27 / 39
# act26.10年ぶりの解放①※
しおりを挟む
「私はあのときからずっと……あなたの、銀狼の花嫁だったのね」
私の言葉に、アレクセイは泣きそうな顔で、けれど宝物を扱うように優しく私を抱きしめた。
その体温は温かく、安心する。……けれど。
(……違う)
私の肌が、細胞の一つ一つが、訴えていた。
記憶の中の彼は、もっと冷たくて、鮮烈な匂いがした。
目の前の彼は、優しすぎる。私を傷つけないように、必死に牙を隠している。
(そんなの……嫌よ)
私は彼が「罪」だと思っている、その獣の本能こそを愛したのだから。
10年前、私の運命を変えたあの匂いが欲しい。 中途半端な愛撫じゃ、この疼きは止まらない。
私は彼の腕の中で身じろぎすると、その首に巻かれた黒い革――彼の本能を封じているという枷に、指をかけた。
「……メル?」
「外して、アレク」
「っ! だめだ、それを外せば、私は……」
彼は怯えたように私の手首を掴んだ。
その必死な姿が、愛しくて堪らない。
「優しくされるのは、もう十分。……今の私は、あなたの『妻』よ?」
「しかし……!」
「私をまた10年も待たせるつもり?」
その言葉に、彼が息を呑む。
「見せて。あなたが恐れている獣を。……私が全部、受け止めてあげるから」
これは私の、強欲な願い。
もう二度と、彼に我慢なんてさせない。骨の髄まで愛し尽くしてもらうわ。
私の挑発に、フロストブルーの瞳がゆらりと揺らめいた。
「これは君にしか外せない制約がかけられている」
彼は覚悟を決めたように、私の手をチョーカーの留め具の上に置いた。
「君が外してくれ。私の首輪を外せるのは君だけだ。だが、外した瞬間に私の理性ははじけ飛ぶぞ」
私は小さく頷いた。
カチッと音が響く。
シュウッと魔力の抜ける音がして、チョーカーが首から外れた。
その瞬間、むせ返るほどの香気が、ひと呼吸で胸を満たした。
一切の甘さを排した辛口の白ワイン。
それを極限まで冷やしたグラスに注いでいるかのようだ。
それが彼から一斉に立ち上ってくる。
ゆらり……と、それはオーラのように獣の形をとった。
この冷たさ、この匂い。
私の細胞が深呼吸しているみたい。
アレクセイは、音もなく私の足元に跪いた。
背筋を伸ばし、最愛の主君に忠誠を誓う騎士のように。自分を解放してくれた花嫁へ、最大級の敬意を捧げるように。
彼は私の足の甲を恭しく持ち上げ、そこに深く、沈黙の誓いを込めた口づけを落とした。
「……メル」
下から見上げるフロストブルーの瞳。
だが、その瞳孔は既に針のように収縮し、底知れぬ飢餓を湛えた「獣」のそれに変貌していた。
騎士としての礼を終えた瞬間、彼の内に潜む銀狼が、待機を解かれたのだ。
「……もう、我慢しなくていいんだな?」
「え……あ、んっ!?」
返事をする間もなかった。
彼は跪いたまま、私の踵を持ち上げ、その指を口に含んだのだ。
「ひゃあっ……!!」
生暖かい感覚に、背筋が粟立った。
足の指を一本ずつ、丁寧に、それでいて執拗に舌で転がされる。
「あっ、や……っ!」
くすぐったさと、経験したことのない濡れた感触。
私はバランスを崩し、咄嗟に目の前の彼にしがみついた。
跪いている彼の肩は、私の腰ほどの高さにある。
そこに体重を預けると、彼は待っていたかのように私の腰を抱き寄せた。
足首を掴んでいた手が、ふくらはぎを撫で上げる。
ドレスの裾がめくれ上がり、冷たいフェロモンに晒された肌に、彼の手のひらの熱が焼き付くようだ。
「んぅ……アレク、足……」
「いい匂いだ……メル」
私の抗議なんて聞こえていない。
彼は足指から離れると、今度は足首のくるぶしに犬歯を立て、そこからふくらはぎへと、吸い付くように唇を這わせてきた。
くすぐったい膝裏を舌先で撫で、そこから太腿を甘噛みするように深く口中に吸い込んだ。
「……ぁあ……っ」
ちり、とした痛みにそこを見ると、赤くうっ血している。
それなのに私は、愛しい獣に所有されていく快感にとろけそうだった。
彼は片足を抱え上げたまま、開いている足の間に顔を埋めた。
ドロワーズは私の蜜でもう濡れている。
その秘所を布ごしに舐められた。
「……くぅ……ん、んっ、やぁ……」
さんざん吸い付かれて、そのもどかしい刺激に堪らなくなってきた。
「これやだぁ……んっん……もっと……」
恥ずかしいおねだりをした途端、からだはふわりと浮いて、そのままベッドに沈んでいた。
ガチャッ、ベルトを外す重い金属音のあとに、服が投げ捨てられる音がした。
そして、すぐに覆いかぶさってきたのは、鍛え上げられた白い体躯だった。
私のからだの倍以上ある肉体は、山のように見える。
本能的な恐怖に腹の奥がびくつくのに、秘所は熱い蜜をじゅんと分泌した。
水分を吸って重たくなったドロワーズが投げ捨てられた。
足を割って、М字に開かされたそこは、濡れそぼっている。
彼の焼けつくような視線を感じて、襞が立て続けにひくひくっと収縮した。
「……俺の匂いだけで、こんなに……」
舌なめずりをするような声に、また最奥が反応してしまう。
極寒のフェロモンで冷やされた粘膜を、熱い舌が覆った。
私の言葉に、アレクセイは泣きそうな顔で、けれど宝物を扱うように優しく私を抱きしめた。
その体温は温かく、安心する。……けれど。
(……違う)
私の肌が、細胞の一つ一つが、訴えていた。
記憶の中の彼は、もっと冷たくて、鮮烈な匂いがした。
目の前の彼は、優しすぎる。私を傷つけないように、必死に牙を隠している。
(そんなの……嫌よ)
私は彼が「罪」だと思っている、その獣の本能こそを愛したのだから。
10年前、私の運命を変えたあの匂いが欲しい。 中途半端な愛撫じゃ、この疼きは止まらない。
私は彼の腕の中で身じろぎすると、その首に巻かれた黒い革――彼の本能を封じているという枷に、指をかけた。
「……メル?」
「外して、アレク」
「っ! だめだ、それを外せば、私は……」
彼は怯えたように私の手首を掴んだ。
その必死な姿が、愛しくて堪らない。
「優しくされるのは、もう十分。……今の私は、あなたの『妻』よ?」
「しかし……!」
「私をまた10年も待たせるつもり?」
その言葉に、彼が息を呑む。
「見せて。あなたが恐れている獣を。……私が全部、受け止めてあげるから」
これは私の、強欲な願い。
もう二度と、彼に我慢なんてさせない。骨の髄まで愛し尽くしてもらうわ。
私の挑発に、フロストブルーの瞳がゆらりと揺らめいた。
「これは君にしか外せない制約がかけられている」
彼は覚悟を決めたように、私の手をチョーカーの留め具の上に置いた。
「君が外してくれ。私の首輪を外せるのは君だけだ。だが、外した瞬間に私の理性ははじけ飛ぶぞ」
私は小さく頷いた。
カチッと音が響く。
シュウッと魔力の抜ける音がして、チョーカーが首から外れた。
その瞬間、むせ返るほどの香気が、ひと呼吸で胸を満たした。
一切の甘さを排した辛口の白ワイン。
それを極限まで冷やしたグラスに注いでいるかのようだ。
それが彼から一斉に立ち上ってくる。
ゆらり……と、それはオーラのように獣の形をとった。
この冷たさ、この匂い。
私の細胞が深呼吸しているみたい。
アレクセイは、音もなく私の足元に跪いた。
背筋を伸ばし、最愛の主君に忠誠を誓う騎士のように。自分を解放してくれた花嫁へ、最大級の敬意を捧げるように。
彼は私の足の甲を恭しく持ち上げ、そこに深く、沈黙の誓いを込めた口づけを落とした。
「……メル」
下から見上げるフロストブルーの瞳。
だが、その瞳孔は既に針のように収縮し、底知れぬ飢餓を湛えた「獣」のそれに変貌していた。
騎士としての礼を終えた瞬間、彼の内に潜む銀狼が、待機を解かれたのだ。
「……もう、我慢しなくていいんだな?」
「え……あ、んっ!?」
返事をする間もなかった。
彼は跪いたまま、私の踵を持ち上げ、その指を口に含んだのだ。
「ひゃあっ……!!」
生暖かい感覚に、背筋が粟立った。
足の指を一本ずつ、丁寧に、それでいて執拗に舌で転がされる。
「あっ、や……っ!」
くすぐったさと、経験したことのない濡れた感触。
私はバランスを崩し、咄嗟に目の前の彼にしがみついた。
跪いている彼の肩は、私の腰ほどの高さにある。
そこに体重を預けると、彼は待っていたかのように私の腰を抱き寄せた。
足首を掴んでいた手が、ふくらはぎを撫で上げる。
ドレスの裾がめくれ上がり、冷たいフェロモンに晒された肌に、彼の手のひらの熱が焼き付くようだ。
「んぅ……アレク、足……」
「いい匂いだ……メル」
私の抗議なんて聞こえていない。
彼は足指から離れると、今度は足首のくるぶしに犬歯を立て、そこからふくらはぎへと、吸い付くように唇を這わせてきた。
くすぐったい膝裏を舌先で撫で、そこから太腿を甘噛みするように深く口中に吸い込んだ。
「……ぁあ……っ」
ちり、とした痛みにそこを見ると、赤くうっ血している。
それなのに私は、愛しい獣に所有されていく快感にとろけそうだった。
彼は片足を抱え上げたまま、開いている足の間に顔を埋めた。
ドロワーズは私の蜜でもう濡れている。
その秘所を布ごしに舐められた。
「……くぅ……ん、んっ、やぁ……」
さんざん吸い付かれて、そのもどかしい刺激に堪らなくなってきた。
「これやだぁ……んっん……もっと……」
恥ずかしいおねだりをした途端、からだはふわりと浮いて、そのままベッドに沈んでいた。
ガチャッ、ベルトを外す重い金属音のあとに、服が投げ捨てられる音がした。
そして、すぐに覆いかぶさってきたのは、鍛え上げられた白い体躯だった。
私のからだの倍以上ある肉体は、山のように見える。
本能的な恐怖に腹の奥がびくつくのに、秘所は熱い蜜をじゅんと分泌した。
水分を吸って重たくなったドロワーズが投げ捨てられた。
足を割って、М字に開かされたそこは、濡れそぼっている。
彼の焼けつくような視線を感じて、襞が立て続けにひくひくっと収縮した。
「……俺の匂いだけで、こんなに……」
舌なめずりをするような声に、また最奥が反応してしまう。
極寒のフェロモンで冷やされた粘膜を、熱い舌が覆った。
13
あなたにおすすめの小説
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます
星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。
家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。
……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。
“天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、
そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。
これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、
いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。
(毎日21:50更新ー全8話)
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く
紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる