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10話 突然の その2
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「え、ええと……」
「済まない……アテナ。こんなことを言う権利がないのは重々承知しているのだが、私はどうしても、自分の感情を押し殺すことができなかったのだ……。本当に済まない……!」
「イービス様……そんなことは……」
私はなんと答えていいのか分からなかった。彼の魂の叫びは噴水庭園中に響き渡っている。そして、相手がイービス様であることを知って、聞こえない振りをする人まで居るくらいだ。おそらくは彼の位が高いからこその配慮なんだと思う。
あの、イービス様が何の考えもなしにこんなことを言うなんて信じられない。きっと、彼なりにこの1カ月の間、非常に悩んだのだと思う。おそらくは私以上に……。
「パメラ様には、なんとおっしゃったのですか……?」
「ああ、彼女は……行って来いと背中を押してくれたよ。最低だ、とも言われたがな」
「そうでしょうね……」
私を振って、パメラ様に乗り換えたのだ。本来であれば、何が何でも彼女との愛を貫く義務があると言えるだろう。それをわずか、1カ月で反故にしてしまうなんて……確かに最低にも程がある。私がパメラ様の立場だったとしても、同じことを言っただろう。
でも、それほどに彼は……イービス様は私を愛してくれていたということだ。その部分に関しては本当に嬉しく思った。思わず心が動いてしまいそうになる……彼の覚悟をもう一度、信じても良いのではないだろうか? と。
「イービス様、言いたいことはそれだけでしょうか?」
「あなたは確か……ウォルト・ハンコック伯爵令息殿ですね?」
「はい、左様でございます」
「これは失礼いたしました! 私はイービス・ラウドネス、ギュンター・ラウドネスの第一子になります」
イービス様は貴族の階級で言えば下位に当たるウォルト様を相手にも、非常に丁寧な挨拶をしていた。この辺りは流石としか言いようがない。ウォルト様も面食らっている印象だ。
「イービス様……あなたは、公衆の面前でご自分が何をおっしゃったのか理解しているのですか?」
「もちろんです。批判については後から、いくらでも受けましょう……」
「そうですか。それがあなた様の覚悟というわけですね」
「ええ、そういうことです」
なんだか、一触即発のような雰囲気が辺りを包んでいる。なぜだろう……? このまま二人が殴り合いの喧嘩をしても不思議に思えないわ。いや、冷静に考えればそんなことするはずがないけれど……。
「では、私も言わせていただきましょう……アテナ嬢」
「はい……? ウォルト様?」
「私はあなたを愛しております。宜しければ、私とお付き合いをしていただけませんでしょうか? イービス様はあなた様を裏切っております……私は決してそのようなことは致しません」
まさか本日、ウォルト様からの告白も受けることになるとは思わなかった……。まずい、思考が追い付かないわ。
「済まない……アテナ。こんなことを言う権利がないのは重々承知しているのだが、私はどうしても、自分の感情を押し殺すことができなかったのだ……。本当に済まない……!」
「イービス様……そんなことは……」
私はなんと答えていいのか分からなかった。彼の魂の叫びは噴水庭園中に響き渡っている。そして、相手がイービス様であることを知って、聞こえない振りをする人まで居るくらいだ。おそらくは彼の位が高いからこその配慮なんだと思う。
あの、イービス様が何の考えもなしにこんなことを言うなんて信じられない。きっと、彼なりにこの1カ月の間、非常に悩んだのだと思う。おそらくは私以上に……。
「パメラ様には、なんとおっしゃったのですか……?」
「ああ、彼女は……行って来いと背中を押してくれたよ。最低だ、とも言われたがな」
「そうでしょうね……」
私を振って、パメラ様に乗り換えたのだ。本来であれば、何が何でも彼女との愛を貫く義務があると言えるだろう。それをわずか、1カ月で反故にしてしまうなんて……確かに最低にも程がある。私がパメラ様の立場だったとしても、同じことを言っただろう。
でも、それほどに彼は……イービス様は私を愛してくれていたということだ。その部分に関しては本当に嬉しく思った。思わず心が動いてしまいそうになる……彼の覚悟をもう一度、信じても良いのではないだろうか? と。
「イービス様、言いたいことはそれだけでしょうか?」
「あなたは確か……ウォルト・ハンコック伯爵令息殿ですね?」
「はい、左様でございます」
「これは失礼いたしました! 私はイービス・ラウドネス、ギュンター・ラウドネスの第一子になります」
イービス様は貴族の階級で言えば下位に当たるウォルト様を相手にも、非常に丁寧な挨拶をしていた。この辺りは流石としか言いようがない。ウォルト様も面食らっている印象だ。
「イービス様……あなたは、公衆の面前でご自分が何をおっしゃったのか理解しているのですか?」
「もちろんです。批判については後から、いくらでも受けましょう……」
「そうですか。それがあなた様の覚悟というわけですね」
「ええ、そういうことです」
なんだか、一触即発のような雰囲気が辺りを包んでいる。なぜだろう……? このまま二人が殴り合いの喧嘩をしても不思議に思えないわ。いや、冷静に考えればそんなことするはずがないけれど……。
「では、私も言わせていただきましょう……アテナ嬢」
「はい……? ウォルト様?」
「私はあなたを愛しております。宜しければ、私とお付き合いをしていただけませんでしょうか? イービス様はあなた様を裏切っております……私は決してそのようなことは致しません」
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