今さら婚約破棄を取り消してくれと言われても困ります~一度、私を捨てた相手が溺愛してくるんです~

安奈

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9話 突然の その1

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「イービス様……どうしてここに?」


 意味が分からなかった……私がウォルト様と一緒に居るところは貴族街の噴水庭園になる。貴族街の一部ではあるので、当然、貴族達の往来があっても不思議ではない。そういう意味ではイービス様がいたとしてもおかしくはないのだけれど……。

 私が不思議だったのは、パメラ様などが一緒ではないことだ。


「パメラ様はいらっしゃらないのですか?」


 私のその質問にイービス様は首を横に振った。彼は護衛を連れてはいるけれど、一人ということか。


「パメラは一緒ではない」

「左様でございますか……」

「彼女とは一緒になれないことを、先日、進言してきた……」

「えっ……? ど、どういうことでしょうか……?」


 一緒になれないことを進言って……それはつまり……。

「私はパメラとは別れた、ということさ」

「イービス様……なぜ?」

「本当に済まなかった、アテナ」

「……???」


 急に謝罪をされても非常に困ってしまう。一体、何の謝罪か分からないからだ。


「一体、その謝罪は何を意味するのでしょうか?」

「済まない……君のことを振ってしまって……本当に済まなかった」

「イービス様、そのことに関してはもう終わったことです。また、謝罪される必要はないと思われますが……」

 
 既にこの1カ月で一応の決着はついた出来事だ。今更、そのことを言って来るなんて、イービス様の性格的には考えられなかった。一体、どういうつもりなんだろうか?


「こんなことは許されないことだとは分かっている……分かっていることなのだが、私は言わなければならない」

「は、はあ……なんでしょうか?」


 イービス様はこの上ない程に真剣な眼差しを私に見せていた。気迫が伝わってくる……ウォルト様にもその気迫は伝わっているのか、彼も怪訝な様子を見せ始めていた。そして……彼は口を開いた。


「私と……私と再び婚約をしてほしい!!」


 イービス様の大きな叫び声は、貴族街の噴水庭園全体に響き渡った。一体なにごとかとこちらに視線を向ける人々も当然いただろうけれど。そんなことは大したことではなかった。なぜなら私は、彼の言葉の意味を理解出来ていなかったのだから……。

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