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目の前に楽園があるなら飛び込むのが人間前編
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ガバッ!
俺が布団を捲るとそこには⋯⋯。
「ユ、ユズ⋯⋯」
妹のユズがすやすやと幸せそうな笑みを浮かべながら寝ていた。
何故ユズがここに。
押し入れモードの時のユズならともかく、通常体のユズが俺の布団に入ってくるなんて。
これは夢か? だが夢にしてはユズの温もりにリアリティーがあり過ぎる。それにこのいつまでも嗅いでいたくる甘い匂いは⋯⋯ユズに間違いない。
俺が動揺しているのを横目に、ユズは胸を上下させ、夢の中へと旅立っているようだ。
それにしても⋯⋯誰もが羨む整った容姿で可愛らしく丸まって寝ている姿は⋯⋯。
「まるで眠り姫だな」
コト姉といい、何故天城家の姉妹は天から愛された容姿をしているんだ。
自分と比べて不平等にも程があると感じてしまう。本当に同じ遺伝子を持っているのだろうか。
けど何でユズがここにいるんだ。
寝ぼけて部屋を間違えたとか?
いや、今まで15年間そんなことは一度もなかったぞ。
ユズの性格や状況を踏まえ考えても、やはり目の前の光景は信じられない。
「う~ん⋯⋯」
俺が考えを張り巡らしているとなまめかしい声が聞こえ、ユズが目を擦りながら夢から目覚めたようだ。
そして真正面にいる俺と目が合うと⋯⋯。
「兄さん、どこに行ってたの? 私の前から勝手にいなくならないで下さいよ~」
そう言ってユズが俺の胸に飛び込んできて、強く抱きしめてきた。
「ここにいたんだ~、もう離さないからね」
これは⋯⋯夢を見ているのか? そうじゃなきゃユズが甘ったるい声で俺に抱きついてくるはずがない。
ユズは夢の中では俺に躊躇いもなく抱きついているのか?
もし現実でもユズからこのような扱いをされれば、俺は皆が言うシスコンになってしまうほど破壊力があり過ぎる。
それよりこの状況をどうするか。ユズを引き剥がす? それともこのまま起きるのを待つ?
どちらにせよユズに取っては恥ずかしい思いをしそうだが。
とりあえず俺は後者を選択することにして、ユズが夢から覚めるのを待つ。
俺からは抱きしめられないけど、ユズは腕の中にスッポリ入りそうで、護りたくなるオーラを出している。
いつか彼氏が出来てユズを抱きしめる奴が現れるのだろうか? そう考えると寂しい気持ちが沸き起こってくるが、今の俺にはそんな余裕はなかった。
何故なら胸部に柔らかいものを押し付けられていることに気づいてしまったからだ。
き、気持ちいい⋯⋯ユズが押しつけている胸の感触に脳が麻痺しそうだ。
くっ! 妹の魅力に惑わされるなんて!
俺は自分ではノーマルだと思っていたが、実は妹に欲情する変態だったのか? いや、そんなことはない。これは俺が悪い訳ではなく、女性のバストは気持ちいいものと、男の遺伝子に刻み込まれた太古の記憶がいけないんだ。
だから俺は初心の心を忘れず、ユズをこのまま起こさないことを選択する。
そしてユズに抱きしめられたまま30秒⋯⋯1分と時間が過ぎていった。
俺はこのままでもいいが、ユズは本当に起きていないのか? 寝ながら抱きつくという芸当を一分もできるものなのだろうか?
ユズは俺の胸に顔を埋めているため、顔を見ることはできない。
しかし顔は見ることができなくても他の場所を見ることができた。
「ユズ⋯⋯起きているな」
俺は確信を持ってユズに問いかけるのだった。
俺が布団を捲るとそこには⋯⋯。
「ユ、ユズ⋯⋯」
妹のユズがすやすやと幸せそうな笑みを浮かべながら寝ていた。
何故ユズがここに。
押し入れモードの時のユズならともかく、通常体のユズが俺の布団に入ってくるなんて。
これは夢か? だが夢にしてはユズの温もりにリアリティーがあり過ぎる。それにこのいつまでも嗅いでいたくる甘い匂いは⋯⋯ユズに間違いない。
俺が動揺しているのを横目に、ユズは胸を上下させ、夢の中へと旅立っているようだ。
それにしても⋯⋯誰もが羨む整った容姿で可愛らしく丸まって寝ている姿は⋯⋯。
「まるで眠り姫だな」
コト姉といい、何故天城家の姉妹は天から愛された容姿をしているんだ。
自分と比べて不平等にも程があると感じてしまう。本当に同じ遺伝子を持っているのだろうか。
けど何でユズがここにいるんだ。
寝ぼけて部屋を間違えたとか?
いや、今まで15年間そんなことは一度もなかったぞ。
ユズの性格や状況を踏まえ考えても、やはり目の前の光景は信じられない。
「う~ん⋯⋯」
俺が考えを張り巡らしているとなまめかしい声が聞こえ、ユズが目を擦りながら夢から目覚めたようだ。
そして真正面にいる俺と目が合うと⋯⋯。
「兄さん、どこに行ってたの? 私の前から勝手にいなくならないで下さいよ~」
そう言ってユズが俺の胸に飛び込んできて、強く抱きしめてきた。
「ここにいたんだ~、もう離さないからね」
これは⋯⋯夢を見ているのか? そうじゃなきゃユズが甘ったるい声で俺に抱きついてくるはずがない。
ユズは夢の中では俺に躊躇いもなく抱きついているのか?
もし現実でもユズからこのような扱いをされれば、俺は皆が言うシスコンになってしまうほど破壊力があり過ぎる。
それよりこの状況をどうするか。ユズを引き剥がす? それともこのまま起きるのを待つ?
どちらにせよユズに取っては恥ずかしい思いをしそうだが。
とりあえず俺は後者を選択することにして、ユズが夢から覚めるのを待つ。
俺からは抱きしめられないけど、ユズは腕の中にスッポリ入りそうで、護りたくなるオーラを出している。
いつか彼氏が出来てユズを抱きしめる奴が現れるのだろうか? そう考えると寂しい気持ちが沸き起こってくるが、今の俺にはそんな余裕はなかった。
何故なら胸部に柔らかいものを押し付けられていることに気づいてしまったからだ。
き、気持ちいい⋯⋯ユズが押しつけている胸の感触に脳が麻痺しそうだ。
くっ! 妹の魅力に惑わされるなんて!
俺は自分ではノーマルだと思っていたが、実は妹に欲情する変態だったのか? いや、そんなことはない。これは俺が悪い訳ではなく、女性のバストは気持ちいいものと、男の遺伝子に刻み込まれた太古の記憶がいけないんだ。
だから俺は初心の心を忘れず、ユズをこのまま起こさないことを選択する。
そしてユズに抱きしめられたまま30秒⋯⋯1分と時間が過ぎていった。
俺はこのままでもいいが、ユズは本当に起きていないのか? 寝ながら抱きつくという芸当を一分もできるものなのだろうか?
ユズは俺の胸に顔を埋めているため、顔を見ることはできない。
しかし顔は見ることができなくても他の場所を見ることができた。
「ユズ⋯⋯起きているな」
俺は確信を持ってユズに問いかけるのだった。
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