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20話 転落の開始 その5
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私はもう、落胆しすぎて、サウス王子殿下に渡されていた紫色のポーションを、ルデルテ侯爵に投げつけてやりたい気分になっていた。自分勝手な言い分で私との婚約を破棄して、さらに宮殿からも追い出したのに。
本当に目の前の公爵が一時、私の婚約者だったことに辟易するわ……。
「ルデルテ公爵……最早、自分でも正論を言っていないことに気付いているだろう? そんな言い訳ですらない言葉が、通用するとでも思っているのか?」
ルデルテ公爵の身勝手な言い分に対して、サウス王子殿下はどこまでも冷静だった。いえ、冷静というよりはなんだろう……冷徹な雰囲気を纏っていると言った方が正しいかもしれない。
私を平民だからという理由で追い出し、ポーション製造は量産体制で作られて行った……確かに、完璧なポーションを量産できるのなら、私一人くらい飛ばしたところで、大した損害は出なかったんだろうけど……。
でも実際は、万能薬の効力を生じるポーション製造には程遠かったみたいね。
「く、くそ……! なぜ、こんなことに……!
「安易な量産体制に走り、レミュラを切り捨てたことが全ての原因だったな、ルデルテ公爵」
「な、なにをおっしゃいますか……。少なくとも、5割の確率で成功品のポーションは出来ていたのだ。レミュラが単独で作り出す数よりも、それでも多いくらいですぞ!?」
そう言いながら、ルデルテ公爵は自らの懐からポーションを取り出し、サウス王子殿下に渡した。多分、私が作ったものではなく、ここの調合、研究部門で作ったポーションなんだろうけど……。小瓶の形が違うから、そこはすぐに分かった。私の場合は、ポーションを入れる容器まで精製可能だから。
「レミュラ、この成功品のポーションの鑑定もお願いしてもいいだろうか?」
「はい、わかりました」
私はそのポーションを受け取ると、言われた通り鑑定に入った。
……紫色のポーションよりは効果が高いけれど……それでも、回復能力は私の物の70%くらいかしら? さらに、状態異常回復や病気等への効果は期待できなさそうね。このポーションでも万能薬というには、全然足りないわ。
私はサウス王子殿下にそのことを伝えた。流石に彼も予想していなかったのか苦笑いになっている。
「はは、そうなのか……。なら、ルデルテ公爵の調合、研究部門の成果は失敗に違いということか」
「そ、そんなことがあるわけが……! レミュラ貴様……ここまでして、私をコケにしたいのか!?」
「いやでも、機械に通せば時間はかかるけど、いずれは分かることですよ?」
私は自分の鑑定が間違っていないと断言していた。むしろ、成分機械よりも精密にポーションの実態であれば、鑑定できるという自負すらある。私のその自信を見て、ルデルテ公爵は何も言えなくなってしまった。元々私は、このスキルで公爵様との縁談を可能にしたわけだから、ある種の信頼があるんだと思う。
ルデルテ公爵もついに観念したみたいね。その場に力なく座り込んでいた。
「名称を変えた方がいいかもしれないな。レミュラの創り出すポーションは、スーパーポーションとでも名付けるか」
ネーミングセンスのことは置いておいて……確かに、名称変更は必要かもしれない。少なくとも、ルデルテ公爵の量産体制で作られた50%のポーションは、使用しても問題はないのだし、安価で購入できるようにすれば、王国側としても儲けられると思うし。
ただ、ルデルテ公爵の信用が地に落ちた現在、彼の統括していた部門で作り出すポーションが売れるかどうかは、非常に微妙だと思うけど。
「さて、ルデルテ・バーンよ……」
「は、はい……」
サウス王子殿下は、座り込んでいるルデルテ公爵を睨みつけている。
「お前の行ったことは重罪だ……。レミュラに婚約破棄を言い渡し、勝手に追放した罰も、今回は課されるだろう。国の至宝になり得る人物を追放したのだからな」
国の至宝……それって私のこと? サウス王子殿下は無意識に言ったのだと思うけど、流石にその言い回しは照れ臭い。いえ、とても嬉しいし名誉な言葉なんだけれど……好きだったサウス王子殿下に言われているからかもしれないわね。
ルデルテ公爵の断罪の時というシリアスな場面だったけれど、私は顔を赤くして俯いていた……。
本当に目の前の公爵が一時、私の婚約者だったことに辟易するわ……。
「ルデルテ公爵……最早、自分でも正論を言っていないことに気付いているだろう? そんな言い訳ですらない言葉が、通用するとでも思っているのか?」
ルデルテ公爵の身勝手な言い分に対して、サウス王子殿下はどこまでも冷静だった。いえ、冷静というよりはなんだろう……冷徹な雰囲気を纏っていると言った方が正しいかもしれない。
私を平民だからという理由で追い出し、ポーション製造は量産体制で作られて行った……確かに、完璧なポーションを量産できるのなら、私一人くらい飛ばしたところで、大した損害は出なかったんだろうけど……。
でも実際は、万能薬の効力を生じるポーション製造には程遠かったみたいね。
「く、くそ……! なぜ、こんなことに……!
「安易な量産体制に走り、レミュラを切り捨てたことが全ての原因だったな、ルデルテ公爵」
「な、なにをおっしゃいますか……。少なくとも、5割の確率で成功品のポーションは出来ていたのだ。レミュラが単独で作り出す数よりも、それでも多いくらいですぞ!?」
そう言いながら、ルデルテ公爵は自らの懐からポーションを取り出し、サウス王子殿下に渡した。多分、私が作ったものではなく、ここの調合、研究部門で作ったポーションなんだろうけど……。小瓶の形が違うから、そこはすぐに分かった。私の場合は、ポーションを入れる容器まで精製可能だから。
「レミュラ、この成功品のポーションの鑑定もお願いしてもいいだろうか?」
「はい、わかりました」
私はそのポーションを受け取ると、言われた通り鑑定に入った。
……紫色のポーションよりは効果が高いけれど……それでも、回復能力は私の物の70%くらいかしら? さらに、状態異常回復や病気等への効果は期待できなさそうね。このポーションでも万能薬というには、全然足りないわ。
私はサウス王子殿下にそのことを伝えた。流石に彼も予想していなかったのか苦笑いになっている。
「はは、そうなのか……。なら、ルデルテ公爵の調合、研究部門の成果は失敗に違いということか」
「そ、そんなことがあるわけが……! レミュラ貴様……ここまでして、私をコケにしたいのか!?」
「いやでも、機械に通せば時間はかかるけど、いずれは分かることですよ?」
私は自分の鑑定が間違っていないと断言していた。むしろ、成分機械よりも精密にポーションの実態であれば、鑑定できるという自負すらある。私のその自信を見て、ルデルテ公爵は何も言えなくなってしまった。元々私は、このスキルで公爵様との縁談を可能にしたわけだから、ある種の信頼があるんだと思う。
ルデルテ公爵もついに観念したみたいね。その場に力なく座り込んでいた。
「名称を変えた方がいいかもしれないな。レミュラの創り出すポーションは、スーパーポーションとでも名付けるか」
ネーミングセンスのことは置いておいて……確かに、名称変更は必要かもしれない。少なくとも、ルデルテ公爵の量産体制で作られた50%のポーションは、使用しても問題はないのだし、安価で購入できるようにすれば、王国側としても儲けられると思うし。
ただ、ルデルテ公爵の信用が地に落ちた現在、彼の統括していた部門で作り出すポーションが売れるかどうかは、非常に微妙だと思うけど。
「さて、ルデルテ・バーンよ……」
「は、はい……」
サウス王子殿下は、座り込んでいるルデルテ公爵を睨みつけている。
「お前の行ったことは重罪だ……。レミュラに婚約破棄を言い渡し、勝手に追放した罰も、今回は課されるだろう。国の至宝になり得る人物を追放したのだからな」
国の至宝……それって私のこと? サウス王子殿下は無意識に言ったのだと思うけど、流石にその言い回しは照れ臭い。いえ、とても嬉しいし名誉な言葉なんだけれど……好きだったサウス王子殿下に言われているからかもしれないわね。
ルデルテ公爵の断罪の時というシリアスな場面だったけれど、私は顔を赤くして俯いていた……。
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