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2話 二人の相手 その1
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イスルギ・ゴドウィン公爵様……年齢は23歳だったかしら? 若くして、この国の公爵位に就かれたお方……。確かに、セイレーン宮殿内でなら会える可能性はあったけれど、こうして出会うと、夢でも見ているような心地になるわね。
あまりに上位の貴族に声を掛けられ、私は頭の中が真っ白になってしまった。質実剛健という言葉が良く似合う、イスルギ公爵は貴族の中でも武闘派と言われる勢力で、剣の腕前も一流と言われていたはず。
と、いうより伯爵令嬢でしかない私のことを知っているんだ……。
「直接話す機会はほとんどなかったかと思うが……こうして会うと、また違った印象があるものだな」
「私のことをご存知なのですか?」
私が質問すると、イスルギ様は呆けたような顔つきになった。なにを聞いているんだ? といった感じの。
「当たり前だろう? 君のことは以前から知っていた」
「い、以前からでございますか……?」
イスルギ公爵に知ってもらっていたなんて……こんなに嬉しいことはないわ。こうして近くで見ると、とても男らしい体格をされ、頼りがい抜群のお方ね。まだ未婚らしいけれど……。
先ほどの婚約破棄の悔しさを帳消しに出来る出会いかもしれないわね。でも、どこで私のことを知ったのかしら?
私はそのことについても、彼に質問してみた。
「私のことをお知りになったのは、いつなのでしょうか……?」
「先ほども言ったが、直接会うのは今回が初めてだろう。だが、私のところにも噂が飛び込んで来ていたぞ?」
「噂……で、ございますか?」
「ああ。貴族令嬢……それも、伯爵令嬢の身分でやけに庶民的な女性がいる、とな」
「あ……それは……」
まさにノウェム様とアーリスに突かれていた部分ね……私はなんだか、恥ずかしくなってしまった。
「それは……申し訳ありませんでした……」
「なぜ謝るんだ?」
「いえ……伯爵令嬢にあるまじき行為をしておりましたので……」
「確かに、他の伯爵令嬢の場合はしないかもな。だが、それがどうした? 貴族だけに限った話ではないが、他の者がやらない行動、取らないスキルを磨くことも時には重要だ。確か料理が得意だと聞いたが?」
「は、はい……少しですが……」
なんだか、話が妙な角度で折れ曲がっている気がする。これって、イスルギ様に褒められているのよね?
「ははははっ、伯爵令嬢で料理の得意な人物か……なかなか面白い子だな」
イスルギ様はとても豪快に笑っている。私をバカにした目なんか一度も見せないで……それだけで、涙が零れてしまった。さっき、アーリスにあれだけ言われた直後だったから。
「お、おい……どうしたんだ? ミュリア嬢……大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です。ただ、嬉しくて……」
私の方を抱いて気遣ってくれるイスルギ様、私はそんな彼に感謝をしてもし切れなかった。
「ところで……先ほどは何やら悲しんでいたように見えたが、どうかしたのか?」
「あ、そ、それは……」
話題が婚約破棄に向かっている……なんとか、話を逸らしたいな、とか考えていると……別の人物が私達の前に現れた。
「こんにちは。よければ僕も混ぜてもらえないかい?」
「む、この軽いノリの声は確か……」
その人物はイスルギ公爵の背後から現れたけれど、イスルギ公爵は声だけで、ある程度把握したみたい。
「ラクロア・セルベート大公様……?」
宮殿内部なんだから居てもおかしくはないんだけれど……目の前に現れたのはラクロア大公様だった。階級で言うならば、イスルギ公爵よりも上になられるお方……。そんなお方がどうして私なんかに声を掛けて来るのかしら? 信じられない……。
私は内心では舞い上がっていたけれど、表面的には背筋をピンと伸ばし、固まってしまっていた。
あまりに上位の貴族に声を掛けられ、私は頭の中が真っ白になってしまった。質実剛健という言葉が良く似合う、イスルギ公爵は貴族の中でも武闘派と言われる勢力で、剣の腕前も一流と言われていたはず。
と、いうより伯爵令嬢でしかない私のことを知っているんだ……。
「直接話す機会はほとんどなかったかと思うが……こうして会うと、また違った印象があるものだな」
「私のことをご存知なのですか?」
私が質問すると、イスルギ様は呆けたような顔つきになった。なにを聞いているんだ? といった感じの。
「当たり前だろう? 君のことは以前から知っていた」
「い、以前からでございますか……?」
イスルギ公爵に知ってもらっていたなんて……こんなに嬉しいことはないわ。こうして近くで見ると、とても男らしい体格をされ、頼りがい抜群のお方ね。まだ未婚らしいけれど……。
先ほどの婚約破棄の悔しさを帳消しに出来る出会いかもしれないわね。でも、どこで私のことを知ったのかしら?
私はそのことについても、彼に質問してみた。
「私のことをお知りになったのは、いつなのでしょうか……?」
「先ほども言ったが、直接会うのは今回が初めてだろう。だが、私のところにも噂が飛び込んで来ていたぞ?」
「噂……で、ございますか?」
「ああ。貴族令嬢……それも、伯爵令嬢の身分でやけに庶民的な女性がいる、とな」
「あ……それは……」
まさにノウェム様とアーリスに突かれていた部分ね……私はなんだか、恥ずかしくなってしまった。
「それは……申し訳ありませんでした……」
「なぜ謝るんだ?」
「いえ……伯爵令嬢にあるまじき行為をしておりましたので……」
「確かに、他の伯爵令嬢の場合はしないかもな。だが、それがどうした? 貴族だけに限った話ではないが、他の者がやらない行動、取らないスキルを磨くことも時には重要だ。確か料理が得意だと聞いたが?」
「は、はい……少しですが……」
なんだか、話が妙な角度で折れ曲がっている気がする。これって、イスルギ様に褒められているのよね?
「ははははっ、伯爵令嬢で料理の得意な人物か……なかなか面白い子だな」
イスルギ様はとても豪快に笑っている。私をバカにした目なんか一度も見せないで……それだけで、涙が零れてしまった。さっき、アーリスにあれだけ言われた直後だったから。
「お、おい……どうしたんだ? ミュリア嬢……大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です。ただ、嬉しくて……」
私の方を抱いて気遣ってくれるイスルギ様、私はそんな彼に感謝をしてもし切れなかった。
「ところで……先ほどは何やら悲しんでいたように見えたが、どうかしたのか?」
「あ、そ、それは……」
話題が婚約破棄に向かっている……なんとか、話を逸らしたいな、とか考えていると……別の人物が私達の前に現れた。
「こんにちは。よければ僕も混ぜてもらえないかい?」
「む、この軽いノリの声は確か……」
その人物はイスルギ公爵の背後から現れたけれど、イスルギ公爵は声だけで、ある程度把握したみたい。
「ラクロア・セルベート大公様……?」
宮殿内部なんだから居てもおかしくはないんだけれど……目の前に現れたのはラクロア大公様だった。階級で言うならば、イスルギ公爵よりも上になられるお方……。そんなお方がどうして私なんかに声を掛けて来るのかしら? 信じられない……。
私は内心では舞い上がっていたけれど、表面的には背筋をピンと伸ばし、固まってしまっていた。
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