婚約破棄令嬢ですが、公爵様が溺愛してくださいます!

安奈

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2話 婚約破棄と救済 その2

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「こ、これはライジング公爵……お見苦しいところをお見せしてしまいました……!」


 私は差し伸べられた手に触れることは恐れ多いと感じ、そのまますぐに立ち上がってしまった。そちらの方が逆に失礼であるとは後から気付いたのだけれど……。


「やれやれ、貴殿も大変な目に遭ったようだな……。まさか、あんな理由だけで令嬢を評価しようなど。何様のつもりであろうか……」


 ライジング公爵は他人事なはずなのに、明らかに語気を強めている。なんだかとても嬉しかった。

「でも、私が悪くもあるんです……前髪で目の辺りを隠しているのは事実ですから……」


 人見知りの性格が災いしたと言うべきか……ライジング公爵の前でも私は目を隠してしまっている。これはとても失礼なことだ。でも、こうしないとまともに話すことができない……。

 そういう意味では、ザイル・マクレガーの言ったことも正論になるのではないか……そんな予感がよぎると、私は自分を責めたくなってしまった。しかし……


「それだけで令嬢の価値などは決まらないさ。私はオルスト嬢、貴殿が誠実に対応している場面を何度も見ている。この前のパーティでもそうだったな」

「ライジング公爵……」


 ハンニバル・ライジング様が私を見ていた? 確かに伯爵令嬢の一人ではあるけれど、この若き公爵様の地位と比べたら大した存在ではないはずなのに……。

「ふふ、不思議に思っているのか?」

「え、ええ……なぜ、私などを……」

「それは簡単だ」


 そう言いながら、ライジング公爵は手を私の顔付近へともってきた。ああ、そういうことか……


「私の前髪で顔が隠れているから……」

「うむ、良い感じに目立っていたぞ。一応言っておくと、誉め言葉だからな?」

「うう……!」


 私はとても恥ずかしくなってしまった。やはりこの格好は目立つようだ。人見知りから逃れる為に、目を隠そうと考えた……でもそれが返って目立っているのでは意味がないのではないか?

 そんなことを考えていると……。


「目立つのが嫌であれば、髪を上げてしまえば良い。そうすれば、解消されると思うぞ? どうだ?」

「た、確かにそうなのですが……」


 それをすると、まともに話せないかもしれない……ただでさえ、目の前には公爵様がいらっしゃるのに……。でも、せっかくライジング公爵が提案してくれたこと。私は少しだけ試してみることにした。ゆっくりと前髪を上げていく。

「ど、どうでしょうか……?」

 うう、とても恥ずかしい……声のトーンがどんどんと下がってしまう……。私を見ているライジング公爵は……呆気に取られたような表情をしていた。

「これは驚いた……オルスト嬢、貴殿はとても美しいのだな」

「……はい?」


 私は何を言われたのか理解が出来ていなかった……。美しいというのは誰のことだろう?
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