没落貴族のやりすぎ異世界転生者は妹の病を治すため奔走する~しかし僕は知らなかった。どうやらこの世界はショタ好きが多いようです~

マーラッシュ

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竜の血

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 光が収まるとそこには⋯⋯変わらぬルビーさんの姿があった。

「なんじゃ今のは?」
「国宝級の回復薬だったんだけど⋯⋯」
「回復薬? 確かに少しだけ痛みが取れたような気がするが⋯⋯」

 ルビーさんの傷が治ることはなかった。
 国宝級のアイテムも効かないとするとどうすればいいんだ。

「一応今のものが後二つあるけど、それを使えば治るかな?」
「いや、無理じゃろう」

 それなら手の施しようがない。いったいどうすればいいんだ。

「ルリシアさん、最上級ポーション以上のアイテムとか回復魔法ってあるのかな?」
「私が知る限りではないわ。本に乗っている伝説上のアイテムなら別だけど」

 それは実質無理だと言っているようなものだ。
 ルビーさんの傷を治すことは出来ないということか。

 俺もルリシアさんも結果がわかってしまい、声も出せず俯いてしまう。
 ルビーさんは限界が近いと言っていた。このままだと本当に命を落としてしまため、トアの件がなかったとしても何とかしてあげたい。
 しかし良い案が出ることはなく、ただ時間だけが過ぎていく。

「お主らは良いやつじゃな」

 ルビーさんが沈黙を破り呟く。

「我が傷ついてると知るとすぐに治療してくれた。そして傷が治らないとわかると、自分のことのように悲しんでおる」
「苦しんでいる人がいるなら助けるのが普通だわ。それにルビーはずっと私の一族の墓を守ってくれてるから。何とかしたいと思うのは当然じゃない」
「そうか⋯⋯お主は五十年前にあった者達とは違うのだな」
「同じ一族だからといって良い人も悪い人もいるから、ルビーが自分の目で判断すればいいと思う。実は私も悪い子かもしれないし」

 確かに同じ血を引いていても、ルリシアさんみたいに良い人もいればサハディンやデルカルトのように悪い奴もいる。

「そうじゃな。じゃがもうその必要もない」
「どういうこと?」
「お主の妹を治す方法を教えてしんぜよう」
「本当!?」
「うむ。それは我の血を飲むことだ」
「ルビーさんの血⋯⋯」
「そうじゃ。さすれば妹の筋力は人並みになるじゃろう」
「えっ? でもそれは⋯⋯」

 ルビーさんは傷を負い、無理矢理血が出るのを止めていると言っていた。そしてもう限界だと。そのような状態で血をとればルビーさんはどうなるんだ?

「お主が考えている通りじゃ。これから我の首筋の傷から血が出てくるじゃろう。その血を妹に飲ませるがよい」
「でもそんなことをしたらルビーさんは⋯⋯」
「どのみち我の命は長くない。最後に一人の少女を救えるなら、生き延びた意味もあるというものだ」

 ここでありがとうと答えれば、トアの命は救われるかもしれない。正直トアの病を治すためならどんなことでもするつもりだった。
 だけど目の前のルビーを見て、そのような決断をすることが出来ないでいる。

 どうすればいいのかわからない。
 竜の命とトアの命。もちろん一番大切なのはトアの命だ。
 だけどルビーは初代皇帝の恩に報いるため、何百年もこの地を守ってきた。
 それなのにトアのために死んでくれなんて、俺には言うことは出来ない。
 それはルリシアさんも同じだろう。

 どうする? どうすればいい?
 このままだとどのみちルビーの命は失われる。
 何か⋯⋯何かルビーの傷を治す方法はないのか?
 最上級ポーション以上の効果を持つもの⋯⋯それは伝説上のものだとルリシアさんは言った。
 そんなもの探すのは不可能だし、作るのも⋯⋯
 いや、作り出すことは不可能じゃない。
 俺は目の前に浮いている古文書から、二枚のカードを手に取る。

「ユートくん? どうしたの?」
「少し試してみたいことがあるんだ。だからルビーさんもまだ諦めないで」
「わかった。それにしても⋯⋯どんなに絶望的な状況でも希望を感じさせるその目は⋯⋯かつて見たランフォードの目にそっくりじゃ」

 俺はルビーさんを助けるため、手に取った二枚のカードを古文書にセットするのであった。
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