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18話 転落の開始 その3
しおりを挟む「ルデルテ公爵……久しぶり、とでも言えばいいのかな?」
「サウス王子殿下……まさか、このタイミングでお越しになるとはね……それに」
ルデルテ公爵はサウス王子殿下に対して、挨拶もすることはなかった。多分、状況的にそれどころじゃないんだろうけど。それよりも、私の方向を凝視している。
「レミュラ……まさか、私の元に舞い戻ってくるとはな。しかも、こんなにも早く……」
悔しさを滲みだしているルデルテ公爵……なんだか、その言い方だと私が公爵と付き合ってたみたいな感じね。間違ってはいないんだけど、いまさらサウス王子殿下の前で、それを言うのは止めてほしい……。
「舞い戻ってきたと言うか……私はルデルテ公爵が行ったことの真相を探るために来ただけですよ?」
じゃないと、頼んでもルデルテ公爵の元になんか来るわけないでしょ……。よくわからない婚約破棄をされて、職まで失ったのに……。
ルデルテ公爵は、相変わらず私のことを凝視している。私はいい加減、目を背けたかったけど。
「私を破滅させにでも来たのか? お前をクビにした復讐の為に……」
「いや、そういうわけじゃないですけど……」
私は冷たく真顔で返した。復讐とかどうでもいいし……それに、自分で破滅とか言っちゃってるし。自業自得っていう言葉を再確認した方がいいかもしれないわね、この人は。
「私は紫のポーションの効力確認にも呼ばれているんです。念のため、幾つかのサンプル品の確認が必要になりますから」
機械は時間がかかるしね。てっとり早く効力確認して、民衆の体調不良と裏付けるには、どうしても私の力が必要だと、サウス王子殿下が言ってくれたの。私は嬉しくて、ぜひやらせてください! って言った。
やっぱり、ポーションメーカーを名乗っている身としては、体調を壊すポーションの存在は許せないし。作っている人はもっと許せないし……。で、マルクスと取引を交わしてここまで案内してもらったというわけ。
まあ、あのままだったら、マルクスたち役人は終わりだったしね……少しでも罪を軽くするには、サウス王子側について、自らの主を裏切る以外にはなかった。だから実質、マルクスに選択肢はなかったわけで、今に至るって感じ。
「サンプルだと……!?」
「ああ、素直に渡してもらおうか、ルデルテ公爵」
「ご冗談を……何か私に対して、根も葉もない噂で攻勢に掛けておられるようですが……」
「渡す気はないのか?」
「ありませんよ。そもそも、民衆の体調不良など、単なる偶然の産物でしょう……」
あ、そういうこと言えるんだこの人……私はもう、手加減とかをする必要はないんじゃないかと、サウス王子殿下にアイコンタクトで知らせる。
「うむ、わかった」
えっ? 通じたの……ちょっと嬉しかった。
「どのみち、既に調合部門と研究部門は抑えてあるがな」
「はっ? どういうことです……? いくら、王子殿下といえども、公爵である私の私設を勝手に拝借など、許されることではありませんぞ!?」
ルデルテ公爵は、ここぞとばかりに声を荒げていたけど、サウス王子殿下には全く響いている様子はなかった。
「マルクスが案内役になってくれたからな。まあ、これで何も出て来なかったら私も責任を問われるだろうが、そんなことはあり得ないだろう?」
「……!!!」
ルデルテ公爵はこの日一番の驚愕の顔を私とサウス様に見せてくれた。だめ……笑っちゃいけないんだけど、笑ってしまう……!
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