妹に婚約者を奪われましたが、公爵令息から求婚されました!

安奈

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33話 エトワールはどうなるの?

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 シャールック様とのお風呂が終わり、私とライラの二人は脱衣所で着替えを行っていた。用意してきたパジャマでも良かったのだけれど、この後は当主様にお会いするので、最低限の礼節をわきまえた服を与えられた。


「シャールック様、お風呂に入れていただき、ありがとうございました」


 これから、ウォルフ・マローネ公爵にお会いする……王国全体でも位はかなり高いお方だ。王族の人たちでも、そう簡単に意見が出来ないとか聞いたこともあるくらいに……。


 正直、私は緊張していたけれど、それを解してくれたシャールック様にはとても感謝していた。


「緊張するのはいいけどさ……まあ、正直、失望しないようにね……」

「えっ……?」


 それってどういうことかしら……? ま、いいか……。それよりも、シャールック様に聞いておきたいことがあったので、質問する。

「あの、シャールック様……質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「ん? なんだい?」


 シャールック様もお洒落な服装に着替えていた。髪の毛を拭きながら、私の言葉に耳を傾けているみたいね。


「こんな質問は失礼に当たるかもしれませんが……私の家系、エトワール家は今後、どうなるんでしょうか……?」


 その質問にはシャールック様の表情が変化していた。もしかしたら、意外な質問だったのかもしれない。


「エトワール家か……ディエスから概要は聞いているけどね。それなりの力を持つ家系だから、没落することはないと思うよ。次代の当主としては、親戚から引っ張ってくるか、居ないなら養子縁組って手もあるんだし」


「なるほど……没落することはない、と……」


 子供は私とジニーしかいないから、子供が直接当主にはなれないわよね……。まあ、次代の当主が来てくれるかはともかく、あの揉み手の達人のお父様ならなんとかしそうね……。私はエトワール家の破滅を望んでいるわけではないので、今回の一件で没落してしまうんじゃないかと心配になっていた。


 シャールック様は、そんな私の心を読んでくれたのかしら?


「あの、ありがとうございました、シャールック様。こんな質問に答えていただいて……」

「気にすることはないさ、シンディ嬢。お代は身体でいいからさ」

「……えっ?」


 なんだか聞いてはいけないような言葉が聞こえたような……。私は瞬間的に身を引いていた。


「冗談だよ。さて、ダイニングルームに行こうか、そろそろ旦那とかディエスも待機している頃合いだろうし。ああ、さっきも言ったけど、旦那を見て失望しないようにね?」

「それ、念を押されるところなんですか……?」


 普通は失礼のないようにね? とか言われると思うんだけど……。ディエス様の父親のウォルフ様ってどんな人なんだろう? 私は楽しみであると同時に、不安も持っていた。
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