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女の子が泣いている現場にいると冤罪をかけられることがある後編
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「てっきりツムツム狙いだと思ったけど騙されたわ!」
ちひろは顔をしかめ、本当に悔しそうな表情を浮かべていやがる。
「それも間違いだから! 神奈さんもちひろに何か言ってやってくれないか」
俺の言うことは信じなくても、神奈さんの言うことは信じてくれるだろう。情報をどこまで出していいのかわからないし、ここは神奈さんに任せるのが正しい選択のはずだ。
「わ、私⋯⋯あ、天城くんに⋯⋯壊さ⋯⋯れて⋯⋯」
しかしまだ泣いて感情のコントロールが出来ていない神奈さんは上手く喋ることが出来ず、言葉を組み合わせるととんでもない内容になっていた。
「リウトの血は何色だあ!」
ちひろの右拳によるグーパンが俺の腹部にヒットする。
しかし所詮は女子の力なので、少し腹部がジンジンする程度の痛みだ。
「いや、ちょっと待て! 神奈さんは今上手く話すことが出来なくて⋯⋯」
「リウトが襲ったから泣いて上手く話すことが出来ないってこと! もしリウトが性犯罪で捕まってテレビの取材が来たら、モザイクをかけられて声を変声機で変えられた状態で私は話すからね! 普段から女の子を見る目が普通じゃなかったからいつかやると思っていましたって!」
「ちひろは俺のことを信じてくれないのか!」
俺はちひろに信じて貰うために真撃な思いをぶつける。
「本当に? 本当にリウトは神奈さんを襲っていないの?」
ちひろが真剣な顔で至近距離から俺の目に視線を送ってくる。
ここは目を逸らしたらダメなパターンだ。俺もちひろの目に答えるように真っ直ぐと見つめ返す。
そして1秒、2秒と時間が過ぎて行く中でわかってしまった。
今までこんなに息が届く距離でちひろの顔を見たことなんかなかったから、改めて気づいてしまう。
くっ! こいつ可愛いな。
俺の近くにはコト姉やユズ、神奈さん、そしてアリアみたいな美少女達がいるが、正直ちひろも下手なアイドルより可愛い。もし先程の4人がいなければ羽ヶ鷺学園で1番可愛いのはちひろかもしれない。
やばい⋯⋯ちひろが可愛いいって意識したら何だか恥ずかしくなって来たぞ。
俺は自分でも顔が赤くなるのがわかり、思わずちひろから視線を外してしまう。
「ふっふっふ⋯⋯やましいことがあるから目を逸らしたのね。これでリウトが有罪だということが証明されたわ」
「ち、ちがう! 今のは⋯⋯」
ちひろが可愛かったから何て言えるかバカヤロー!
1度マウントを取られたら最後。一生からかわれるのが目に見えている。
しかしちひろから視線を逸らしてしまったのは事実。俺は冤罪をかけられ刑務所に送られてしまうのか⋯⋯。
「ち、ちひろさん! 違います! 天城くんは私に何かしたわけじゃありません!」
だがここでようやく神奈さんが復活し、俺の冤罪を晴らそうと弁明してくれる。
さすがのちひろも被害者と思われる本人から言われたら、俺のことを信じてくれるはずだ。
「神奈っちいいのよ。私わかってるから」
「わかってくれましたか」
「ええ、神奈っちがリウトに脅されているってことがね」
「えっ? ちがっ!」
「恥ずかしい写真でも取られて脅されているんでしょ? 大丈夫。後でリウトのスマートフォンと自宅のPCは回収するから」
自宅のPCはやめてくれ! 大人の動画が色々入っているから別の意味でやばい!
それにしてもちひろはどうしても俺を犯罪者にしたいようだな。
「天城くんは私の相談に乗ってくれて⋯⋯それで私が泣いてしまったんです! ですから天城くんは悪いことをしていません。ちひろさん⋯⋯私のことを友人だと思って頂けるなら信じて下さい!」
「本当に脅されていないの?」
「はい」
神奈さんが真剣な目で俺が無罪だと訴えてくれる。
ここまで真撃な神奈さんを俺は今まで見たことがない。さすがのちひろもこれで俺のことを信じてくれるはずだ。
「神奈っち⋯⋯」
するとちひろは神奈さんの名前を呟くと俺の肩に手を置き、言葉を放つ。
「リウト、私は信じてたからね!」
「どの口が言うか!」
俺は調子がいいことを言うちひろに向かって、おもいっきり突っ込みを入れるのであった。
ちひろは顔をしかめ、本当に悔しそうな表情を浮かべていやがる。
「それも間違いだから! 神奈さんもちひろに何か言ってやってくれないか」
俺の言うことは信じなくても、神奈さんの言うことは信じてくれるだろう。情報をどこまで出していいのかわからないし、ここは神奈さんに任せるのが正しい選択のはずだ。
「わ、私⋯⋯あ、天城くんに⋯⋯壊さ⋯⋯れて⋯⋯」
しかしまだ泣いて感情のコントロールが出来ていない神奈さんは上手く喋ることが出来ず、言葉を組み合わせるととんでもない内容になっていた。
「リウトの血は何色だあ!」
ちひろの右拳によるグーパンが俺の腹部にヒットする。
しかし所詮は女子の力なので、少し腹部がジンジンする程度の痛みだ。
「いや、ちょっと待て! 神奈さんは今上手く話すことが出来なくて⋯⋯」
「リウトが襲ったから泣いて上手く話すことが出来ないってこと! もしリウトが性犯罪で捕まってテレビの取材が来たら、モザイクをかけられて声を変声機で変えられた状態で私は話すからね! 普段から女の子を見る目が普通じゃなかったからいつかやると思っていましたって!」
「ちひろは俺のことを信じてくれないのか!」
俺はちひろに信じて貰うために真撃な思いをぶつける。
「本当に? 本当にリウトは神奈さんを襲っていないの?」
ちひろが真剣な顔で至近距離から俺の目に視線を送ってくる。
ここは目を逸らしたらダメなパターンだ。俺もちひろの目に答えるように真っ直ぐと見つめ返す。
そして1秒、2秒と時間が過ぎて行く中でわかってしまった。
今までこんなに息が届く距離でちひろの顔を見たことなんかなかったから、改めて気づいてしまう。
くっ! こいつ可愛いな。
俺の近くにはコト姉やユズ、神奈さん、そしてアリアみたいな美少女達がいるが、正直ちひろも下手なアイドルより可愛い。もし先程の4人がいなければ羽ヶ鷺学園で1番可愛いのはちひろかもしれない。
やばい⋯⋯ちひろが可愛いいって意識したら何だか恥ずかしくなって来たぞ。
俺は自分でも顔が赤くなるのがわかり、思わずちひろから視線を外してしまう。
「ふっふっふ⋯⋯やましいことがあるから目を逸らしたのね。これでリウトが有罪だということが証明されたわ」
「ち、ちがう! 今のは⋯⋯」
ちひろが可愛かったから何て言えるかバカヤロー!
1度マウントを取られたら最後。一生からかわれるのが目に見えている。
しかしちひろから視線を逸らしてしまったのは事実。俺は冤罪をかけられ刑務所に送られてしまうのか⋯⋯。
「ち、ちひろさん! 違います! 天城くんは私に何かしたわけじゃありません!」
だがここでようやく神奈さんが復活し、俺の冤罪を晴らそうと弁明してくれる。
さすがのちひろも被害者と思われる本人から言われたら、俺のことを信じてくれるはずだ。
「神奈っちいいのよ。私わかってるから」
「わかってくれましたか」
「ええ、神奈っちがリウトに脅されているってことがね」
「えっ? ちがっ!」
「恥ずかしい写真でも取られて脅されているんでしょ? 大丈夫。後でリウトのスマートフォンと自宅のPCは回収するから」
自宅のPCはやめてくれ! 大人の動画が色々入っているから別の意味でやばい!
それにしてもちひろはどうしても俺を犯罪者にしたいようだな。
「天城くんは私の相談に乗ってくれて⋯⋯それで私が泣いてしまったんです! ですから天城くんは悪いことをしていません。ちひろさん⋯⋯私のことを友人だと思って頂けるなら信じて下さい!」
「本当に脅されていないの?」
「はい」
神奈さんが真剣な目で俺が無罪だと訴えてくれる。
ここまで真撃な神奈さんを俺は今まで見たことがない。さすがのちひろもこれで俺のことを信じてくれるはずだ。
「神奈っち⋯⋯」
するとちひろは神奈さんの名前を呟くと俺の肩に手を置き、言葉を放つ。
「リウト、私は信じてたからね!」
「どの口が言うか!」
俺は調子がいいことを言うちひろに向かって、おもいっきり突っ込みを入れるのであった。
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