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20話 エトワール家の者達 その1
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「お父様……実の娘に酷いですよ! 他国の貴族に売り飛ばそうなんて……!」
放心状態から解放されたジニーは、涙目になりながらお父様こと、ギルデ・エトワール伯爵に抗議していた。舞踏会場は色々な意味で騒ぎになっており、パーティを楽しむどころの雰囲気ではなくなっている。
「何を言っている、ジニー。元々はお前がフリント殿をシンディから奪ったのが要因だろう? 大事な身体をあんな男に奉げおってからに……。シンディを見ろ、未だに処女を貫いている身持ちの固さは流石だろう」
「お、お父様……ここに来て、姉さまを擁護するなんて……!」
「お前を今まで可愛がっていたのは、精神的に未熟な面があったからだぞ。本来、私はシンディも同じくらい愛しているのだからな」
ここに来て、まさかの爆弾発言……お父様は急に私への態度を軟化させていた。今までは、ジニー優先でエトワール家は動いていたはずだけれど、今ならば私の意見の方が通りやすそうね……。せっかくだから、私は何か頼み事をしてみようかと考え出していた。
「お取込み中、失礼するが……少し、お話しに参加させていただいて宜しいですか?」
「こ、これはディエス様……! ええ、ぜひご参加くださいませ!」
「ありがとう」
そんな時、ディエス・マローネ公爵令息様が私達の前に現れた。それを見たお父様の態度は分かりやすいくらいに変わっている。急にもみ手をし始めたし……。
「私とシンディ殿との婚約発表についてではありますが……」
「ええ、私の自慢の娘になります! もしもよろしければ、ぜひぜひ……! 親の私がこういうのもあれですが、とても器量が良く出来た娘でございまして!」
うわぁ……とても引いてしまうほど、お父様は高速でもみ手をしていた。指紋がなくなるんじゃないかと心配になるくらい……。それから、気持ち悪いくらい、私への賛辞をディエス様に伝えている。
「確かに、シンディ殿は美しいお方だと思います」
「でしょう? それに引き換え、妹のジニーは、姉のシンディの元婚約者を寝取ってしまう、不肖な娘でして……。親としては、悲しい限りでございます……」
……あまりのお父様の変貌振りに、私はとても恥ずかしくなってしまった……。これでは誰が悪役なのかわからない……お父様、聞き耳を立てている貴族は他に居るのよ?
「お、お父様……! 私はフリント様に騙された、被害者なだけなのに……本当に酷過ぎますわ……!」
ディエス様の前で態度が大幅に変わるお父様と、フリント様に騙されたのだと言い張る妹のジニー。ディエス様の前でなんて醜態を晒しているのかしら……これが、私のエトワール家の実情……私はただ、頭を抱える以外に出来ることがなかった。
放心状態から解放されたジニーは、涙目になりながらお父様こと、ギルデ・エトワール伯爵に抗議していた。舞踏会場は色々な意味で騒ぎになっており、パーティを楽しむどころの雰囲気ではなくなっている。
「何を言っている、ジニー。元々はお前がフリント殿をシンディから奪ったのが要因だろう? 大事な身体をあんな男に奉げおってからに……。シンディを見ろ、未だに処女を貫いている身持ちの固さは流石だろう」
「お、お父様……ここに来て、姉さまを擁護するなんて……!」
「お前を今まで可愛がっていたのは、精神的に未熟な面があったからだぞ。本来、私はシンディも同じくらい愛しているのだからな」
ここに来て、まさかの爆弾発言……お父様は急に私への態度を軟化させていた。今までは、ジニー優先でエトワール家は動いていたはずだけれど、今ならば私の意見の方が通りやすそうね……。せっかくだから、私は何か頼み事をしてみようかと考え出していた。
「お取込み中、失礼するが……少し、お話しに参加させていただいて宜しいですか?」
「こ、これはディエス様……! ええ、ぜひご参加くださいませ!」
「ありがとう」
そんな時、ディエス・マローネ公爵令息様が私達の前に現れた。それを見たお父様の態度は分かりやすいくらいに変わっている。急にもみ手をし始めたし……。
「私とシンディ殿との婚約発表についてではありますが……」
「ええ、私の自慢の娘になります! もしもよろしければ、ぜひぜひ……! 親の私がこういうのもあれですが、とても器量が良く出来た娘でございまして!」
うわぁ……とても引いてしまうほど、お父様は高速でもみ手をしていた。指紋がなくなるんじゃないかと心配になるくらい……。それから、気持ち悪いくらい、私への賛辞をディエス様に伝えている。
「確かに、シンディ殿は美しいお方だと思います」
「でしょう? それに引き換え、妹のジニーは、姉のシンディの元婚約者を寝取ってしまう、不肖な娘でして……。親としては、悲しい限りでございます……」
……あまりのお父様の変貌振りに、私はとても恥ずかしくなってしまった……。これでは誰が悪役なのかわからない……お父様、聞き耳を立てている貴族は他に居るのよ?
「お、お父様……! 私はフリント様に騙された、被害者なだけなのに……本当に酷過ぎますわ……!」
ディエス様の前で態度が大幅に変わるお父様と、フリント様に騙されたのだと言い張る妹のジニー。ディエス様の前でなんて醜態を晒しているのかしら……これが、私のエトワール家の実情……私はただ、頭を抱える以外に出来ることがなかった。
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