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29話 罪と罰 その1(ルデルテ公爵視点)
しおりを挟む「それで……? いつまで、私をこんなところに入れておくつもりだ?」
「わ、私に聞かれましても……申し訳ありません」
「ふん、貴様の顔は覚えたぞ。私が自由になった暁には、貴様は辺境地に飛ばしてやる」
「そ、そんな……!」
私は現在、牢獄という場所に入れられている。そう……家畜と同じ、いや、それ以下の生きる価値のない者共が投獄される場所だ。私はそこに居る門番の兵士と会話を楽しんでいた。
こんな、底辺連中の監視任務など、さぞかし底辺の兵士がやっているのだろうと考えていたが……やはりか。奴は私の持つ権力にすっかり怯えている。私がさらに恫喝すれば、牢獄の鍵すら渡しそうな勢いだ。だが、そこまではしないでおいてやるか。
「放った影は既に議会の連中と話を付けているはず……私が免罪として表舞台に出るのも、もうすぐだ」
この牢獄に入れられて1週間ほどが経過していた。私は議会の準備が整うまでは、待機させられているわけだが……暇だ。
「へへへ、旦那ほどの人物でも投獄されるんですね……」
「まあな。今の政権は頭が固すぎるようだ……私の息のかかった者が次期国王になれば、大分住みやすい世の中になるんだがな」
話しかけているのは、前方の牢屋に入れられている、薄汚い囚人だ。婦女暴行かなにかを数件やらかした罪に問われているらしいが。ふん、みみっちいことだ……私の財力があれば、王国でもトップレベルの美女を裏の店から仕入れることも出来るからな。
そう考えると、最近は発散していない……早く自由になって、良い女でも囲い込みたいものだな。
「しかし、旦那、大丈夫なんですかい? ポーション関連に事件は結構、噂になってますぜ? いくら公爵である旦那でも……揉み消すなんてのは……」
「ふん、これだから、底辺の人間は嫌いなんだ」
「はあ……底辺の人間ですか……」
前方の牢獄に居る囚人は首を傾げていた。ふん……教養すらまともに学んでいない者が私に意見をするなど、100年は早いというものだ。
全ては水面下で動いている……私の影が議会を裏から説得し、私を無罪放免にするのだ。公爵であるこの、ルデルテ・バーンであれば、そのくらいの芸当は容易に出来るというものだ……!
「ルデルテ公爵……出てください」
「ああ、やっとか……」
私は重い腰を上げ、牢獄の扉を開ける兵士2名と視線を合わせた。今から向かう先は議会だろうか? いや、それよりも私の調合、研究部門の様子も気になるところだ。先にそちらに向かわせてもらうか。
「これから向かう先は?」
「議会になります」
やはり……全ては水面下で、私の計画通りに事が運んでいるみたいだな。この二人の兵士も、私には細心の礼儀を計らうように言われているはずだ。よし、何も問題はない……。
「ああ、それより……先に私の研究部門へ行きたいんだが」
私の予想では二つ返事が返ってくると思っていた。しかし、目の前の兵士二人は呆けた表情になっている。まるで「こいつは何を言っているんだ?」とでも言っているようだ。
……なにかがおかしい?
「どういうことかはわかりませんが……あなたはこれから議会に向かう自由しか与えられていません。その辺りは勘違いしないように」
「……なんだと?」
「それに……あなたの研究部門や調合部門はレミュラ様やサウス王子殿下を筆頭として、新たな部門に変わっていますよ?」
「……!!」
な、なんだと……どういうことだ? 私は目の前の兵士達の言葉を理解することが出来ないでいた……。
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