7 / 42
7話 婚約破棄と婚約発表 その1
しおりを挟む
ジニーが貴族街の別宅を出て行ってから少し経過した後、私はエトワール家の本邸で行われるパーティについて考えていた。隣では、幼馴染のライラが心配そうに見つめてくれている。
「あの、シンディ様……」
「なに? ライラ」
「あの、先ほどはありがとうございました。私なんかを庇っていただいて……」
「ちょっと、ライラ……あんなこと気にしないでしょ。あなたには、普段からとてもお世話になっているんだから」
「シンディ様……」
ライラだけに限らないけれど、屋敷の使用人はほとんどが貴族出身の者たちで構成されている。下級貴族の分家の分家だったり、称号的には一般人だけれど、血筋は貴族を引いているから使用人として雇われたり。まあ、他の貴族の家も大差はないと思うけど。
ライラの家系は子爵階級……私と幼馴染で、いままであんな卑下を受けたことはないはず。ジニーはポーカーフェイスだったけれど、相当怒っていたのかもしれないわね。
「ジニーのあの言葉は許されないわ。しっかりとお父様やお母様に報告するから、安心してね」
「し、しかし……そうなってしまうと、シンディ様のお立場が……」
そう……お父様、お母様共に、なぜか妹のジニーには甘い。だから、あんなに人の気持ちを考えない、わがまま娘に育ったんだろうけど。いえ、人の気持ちを考えられない甘い人はたくさんいるだろうけど、大半は指摘されれば反省したり、自覚したりはするはず。
ジニーの場合はさらに性質が悪いものだった……反省しないから。
「はあ、本邸での婚約発表もあるのよね……ジニーのことだから、私とフリント様の婚約破棄も大々的に公表しそうだわ……」
フリント様との婚約破棄自体はいずれは知られることになるけど……出来れば、あまり目立ちたくはない。でも、ジニーはそれを大袈裟に言いふらすことで、私に対して優位に立とうとしているような……。
ほとんど虐めに近いわよね、それって……。
「シンディ様、ご提案がございます」
「な、なに……? ライラ?」
私が頭を抱えて悩んでいた時、ライラは急に眼を輝かせて話し始めた。
「こちらも味方を付けましょう。強力な味方が居れば、パーティの席でも堂々としていられます」
「ちょっと待って、それってもしかして……」
私は一瞬、ライラの考えを先読みしてしまった。彼女は強く頷いているので、おそらく合ってるんだと思う。
「ディエス・マローネ様とパーティに出席するのです!」
ライラから出た名前は案の定、ディエス公爵令息様だった……。え? あの方を隣に立たせてパーティに出席するの?
「あの、シンディ様……」
「なに? ライラ」
「あの、先ほどはありがとうございました。私なんかを庇っていただいて……」
「ちょっと、ライラ……あんなこと気にしないでしょ。あなたには、普段からとてもお世話になっているんだから」
「シンディ様……」
ライラだけに限らないけれど、屋敷の使用人はほとんどが貴族出身の者たちで構成されている。下級貴族の分家の分家だったり、称号的には一般人だけれど、血筋は貴族を引いているから使用人として雇われたり。まあ、他の貴族の家も大差はないと思うけど。
ライラの家系は子爵階級……私と幼馴染で、いままであんな卑下を受けたことはないはず。ジニーはポーカーフェイスだったけれど、相当怒っていたのかもしれないわね。
「ジニーのあの言葉は許されないわ。しっかりとお父様やお母様に報告するから、安心してね」
「し、しかし……そうなってしまうと、シンディ様のお立場が……」
そう……お父様、お母様共に、なぜか妹のジニーには甘い。だから、あんなに人の気持ちを考えない、わがまま娘に育ったんだろうけど。いえ、人の気持ちを考えられない甘い人はたくさんいるだろうけど、大半は指摘されれば反省したり、自覚したりはするはず。
ジニーの場合はさらに性質が悪いものだった……反省しないから。
「はあ、本邸での婚約発表もあるのよね……ジニーのことだから、私とフリント様の婚約破棄も大々的に公表しそうだわ……」
フリント様との婚約破棄自体はいずれは知られることになるけど……出来れば、あまり目立ちたくはない。でも、ジニーはそれを大袈裟に言いふらすことで、私に対して優位に立とうとしているような……。
ほとんど虐めに近いわよね、それって……。
「シンディ様、ご提案がございます」
「な、なに……? ライラ?」
私が頭を抱えて悩んでいた時、ライラは急に眼を輝かせて話し始めた。
「こちらも味方を付けましょう。強力な味方が居れば、パーティの席でも堂々としていられます」
「ちょっと待って、それってもしかして……」
私は一瞬、ライラの考えを先読みしてしまった。彼女は強く頷いているので、おそらく合ってるんだと思う。
「ディエス・マローネ様とパーティに出席するのです!」
ライラから出た名前は案の定、ディエス公爵令息様だった……。え? あの方を隣に立たせてパーティに出席するの?
2
あなたにおすすめの小説
婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
奪った後で、後悔するのはあなたです~私から婚約相手を奪って喜ぶ妹は無能だった件について~
キョウキョウ
恋愛
ヴァンデルディング公爵子息ロデリックから、社交パーティーの最中に婚約破棄を告げられたアルトヴェール侯爵令嬢セラフィナ。
婚約を破棄する理由は「実の妹であるイザベラから、パーティー運営のアイデアを盗んでいた。真に評価されるべきは、セラフィナではなくイザベラの方である」という、事実無根の濡れ衣だった。
これは妹の仕組んだ罠だと理解していたセラフィナだったが、ヴァンデルディング公爵家の圧力により、すべての実績を妹に奪われ、婚約まで妹に譲ることになってしまう。
しかし、それは本当に不幸だったのだろうか?
新たな婚約相手として現れたのは、セラフィナの真の実力を正しく評価してくれる軍人貴族マキシミリアン。そしてイザベラとロデリックの元には、「奪った実績」を背負いきれない現実が待っていた。
偽りで塗り固めた成功は、いつまで続くのか。
真の実力者はどちらなのか。パーティーに集う貴族たちが下す評価は、明確だった。
奪い取った者が泣き、奪われた者が笑う。
それが、この物語の結末である。
※過去に投稿した「奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら」の内容を再構築しつつ、他にも色々な過去作のエッセンスを加えながら新しい展開で物語を書いています。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました
天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」
婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。
婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。
私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。
もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる