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シャドウマスター
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右腕を切断され、その痛みからか地面をのたうち回り絶叫しているクルガの側にフードを被った黒衣の者が立っていた。
「お前は何者だ! それとその手に持っている物を返してもらおうか」
黒衣の者は切断されたクルガの右手に握っていた死霊の笛を手にしていた。
なぜ死霊の笛を? だが人の腕を斬ってまで手に入れた物だ⋯⋯ろくな使い方はしないだろう。
「ひぃ、ひぃ! しぬぅぅ! ひ、回復魔法を」
どうやらクルガは自力で右腕に回復魔法をかけたようだが切れた右腕は再生せず、血が止まる程度のようだ。とりあえず今はクルガに構っている暇はない。目の前にいる黒衣の者の殺気がそう教えてくれている。
「計らずも死霊の笛が見つかるとはな」
黒衣の者は男性と思われる低い声で返答してきた。「計らずも」とは死霊の笛が目的ではなかったということか?
「とにかくその笛を渡すわけにはいかない」
俺は腰に差した剣を居合いで抜き、黒衣の者の首を狙って横一閃になぎ払う。
「もらった!」
しかし俺の剣は黒衣の者を捉えることはできず空を切る。
タイミング的には攻撃が当たるはずだったが黒衣の者は地面に吸い込まれ、次に現れたのは10メートルは離れた岩の前だった。
「なるほど⋯⋯気配もなく突然現れたのは影の中を移動してきたからか」
「その通りだ⋯⋯そしてこんなこともできるぞ⋯⋯影刃闇魔法」
黒衣の者が言葉にした魔法は聞いたことのないものだった。だが影と言っている以上影が関係しているはず。
俺は1番近い自分の影を注視すると⋯⋯予想通り影が錐となって俺の腹部へと伸びてきたので剣で切り払う。
「パパ!」
「ユクト!」
トアとコトは俺が影の攻撃を食らっていると思い悲鳴に近い声を上げるが大丈夫⋯⋯俺はかすり傷すら受けていない。
「ほう⋯⋯よくかわせたな。この影の刃を初見でかわせるものがこの時代にいたとは」
この時代? 何を言っているんだ? 黒衣の者は高齢の老人とでもいうのか? だが声からして俺と同じくらいの年齢に思えるが⋯⋯。
「それは光栄だとでも言えばいいのか?」
「そうだな誇るがいい⋯⋯だが次はかわせるかな」
そう言って黒衣の者は再び影に潜ると次は学生達の背後に現れ、そして魔法の詠唱を始める。
「光と表裏一体の影よ⋯⋯その忌まわしき力を持って我が敵を貫け⋯⋯影刃闇魔法」
黒衣の者が魔法を唱えると学生達の影から錐の刃が現れる。
まさか学生達を狙うつもりか! 俺は黒衣の者が影の中に消えたことで一瞬見失ってしまい、学生達への防御魔法を使うことが出来なかった。
「ぎゃあっ!」
「きゃあ!」
「ぐわぁぁぁ!」
そして学生達は黒衣の者の攻撃をかわすことができず影の錐をまともに食らってしまう。
その場に倒れず立っているものいるが、ほとんどの者は大量の血を流し地面にひれ伏している。
「トア! コト! 大丈夫か!」
「うん⋯⋯トアは平気」
「肩を怪我したけど大丈夫よ」
俺はトアとコトが無事なことに安堵するがそれと同時に2人を攻撃した黒衣の者に怒りを顕にする。
トアとコトに手を出すとは良い度胸だ⋯⋯これからはもう容赦しない!
しかし剣にせよ魔法にせよ攻撃する度に影に逃げられたら敵わない。闇雲に攻撃してもこちらの体力と魔力を消費するだけだ⋯⋯それなら⋯⋯。
「トア! 結界を頼む」
「うん⋯⋯トアに任せて」
黒衣の者を倒すことも重要だがまずは学生達を護るのが先決だ。まだ命を失っているものはいないが次に攻撃されたらおそらく死、あるのみだ。
そして黒衣の者は先程と同じ様に影に潜り、今度はトアの近くにある木の影に現れ魔法の詠唱を始める。
「これで終わりだ⋯⋯光と表裏一体の影よ⋯⋯その忌まわしき力を持って我が敵を貫け⋯⋯影刃闇魔法」
「させません! 揺らぎなき光よ⋯⋯全てのものを癒し全ての攻撃を拒絶する神域を創成して! 聖結界光魔法」
黒衣の者が影の刃を学生達に放つがそれと同時にトアの魔法も完成し、学生達を包み込む広範囲の白い光の壁が展開される。
「うわぁぁぁ!」
「あれ?」
「影が⋯⋯消えた!?」
学生達は自分を襲ってきた影の刃が突如消失し驚きを隠せない。
トアの放った聖結界光魔法は極大魔法で結界内外の攻撃を遮断する効果と⋯⋯。
「えっ? 何これ?」
「傷が⋯⋯癒えている」
回復魔法程度の効力だが結界内にいる者を癒す作用があるのだ。
そして俺は黒衣の者が影刃闇魔法を使い隙ができた所を狙って無詠唱で魔法放つ。
「聖なる光線魔法」
上空から直径1メートル程度の聖なる光線が黒衣の者に降り注ぐ。
「ぐわあっ!」
黒衣の者は聖なる光線をまともに食らうと声を上げながら消滅していった。
「やったか!」
タイミング的には魔法が直撃したように見えたし、気配を探っても先程まで感じた禍々しい嫌な空気は消失している⋯⋯。
「さすがパパです」
「ふ、ふん! 少しはやるじゃない」
トアとコトが俺の側に来て称賛? してくれるが⋯⋯戦いはまだ終わっていない。
「いい加減かくれんぼは飽きてきたぞ」
俺はどこにいるかもわからない黒衣の者に向かって語りかける。するとすぐに声が返ってきた。
「ほう⋯⋯よく私が生きていることがわかったな」
「魔法が直撃した時にお前の身体が一瞬で消滅したから死んだ振りをしていると判断しただけだ。せめて手足くらい残しておくべきだったな」
いくら聖なる光線魔法を食らったからといって身体全体が消滅するのは不自然過ぎる。
「こちらとしては死霊の笛を手に入れることができれば深追いはしないつもりだったが⋯⋯」
「それは神聖教会養成学校の物だ。お前のような怪しい奴に渡すわけにはいかない」
「これはおかしなことを口にする。貴様の言うことに道理があるならばやはり私がこの笛を持ち帰り、我が主に渡すことが正しい」
「それはどういうことだ?」
こいつが何を言っているのか意味がわからない。それに主だと⋯⋯他に仲間がいるのか?
俺は黒衣の者の言葉を聞いてさらに警戒を強める。
しかし魔法を発動したタイミングで攻撃してもダメージを負わせることができないとは⋯⋯いやよく注視してみると黒衣の者は右腕から血が滲んでいるのが見える。どうやら俺の魔法を無傷でかわしたわけではなかったようだ。
「貴様に話す必要はない。だが久方ぶりに楽しい戦いだった⋯⋯褒美に私の名前を教えてやろう。私はクロウ⋯⋯シャドウマスターの称号を持つものだ」
そして死霊の笛を手にしたクロウは影に潜ると再びこの場に現れることはなかった。
「お前は何者だ! それとその手に持っている物を返してもらおうか」
黒衣の者は切断されたクルガの右手に握っていた死霊の笛を手にしていた。
なぜ死霊の笛を? だが人の腕を斬ってまで手に入れた物だ⋯⋯ろくな使い方はしないだろう。
「ひぃ、ひぃ! しぬぅぅ! ひ、回復魔法を」
どうやらクルガは自力で右腕に回復魔法をかけたようだが切れた右腕は再生せず、血が止まる程度のようだ。とりあえず今はクルガに構っている暇はない。目の前にいる黒衣の者の殺気がそう教えてくれている。
「計らずも死霊の笛が見つかるとはな」
黒衣の者は男性と思われる低い声で返答してきた。「計らずも」とは死霊の笛が目的ではなかったということか?
「とにかくその笛を渡すわけにはいかない」
俺は腰に差した剣を居合いで抜き、黒衣の者の首を狙って横一閃になぎ払う。
「もらった!」
しかし俺の剣は黒衣の者を捉えることはできず空を切る。
タイミング的には攻撃が当たるはずだったが黒衣の者は地面に吸い込まれ、次に現れたのは10メートルは離れた岩の前だった。
「なるほど⋯⋯気配もなく突然現れたのは影の中を移動してきたからか」
「その通りだ⋯⋯そしてこんなこともできるぞ⋯⋯影刃闇魔法」
黒衣の者が言葉にした魔法は聞いたことのないものだった。だが影と言っている以上影が関係しているはず。
俺は1番近い自分の影を注視すると⋯⋯予想通り影が錐となって俺の腹部へと伸びてきたので剣で切り払う。
「パパ!」
「ユクト!」
トアとコトは俺が影の攻撃を食らっていると思い悲鳴に近い声を上げるが大丈夫⋯⋯俺はかすり傷すら受けていない。
「ほう⋯⋯よくかわせたな。この影の刃を初見でかわせるものがこの時代にいたとは」
この時代? 何を言っているんだ? 黒衣の者は高齢の老人とでもいうのか? だが声からして俺と同じくらいの年齢に思えるが⋯⋯。
「それは光栄だとでも言えばいいのか?」
「そうだな誇るがいい⋯⋯だが次はかわせるかな」
そう言って黒衣の者は再び影に潜ると次は学生達の背後に現れ、そして魔法の詠唱を始める。
「光と表裏一体の影よ⋯⋯その忌まわしき力を持って我が敵を貫け⋯⋯影刃闇魔法」
黒衣の者が魔法を唱えると学生達の影から錐の刃が現れる。
まさか学生達を狙うつもりか! 俺は黒衣の者が影の中に消えたことで一瞬見失ってしまい、学生達への防御魔法を使うことが出来なかった。
「ぎゃあっ!」
「きゃあ!」
「ぐわぁぁぁ!」
そして学生達は黒衣の者の攻撃をかわすことができず影の錐をまともに食らってしまう。
その場に倒れず立っているものいるが、ほとんどの者は大量の血を流し地面にひれ伏している。
「トア! コト! 大丈夫か!」
「うん⋯⋯トアは平気」
「肩を怪我したけど大丈夫よ」
俺はトアとコトが無事なことに安堵するがそれと同時に2人を攻撃した黒衣の者に怒りを顕にする。
トアとコトに手を出すとは良い度胸だ⋯⋯これからはもう容赦しない!
しかし剣にせよ魔法にせよ攻撃する度に影に逃げられたら敵わない。闇雲に攻撃してもこちらの体力と魔力を消費するだけだ⋯⋯それなら⋯⋯。
「トア! 結界を頼む」
「うん⋯⋯トアに任せて」
黒衣の者を倒すことも重要だがまずは学生達を護るのが先決だ。まだ命を失っているものはいないが次に攻撃されたらおそらく死、あるのみだ。
そして黒衣の者は先程と同じ様に影に潜り、今度はトアの近くにある木の影に現れ魔法の詠唱を始める。
「これで終わりだ⋯⋯光と表裏一体の影よ⋯⋯その忌まわしき力を持って我が敵を貫け⋯⋯影刃闇魔法」
「させません! 揺らぎなき光よ⋯⋯全てのものを癒し全ての攻撃を拒絶する神域を創成して! 聖結界光魔法」
黒衣の者が影の刃を学生達に放つがそれと同時にトアの魔法も完成し、学生達を包み込む広範囲の白い光の壁が展開される。
「うわぁぁぁ!」
「あれ?」
「影が⋯⋯消えた!?」
学生達は自分を襲ってきた影の刃が突如消失し驚きを隠せない。
トアの放った聖結界光魔法は極大魔法で結界内外の攻撃を遮断する効果と⋯⋯。
「えっ? 何これ?」
「傷が⋯⋯癒えている」
回復魔法程度の効力だが結界内にいる者を癒す作用があるのだ。
そして俺は黒衣の者が影刃闇魔法を使い隙ができた所を狙って無詠唱で魔法放つ。
「聖なる光線魔法」
上空から直径1メートル程度の聖なる光線が黒衣の者に降り注ぐ。
「ぐわあっ!」
黒衣の者は聖なる光線をまともに食らうと声を上げながら消滅していった。
「やったか!」
タイミング的には魔法が直撃したように見えたし、気配を探っても先程まで感じた禍々しい嫌な空気は消失している⋯⋯。
「さすがパパです」
「ふ、ふん! 少しはやるじゃない」
トアとコトが俺の側に来て称賛? してくれるが⋯⋯戦いはまだ終わっていない。
「いい加減かくれんぼは飽きてきたぞ」
俺はどこにいるかもわからない黒衣の者に向かって語りかける。するとすぐに声が返ってきた。
「ほう⋯⋯よく私が生きていることがわかったな」
「魔法が直撃した時にお前の身体が一瞬で消滅したから死んだ振りをしていると判断しただけだ。せめて手足くらい残しておくべきだったな」
いくら聖なる光線魔法を食らったからといって身体全体が消滅するのは不自然過ぎる。
「こちらとしては死霊の笛を手に入れることができれば深追いはしないつもりだったが⋯⋯」
「それは神聖教会養成学校の物だ。お前のような怪しい奴に渡すわけにはいかない」
「これはおかしなことを口にする。貴様の言うことに道理があるならばやはり私がこの笛を持ち帰り、我が主に渡すことが正しい」
「それはどういうことだ?」
こいつが何を言っているのか意味がわからない。それに主だと⋯⋯他に仲間がいるのか?
俺は黒衣の者の言葉を聞いてさらに警戒を強める。
しかし魔法を発動したタイミングで攻撃してもダメージを負わせることができないとは⋯⋯いやよく注視してみると黒衣の者は右腕から血が滲んでいるのが見える。どうやら俺の魔法を無傷でかわしたわけではなかったようだ。
「貴様に話す必要はない。だが久方ぶりに楽しい戦いだった⋯⋯褒美に私の名前を教えてやろう。私はクロウ⋯⋯シャドウマスターの称号を持つものだ」
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