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リックVSエグゼルド(5)
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通常の風の衝撃波?
エグゼルドの遠距離攻撃は風剣魔法を使ったものではなく、大剣を振り下ろしただけのものだった。
「これならカゼナギの剣で防げる!」
俺はカゼナギの剣を使って衝撃波を起こし、エグゼルドの攻撃を迎撃するとエグゼルドの風は消失する。
だがエグゼルドは続けて大剣を振り、風の衝撃波で攻撃してくる。
どういうことだ? カゼナギの剣で風を起こさせて俺のMPを消費させようっていう魂胆なのか?
エグゼルドは俺に攻撃を防がれているのにバカの一つ覚えのように風の衝撃波を繰り出してくる。
おかしい。何故通常の風の衝撃波だけを⋯⋯。
相手は百戦錬磨の元勇者だ。きっとこの行動にも何か意味があるはず。
今の状況はエグゼルドが地面を抉るような風の衝撃波を繰り返し解き放っているだけだ。
俺のMPは少しずつ減ってはいるけどまだまだ十分な余力はあるし、何よりエグゼルドの風の衝撃波に対して俺はダメージを負っていない。
何が狙いなのか読みあぐねていると突如エグゼルドの攻撃に変化が生じる。
エグゼルドは大剣を両手から右手に持ちかえた。
むっ! ここで風剣魔法と大剣の合わせ技か。
ならばこちらもカゼナギの剣とクラス5炎嵐創聖魔法で迎撃するだけだ。
だけどこの後エグゼルドが放ってきた魔法は予想外の物だった。
「クラス4水津波魔法」
「ここで水魔法!?」
これがエグゼルドの考えていた策なのか!
エグゼルドの左手から放たれた水の波がこちらを襲ってくる。
しかしエグゼルドの水津波魔法の水量はこの闘技場の半分を満たす程の量で1メートル程の高さしかなく、俺を押し流すには威力が弱すぎだ。
俺は向かってくる津波に対してその場で堪えると水が周囲に広がり、膝下20センチ程度の高さまでの水量が辺りに残った。
このままでは水に足を取られ満足に動けなくなってしまう。
この水面に足が浸かったフィールドがエグゼルドの狙いだったのか。
だけど水に足を取られているのは向こうも同じだ。
俺はこれからエグゼルドがどう攻めてくるのか注意するため視線を向けるとエグゼルド側には水はなく、水に浸かっているのは俺だけだった。
「しまった!」
俺はこの時エグゼルドの本当の狙いに気づいた。
エグゼルドが攻撃の通らない風の衝撃波を何度もこちらに放っていたのは俺の周囲の地面を削り取り、自分がいる位置との高低差をつけるためだったんだ。
そして水津波魔法で俺の周囲だけを水で濡らし、この後放つ攻撃は⋯⋯。
エグゼルドは俺が水津波魔法に堪えている間にすでに次の魔法を完成させていた。
「クラス6稲妻魔法」
エグゼルドが言葉を発すると上空から突如稲妻が現れ、地面に向かって落ちていく。
くっ! 魔力を集めていないため防御魔法を使う暇はない。せめてカゼナギの剣で周囲の水を⋯⋯。
しかし俺がカゼナギの剣で風を操る前にエグゼルドのクラス6稲妻魔法が水面に解き放たれ、水を伝って稲妻が俺の身体を焼き焦がす。
「ぐあぁぁぁっ!」
俺はエグゼルドの放った稲妻の威力に断末魔のような声を上げ、思わず右手に持ったカゼナギの剣を手放してしまい、その場に倒れてしまう。
うぅ⋯⋯まさか水を伝って雷の攻撃を仕掛けてくるとは⋯⋯。
風の衝撃波によってこちらの周囲の地面が低くなっていることに何故気づかなかったんだ。
だが今は悔やんでいる暇はない。
今の攻撃でかなりのHPを持っていかれたが、まだ俺は生きている。そして幸いなことに耐性のスキルを持っていたため、稲妻を食らったことによる麻痺はない。
とにかくこの場は防御魔法を使ってこの場を凌ぐんだ。
だがエグゼルドは稲妻魔法を放った後、すぐに大剣を両手で持ち、こちらに向かって風の衝撃波を繰り出してきた。
ダメだ⋯⋯もう魔法を使う時間がない。
俺は逸早く防御魔法を使うため、倒れたまま魔力を左手に集めていたが、どう考えても魔法を使うより風の衝撃波がこちらに到達する方が速いことがわかった。
何故なら俺の周囲にはまだ水があり、目に見えない風の衝撃波によって水面が割れていくのが見えたからだ。
地面に倒れている俺に風の衝撃波をかわすことは出来ない。カゼナギの剣もない。身体は焼け焦げ満足に動くことも出来ない。魔法も間に合わない。
「ここで、終わりか⋯⋯」
勝てば願いを叶えてくれるというエサに釣られてエグゼルドの強さを見誤ってしまった。
俺はここまでだ。ごめんルナさん、ノノちゃん、サーシャ、そして⋯⋯エミリア。
風の衝撃波は後数メートルでこちらに到達する。
俺はこの場を打開する方法が思いつかなかったため、左手に集めていた魔力を止め、ただエグゼルドが放った全てを破壊する衝撃波が来るのを待つことしかできなかった。
このまま死んだら俺はまた転生するのだろうか?
だがその心の中の問いに答えてくれるものは誰もいない。
そしてとうとうエグゼルドが放った風の衝撃波を食らう瞬間⋯⋯。
突如背後から猛スピードで何かが現れ、風の衝撃波を剣で斬る裂くのであった。
エグゼルドの遠距離攻撃は風剣魔法を使ったものではなく、大剣を振り下ろしただけのものだった。
「これならカゼナギの剣で防げる!」
俺はカゼナギの剣を使って衝撃波を起こし、エグゼルドの攻撃を迎撃するとエグゼルドの風は消失する。
だがエグゼルドは続けて大剣を振り、風の衝撃波で攻撃してくる。
どういうことだ? カゼナギの剣で風を起こさせて俺のMPを消費させようっていう魂胆なのか?
エグゼルドは俺に攻撃を防がれているのにバカの一つ覚えのように風の衝撃波を繰り出してくる。
おかしい。何故通常の風の衝撃波だけを⋯⋯。
相手は百戦錬磨の元勇者だ。きっとこの行動にも何か意味があるはず。
今の状況はエグゼルドが地面を抉るような風の衝撃波を繰り返し解き放っているだけだ。
俺のMPは少しずつ減ってはいるけどまだまだ十分な余力はあるし、何よりエグゼルドの風の衝撃波に対して俺はダメージを負っていない。
何が狙いなのか読みあぐねていると突如エグゼルドの攻撃に変化が生じる。
エグゼルドは大剣を両手から右手に持ちかえた。
むっ! ここで風剣魔法と大剣の合わせ技か。
ならばこちらもカゼナギの剣とクラス5炎嵐創聖魔法で迎撃するだけだ。
だけどこの後エグゼルドが放ってきた魔法は予想外の物だった。
「クラス4水津波魔法」
「ここで水魔法!?」
これがエグゼルドの考えていた策なのか!
エグゼルドの左手から放たれた水の波がこちらを襲ってくる。
しかしエグゼルドの水津波魔法の水量はこの闘技場の半分を満たす程の量で1メートル程の高さしかなく、俺を押し流すには威力が弱すぎだ。
俺は向かってくる津波に対してその場で堪えると水が周囲に広がり、膝下20センチ程度の高さまでの水量が辺りに残った。
このままでは水に足を取られ満足に動けなくなってしまう。
この水面に足が浸かったフィールドがエグゼルドの狙いだったのか。
だけど水に足を取られているのは向こうも同じだ。
俺はこれからエグゼルドがどう攻めてくるのか注意するため視線を向けるとエグゼルド側には水はなく、水に浸かっているのは俺だけだった。
「しまった!」
俺はこの時エグゼルドの本当の狙いに気づいた。
エグゼルドが攻撃の通らない風の衝撃波を何度もこちらに放っていたのは俺の周囲の地面を削り取り、自分がいる位置との高低差をつけるためだったんだ。
そして水津波魔法で俺の周囲だけを水で濡らし、この後放つ攻撃は⋯⋯。
エグゼルドは俺が水津波魔法に堪えている間にすでに次の魔法を完成させていた。
「クラス6稲妻魔法」
エグゼルドが言葉を発すると上空から突如稲妻が現れ、地面に向かって落ちていく。
くっ! 魔力を集めていないため防御魔法を使う暇はない。せめてカゼナギの剣で周囲の水を⋯⋯。
しかし俺がカゼナギの剣で風を操る前にエグゼルドのクラス6稲妻魔法が水面に解き放たれ、水を伝って稲妻が俺の身体を焼き焦がす。
「ぐあぁぁぁっ!」
俺はエグゼルドの放った稲妻の威力に断末魔のような声を上げ、思わず右手に持ったカゼナギの剣を手放してしまい、その場に倒れてしまう。
うぅ⋯⋯まさか水を伝って雷の攻撃を仕掛けてくるとは⋯⋯。
風の衝撃波によってこちらの周囲の地面が低くなっていることに何故気づかなかったんだ。
だが今は悔やんでいる暇はない。
今の攻撃でかなりのHPを持っていかれたが、まだ俺は生きている。そして幸いなことに耐性のスキルを持っていたため、稲妻を食らったことによる麻痺はない。
とにかくこの場は防御魔法を使ってこの場を凌ぐんだ。
だがエグゼルドは稲妻魔法を放った後、すぐに大剣を両手で持ち、こちらに向かって風の衝撃波を繰り出してきた。
ダメだ⋯⋯もう魔法を使う時間がない。
俺は逸早く防御魔法を使うため、倒れたまま魔力を左手に集めていたが、どう考えても魔法を使うより風の衝撃波がこちらに到達する方が速いことがわかった。
何故なら俺の周囲にはまだ水があり、目に見えない風の衝撃波によって水面が割れていくのが見えたからだ。
地面に倒れている俺に風の衝撃波をかわすことは出来ない。カゼナギの剣もない。身体は焼け焦げ満足に動くことも出来ない。魔法も間に合わない。
「ここで、終わりか⋯⋯」
勝てば願いを叶えてくれるというエサに釣られてエグゼルドの強さを見誤ってしまった。
俺はここまでだ。ごめんルナさん、ノノちゃん、サーシャ、そして⋯⋯エミリア。
風の衝撃波は後数メートルでこちらに到達する。
俺はこの場を打開する方法が思いつかなかったため、左手に集めていた魔力を止め、ただエグゼルドが放った全てを破壊する衝撃波が来るのを待つことしかできなかった。
このまま死んだら俺はまた転生するのだろうか?
だがその心の中の問いに答えてくれるものは誰もいない。
そしてとうとうエグゼルドが放った風の衝撃波を食らう瞬間⋯⋯。
突如背後から猛スピードで何かが現れ、風の衝撃波を剣で斬る裂くのであった。
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