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入学試験(2)
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「第六会場はこちらになります」
案内に従って部屋に入ると、そこには多数の受験者が試験のためか本を見ていた。
そして皆こちらに視線を送り、何やら小声で話始める。
「いやだ。すごく可愛い子が来たわ」
「もしかして十歳なのかな?」
「記念受験で来たのかよ。こっちは必至になってやってるんだ。遊びなら帰ってほしいぜ」
好奇心四割、敵意六割といった所か。
まあ相手にしないのが無難だな。
俺は周囲の声を無視して、座席表を見ながら自分の席を探す。
六百六十六番は⋯⋯あったあった。
試験まで後十分。トイレは大丈夫。筆記用具もある。
後は瞑想でもしてこのままおとなしく待ってよう。
しかし俺の時間は突如破られる。
「なあなあ。お前何歳? 俺はトール、十五歳だ」
隣の席の人が話しかけてきた。本当は無視したい所だけど、自己紹介してきたから仕方なく答える。
「僕はユート、十歳です」
「やっぱりそうか。見た感じ幼いと思ったんだよ。受験は初めてか? なら俺が色々レクチャーしてやる。俺は今年で五回目の試験で、去年はギリギリ合格出来なかったんだぜ」
このトールという男は頼んでもないのに、ペラペラ喋り始めた。
ギリギリだろうがなかろうと不合格したのは変わらないぞ。
「おい、あいつトールに絡まれているぞ」
「誰か止めてあげたら」
「まあ例えガキでもライバルが減るなら言う必要なくね?」
何だか不穏な言葉が聞こえて来るのは気のせいか?
「筆記試験は例年と変わらないなら、百問中七十点は取らねえとダメだぜ。ちなみに実技試験が良くても筆記試験が悪ければ落ちるからな」
なるほど。文武両道でないと受からないということか。
まあ俺には関係ない話だけど。
「さっきから黙っちゃってどうした? 緊張しているのか?」
「そんなことないよ。ただ試験の前に心を落ち着かせているだけだよ」
「それなら飴でも食べるか? 糖分は頭を働かせるのに良いっていうしな」
トールはカバンに入っていた袋から、飴を一つ取り出し渡してくる。
普通に考えれば、年上の優しいお兄さんに見えるけど、この男は断じてそのようなものではない。
何故なら皇帝時間が発動したからだ。
時が止まり、この世界で動けるものは俺だけとなる。
「やれやれ、飴に毒でもいれたのか?」
まあここで俺が飴を食べて死んだらこいつの責任になるから、吐き気をもよおす物か、下剤といった所だろう。
これはカードを使って確認するまでもない。
俺はとりあえずカードを五枚引くが、すぐに古文書ごと仕舞った。すると再び時が動き出す。
「その飴はお兄さんが食べたら?」
「えっ?」
「それとも何か食べられない事情でもあるの?」
トールは俺の言葉に動揺して目が泳いでいる。
やはり飴に何か仕込んでいたようだ。
「い、いや⋯⋯俺は飴が嫌いなんだ」
「それなら何で飴を試験会場に持ってきているの?」
「そ、それは⋯⋯」
トールは黙ってしまう。
もうこれは状況証拠だけで誰もが有罪とわかるだろう。
だが運がいいのか、ここでトールに助け船が出される。
キンコンカンコーン
試験の開始時間なのか、学園にチャイムが鳴り響いた。
「そ、そろそろ試験が始まるぞ。邪魔して悪かったな」
トールは飴を袋に仕舞って慌てた様子で自分の席に座る。
「あいつ⋯⋯新人クラッシャーの魔の手から逃れたぞ」
「あの飴には下剤でも入ってたんでしょ? 去年それで試験中にトイレに行ってる人を何人か見たわ」
「逆に追い詰められちゃってダサ~い」
周囲がトールの方に視線を送りクスクスと笑い始める。
本当ろくでもない奴だな。だけどそれを知ってて止めないこいつらも同罪だ。そんなに人を蹴落として合格したいのか?
だったらそのような奴らに俺は負ける訳にはいかない。
「それではこれよりブレイヴ学園の入学試験を行う!」
そして試験官らしき人が声を上げながら教室に入ってくると、周囲は静かになった。
「これから問題用紙を配布する。カンニングをした者は、今後ブレイヴ学園の入学試験は受けることが出来ないと思え」
試験官が裏面で問題用紙を配る。
「筆記試験の時間は二時間。それでは始め!」
試験官が開始の合図をすると、受験生達は一斉に問題用紙を捲るのだった。
案内に従って部屋に入ると、そこには多数の受験者が試験のためか本を見ていた。
そして皆こちらに視線を送り、何やら小声で話始める。
「いやだ。すごく可愛い子が来たわ」
「もしかして十歳なのかな?」
「記念受験で来たのかよ。こっちは必至になってやってるんだ。遊びなら帰ってほしいぜ」
好奇心四割、敵意六割といった所か。
まあ相手にしないのが無難だな。
俺は周囲の声を無視して、座席表を見ながら自分の席を探す。
六百六十六番は⋯⋯あったあった。
試験まで後十分。トイレは大丈夫。筆記用具もある。
後は瞑想でもしてこのままおとなしく待ってよう。
しかし俺の時間は突如破られる。
「なあなあ。お前何歳? 俺はトール、十五歳だ」
隣の席の人が話しかけてきた。本当は無視したい所だけど、自己紹介してきたから仕方なく答える。
「僕はユート、十歳です」
「やっぱりそうか。見た感じ幼いと思ったんだよ。受験は初めてか? なら俺が色々レクチャーしてやる。俺は今年で五回目の試験で、去年はギリギリ合格出来なかったんだぜ」
このトールという男は頼んでもないのに、ペラペラ喋り始めた。
ギリギリだろうがなかろうと不合格したのは変わらないぞ。
「おい、あいつトールに絡まれているぞ」
「誰か止めてあげたら」
「まあ例えガキでもライバルが減るなら言う必要なくね?」
何だか不穏な言葉が聞こえて来るのは気のせいか?
「筆記試験は例年と変わらないなら、百問中七十点は取らねえとダメだぜ。ちなみに実技試験が良くても筆記試験が悪ければ落ちるからな」
なるほど。文武両道でないと受からないということか。
まあ俺には関係ない話だけど。
「さっきから黙っちゃってどうした? 緊張しているのか?」
「そんなことないよ。ただ試験の前に心を落ち着かせているだけだよ」
「それなら飴でも食べるか? 糖分は頭を働かせるのに良いっていうしな」
トールはカバンに入っていた袋から、飴を一つ取り出し渡してくる。
普通に考えれば、年上の優しいお兄さんに見えるけど、この男は断じてそのようなものではない。
何故なら皇帝時間が発動したからだ。
時が止まり、この世界で動けるものは俺だけとなる。
「やれやれ、飴に毒でもいれたのか?」
まあここで俺が飴を食べて死んだらこいつの責任になるから、吐き気をもよおす物か、下剤といった所だろう。
これはカードを使って確認するまでもない。
俺はとりあえずカードを五枚引くが、すぐに古文書ごと仕舞った。すると再び時が動き出す。
「その飴はお兄さんが食べたら?」
「えっ?」
「それとも何か食べられない事情でもあるの?」
トールは俺の言葉に動揺して目が泳いでいる。
やはり飴に何か仕込んでいたようだ。
「い、いや⋯⋯俺は飴が嫌いなんだ」
「それなら何で飴を試験会場に持ってきているの?」
「そ、それは⋯⋯」
トールは黙ってしまう。
もうこれは状況証拠だけで誰もが有罪とわかるだろう。
だが運がいいのか、ここでトールに助け船が出される。
キンコンカンコーン
試験の開始時間なのか、学園にチャイムが鳴り響いた。
「そ、そろそろ試験が始まるぞ。邪魔して悪かったな」
トールは飴を袋に仕舞って慌てた様子で自分の席に座る。
「あいつ⋯⋯新人クラッシャーの魔の手から逃れたぞ」
「あの飴には下剤でも入ってたんでしょ? 去年それで試験中にトイレに行ってる人を何人か見たわ」
「逆に追い詰められちゃってダサ~い」
周囲がトールの方に視線を送りクスクスと笑い始める。
本当ろくでもない奴だな。だけどそれを知ってて止めないこいつらも同罪だ。そんなに人を蹴落として合格したいのか?
だったらそのような奴らに俺は負ける訳にはいかない。
「それではこれよりブレイヴ学園の入学試験を行う!」
そして試験官らしき人が声を上げながら教室に入ってくると、周囲は静かになった。
「これから問題用紙を配布する。カンニングをした者は、今後ブレイヴ学園の入学試験は受けることが出来ないと思え」
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