置いて行くぞ」
「うん……」
パンケーキを食べ終わり、席を立った。黒崎の方は会計を済ませた後、俺のことを置いて、店の外へ出て行った。キスシーンを見せつけた張本人のくせに、素っ気なくされてしまった。
「黒崎さん。喜んでくれていたね」
「ああ」
「黒崎社長時代が懐かしいよ。久しぶりに見られて良かったよ」
「普段の俺は気に入らないのか?」
「え?バレていたの?」
「夏樹、こっちを見ろ」
「黒崎さん……。こんな場所でさ……」
「バカヤロウ」
「だって、頬っぺたにさわったじゃん」
「パンケーキが付いていたから取っただけだ」
ピン!頬を指先で思い切り弾かれた。けっこう痛かった。
「いたっ。新しい技を編み出すなよ……」
「……早く食べろ」
「さっきまで優しかったのに……」
「期間限定だ。いいのか?置いて行くぞ」
「待ってよ。すぐに食べるから。もう、味が分からないじゃん」
「……冗談だ。ゆっくり食べろ」
何だよ。分からず屋と心の中で呟いた。すると、フォークをパンケーキに刺したところで、クシャミが出そうになった。ここはみんながくつろいでい場所だ。盛大なクシャミをするわけにはいかない。
「ふぁーー、クシュンッ」
控えめなクシャミが出たから良かった。顔を上げると、黒崎が眉間に皺を寄せていた。俺の方を見ている。
「小さめに出したよ?なんで怒っているんだよ?」
「お前にじゃない。こっちを向け」
「えー?」
ハンカチを取られてテーブルに置かれた。そのまま顎に手が添えられて、上を向かされた。黒崎が身を乗り出してきたから、防衛反応で後ろに下がろうとした。
「いい子にしてろ」
「な、なに?」
「いいから。大人しくしろ」
「あ……。んん?」
すっと顔が近づけられて、額に温かいものが押し当てられた。目を開いたままだから、長いまつ毛が近くにある。その目が開かれて、至近距離で見つめ合った。
「黒崎さん……、あんたの誕生日なのにサプライズ?」
「そうだ。もっと見ろ」
「こんなにいいことがあるなら、毎日お祝いするよ」
「そこまで頻繁に年を取りたくない」
甘く囁かれて頬を撫でられた。もう一度キスをする予感だ。黒崎が外へ視線を向けた。どうしたのだろう?自分も視線を向けた。
「あれ……。どうしたのかな」
「効果ありだ」
「あ……」
ガラス壁の向こうでは、数人の男性達が離れて行った。キスシーンに驚いたのだろう。それに加えて、黒崎に恐怖を感じたに違いない。
「可愛いクシャミをするな。ますます寄ってくる」
「え?可愛いって?」
「そこで赤くなるな」
黒崎がぶっきらぼうに目を逸らした。人前でキスしたくせに。ヤキモチを妬いてくれたということだ。そこへ考えが行き着き、笑いが込み上げてきた。テーブルの下で足を蹴ってやると、蹴り返された。
「なんだよー?いたいってば……」
「置いて行くぞ」
「うん……」
パンケーキを食べ終わり、席を立った。黒崎の方は会計を済ませた後、俺のことを置いて、店の外へ出て行った。キスシーンを見せつけた張本人のくせに、素っ気なくされてしまった。
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