姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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お待ちかねの時間

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「リウト先輩! 俺マジでリウト先輩のこと尊敬します! 俺らの店を助けてくれるだけではなく、熱で休んだにな達のことも気にしてくれるなんて」

 突然大和くんが俺の手を両手で持ち、キラキラした視線を向けてくる。

「確かにやることがスマートでカッコいいですよね」

 そして大和くんの話に乗ってか、勝ち気なショートカットの少女、ひびきさんまで俺を持ち上げてきた。

「柚葉さんは優しくてお菓子作りもできるお兄さんがいて羨ましいです」

 いやはや、そんなに言われると照れてしまうぞ。だがここは下級生のイメージを壊さないためにもクールに行かねば。

「先輩はそれだけじゃないですよ。今回2ーAクラスで作ったカレーを考案したのも先輩です」
「私が言うのも何ですが兄さんは頭も良いですし、運動も⋯⋯」
「この間のエクセプション試験はいっぱいボールを止めて大活躍だったもんね」

 そしてコト姉達まで混ざって俺を褒めてくる。

「おいおい、そんなに褒めても何も出ないぞ」
「まあ今日は素直に受け取っておけば⋯⋯リウトはそれだけのことをしたんだから」

 ちひろまで俺を褒めて来た。明日は雪が降るかもしれないな。だが今日はちひろの言うとおり素直にその気持ちを受け取っておこう。

「それじゃあお姉ちゃんはそろそろ行くね」
「えぇぇ! 琴音先輩行っちゃうんですか!」

 コト姉が席を外すと宣言すると、男子達がガックリと膝を落とす。

「ごめんね。お姉ちゃんまだやることがあって。みんなのがんばりが報われるといいね」
「報われるって⋯⋯」

 悟はコト姉の言葉の意味がわかっていないのか、頭にはてなを浮かべていた。まあ悟はそれだけ新入生歓迎会を楽しんだということか。

「この後新入生歓迎会の順位発表だろ」
「すっかり忘れてた。俺達のクラスってけっこう良い線行ってたんじゃないのか?」

 悟の言葉にクラスメート達が頷く。だがそれは1ーAの子達も同じ気持ちなのか、けして上級生に負けていると思っていないように感じた。

 そしてコト姉が教室を出ていってから5分程経った頃、放送のチャイムが鳴る。

「生徒会長の天城 琴音です。第5回新入生歓迎会お疲れさまでした。新入生の子達は楽しめたかな? 楽しんでくれたなら嬉しいです。ちなみに私はすごく楽しかったです。これで最後かと思うと寂しいけどこれから運動会や文化祭もあるのでまだまだ生徒会長としてがんばりたいと思います」

 コト姉の声が校舎に響きわたり、全員がどこか緊張した様子で話を聞いている。

「それではお待ちかねの新入生歓迎会の出し物の順位を発表します。まずは3年生から⋯⋯」

 例年通りなら3年生の展示や演劇などから1クラス、1、2年生の飲食店から3クラス、生徒や一般のお客さんからの投票が多かったクラスが発表されるはずだ。

「3年生の1位は⋯⋯Aクラスが行った演劇、ロミオとジュリエットです。見事1位を獲得したAクラスには各個人に50,000スコアが至急されま~す」

 50,000スコアか⋯⋯大きいな。
 2年生は去年の新入生歓迎会でどれくらいスコアが貰えるかわかっているので驚きはないが、1年生はそのスコアの多さに驚愕し、息を飲んでいる。

「それでは次に1、2年生の発表をします。まずは第3位から⋯⋯第3位は⋯⋯」

 この後コト姉から発表される言葉に、俺達は驚きを隠せないのであった。
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