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4話 元婚約者に対して その1
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「なるほど……婚約破棄、か」
「婚約破棄……なるほどね」
イスルギ様とラクロア様。両者の顔色は明らかに変わっていた。私も少し緊張してしまう……。
「婚約破棄自体はそうめずらしいことではないが……ミュリア嬢、君が婚約をしてそれを破棄されてしまうような粗相を起こすとは考えにくいな」
「イスルギ様……」
イスルギ様は私を信用してくれているみたい。おそらくその根拠は、私の噂などを耳にしてのものだと思うけれど。
「そうだね……僕は現在のミュリアのことには疎いが、国民に愛されているという噂は聞いている。差し支えなければ、婚約破棄に至った原因を聞かせてもらえないか?」
「ラクロア様……」
ラクロア様も私のことを信用してくれている。こんな嬉しい状況があるのかしら? 私は二人が心配してくれているだけでも、とても嬉しいのに……。覚悟を決めた私は、深呼吸をして再び話し始めた。
「原因は……私の性格が気に入らないとのことです。そして、ノウェム伯爵はアーリス・メルボルト伯爵令嬢との浮気を……」
自分としても、とても情けなく感じる……貴族令嬢なのに料理や家事全般を得意としている事実。まさか、その部分を否定され、浮気をされた上に婚約破棄をされるなんて……。私はその辺りの詳細についても二人には伝えた。軽蔑の言葉が返ってくることを承知の上で……しかし、返って来た言葉はある意味で、予想外のものとなっていた。
「そのようなことが……ミュリア嬢、さぞかし辛かっただろうな。私の胸で良ければ、いつでも貸すぞ?」
「い、イスルギ様……!?」
思わず顔を真っ赤にして彼の名前を呼んだ。結構、大胆なことを自然とおっしゃるお方なのね……。
「こらこら、イスルギ殿。いきなり何を……セクハラと取られる可能性もあるんじゃないかな?」
「それもそうでしたね、申し訳ありません」
イスルギ様は私とラクロア様のそれぞれに頭を下げていた。いえ、私としては別に良かったんだけれど……。
「さて、ミュリア。僕の胸でよければ貸してもいいが……」
「ええっ!? ラクロア様……!?」
「ラクロア殿……それは、冗談なのですかな?」
眉間にしわを寄せて、苦笑いになっているイスルギ様は、ラクロア様に詰め寄っていた。
「ははは、もちろん冗談だけどね。こらこら、イスルギ殿……そんなに真面目に対応しないでくれ」
「ぬぬう……」
イスルギ様とラクロア様……なんだか面白いコンビな気もするわね。見ていて飽きないというか……。
「さて、話が逸れてしまったが……ノウェム伯爵がそのようなことを……さらに、ミュリアに対する応対も許されるものではないね」
「ええ、そのようですな。私が少し、調査をして参ります」
「頼めるかな、イスルギ殿」
「畏まりました。お任せください」
なんだか、話の矛先がずれて来ているというか……大事になってきているような? だってイスルギ様とラクロア様が動くみたいなんだし……これってどうなるの?
その後、私は二人に連れられて、貴族街にある屋敷に帰ることになった。
「婚約破棄……なるほどね」
イスルギ様とラクロア様。両者の顔色は明らかに変わっていた。私も少し緊張してしまう……。
「婚約破棄自体はそうめずらしいことではないが……ミュリア嬢、君が婚約をしてそれを破棄されてしまうような粗相を起こすとは考えにくいな」
「イスルギ様……」
イスルギ様は私を信用してくれているみたい。おそらくその根拠は、私の噂などを耳にしてのものだと思うけれど。
「そうだね……僕は現在のミュリアのことには疎いが、国民に愛されているという噂は聞いている。差し支えなければ、婚約破棄に至った原因を聞かせてもらえないか?」
「ラクロア様……」
ラクロア様も私のことを信用してくれている。こんな嬉しい状況があるのかしら? 私は二人が心配してくれているだけでも、とても嬉しいのに……。覚悟を決めた私は、深呼吸をして再び話し始めた。
「原因は……私の性格が気に入らないとのことです。そして、ノウェム伯爵はアーリス・メルボルト伯爵令嬢との浮気を……」
自分としても、とても情けなく感じる……貴族令嬢なのに料理や家事全般を得意としている事実。まさか、その部分を否定され、浮気をされた上に婚約破棄をされるなんて……。私はその辺りの詳細についても二人には伝えた。軽蔑の言葉が返ってくることを承知の上で……しかし、返って来た言葉はある意味で、予想外のものとなっていた。
「そのようなことが……ミュリア嬢、さぞかし辛かっただろうな。私の胸で良ければ、いつでも貸すぞ?」
「い、イスルギ様……!?」
思わず顔を真っ赤にして彼の名前を呼んだ。結構、大胆なことを自然とおっしゃるお方なのね……。
「こらこら、イスルギ殿。いきなり何を……セクハラと取られる可能性もあるんじゃないかな?」
「それもそうでしたね、申し訳ありません」
イスルギ様は私とラクロア様のそれぞれに頭を下げていた。いえ、私としては別に良かったんだけれど……。
「さて、ミュリア。僕の胸でよければ貸してもいいが……」
「ええっ!? ラクロア様……!?」
「ラクロア殿……それは、冗談なのですかな?」
眉間にしわを寄せて、苦笑いになっているイスルギ様は、ラクロア様に詰め寄っていた。
「ははは、もちろん冗談だけどね。こらこら、イスルギ殿……そんなに真面目に対応しないでくれ」
「ぬぬう……」
イスルギ様とラクロア様……なんだか面白いコンビな気もするわね。見ていて飽きないというか……。
「さて、話が逸れてしまったが……ノウェム伯爵がそのようなことを……さらに、ミュリアに対する応対も許されるものではないね」
「ええ、そのようですな。私が少し、調査をして参ります」
「頼めるかな、イスルギ殿」
「畏まりました。お任せください」
なんだか、話の矛先がずれて来ているというか……大事になってきているような? だってイスルギ様とラクロア様が動くみたいなんだし……これってどうなるの?
その後、私は二人に連れられて、貴族街にある屋敷に帰ることになった。
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