異世界転生したら『ハンペン』だけど俺は賭博駄女神(母)と追放悪役令嬢(嫁)と異世界をめっちゃ楽しく生きていく!!!!

白井伊詩

文字の大きさ
25 / 44
カニカマ学園編

第25話「忌まわしき血族……らしい」

しおりを挟む
 
 放課後はコーラーとほぼ毎日遊んだり、話をしたりなど関係構築を行った。一週間ほど経つと徐々にではあるがベーゼとケルブスに胸襟開く素振りをコーラーは見せた。
 
「今日はカフェテリアいかねえか? あそこは高等部があんまり寄り付かねえから」
「うん、それなら僕行ってみたい」
 
 ベーゼとコーラーは男子寮を出るとカフェテリアに向った。ケルブスはアドルフィネが魔法の練習相手をお願いしているため不在だ。
 
 カフェテリアにむかう道すがら、ベーゼとコーラーは周りの風景を眺めている。
 
「暑くなってきたな、もうすぐ夏か」
「そうだね」
「夏は好きか?」
「うーん、暑いのはあんまり好きじゃないかな」
「そうか、じゃあしんどい季節が近づいてくるな」
「ベーゼの好きな季節は?」
「夏だな。生き物が活発だからな。逆に冬は楽しくねえな」
「そうなんだ」
「まぁ、生き物から見たときだからな」
 
 
「ベーゼは亜人を見た事ある?」
「うーん、スピロタが蛇族の血を引いているからそれぐらいだな」
「エルフとかドワーフとかもないの?」
「ねえな」
「そっか……僕は――」
 
 コーラーは何かを言いかけたが口をつぐんだ。
 
「なにを言おうとしたんだ?」
「それは……」
「言いたくないことは言わなけりゃいい」
「そう……だね」
 
 
「話は戻すけどちゃんとした亜人は一度見ておきたいな、魔族もだがな」
「え、魔族にも興味あるの?」
「言ったろ。生き物に興味があるんだ」
「人を生き物扱いするのはどうかな……」
「そうかぁ?」
「そうだよ。変なの」
「よく言われる」
 
 
 
「すごく大事なことを聞いてもいい?」
「おう、どうした?」
「ベーゼは僕のこと気持ち悪いと思わないの?」
 
 ベーゼは吹き出すようにコーラーの小さな体躯を叩く。
 
「ギャッ!?」
「気持ち悪い? そりゃ確かに変な生き物とか変身したら気持ち悪いかもしれねえけど、普通はねえよ」
「えっ?」
「ユニークスキルもその体も全部親からの送りもんだ。それを笑うバカいねえよ」
「……そうかな? 綺麗事だよ?」
「そんな捻くれるなよ!」
 
 
 
「あら、うるさいと思ったら、気持ち悪い虫が二匹いるじゃない」
 
 聞くだけで耳が不快になる。ベーゼはため息をついて声の方を睨む。
 
「なんか用か? ねえよな、それじゃ」
 
 コーラーを背中に隠すようにするとすぐにその場を去ろうとする。
 
 
「忌まわしき血族――」
 
 コーラーはピタリと足を止めて、その場に立ち尽くす。
 
「コーラー?」
「えーっと、ケルブスの親友の……あんた名前なんだっけ?」
「ベーゼ」
「ベーゼ……中々情熱的でヘンテコな名前ね」
「おいおい、キッスの方じゃないぜ」
「どうでもいいわ、あなたはコーラーのことどこまで知っているのかしら?」
「どこまでって……なんでそんなこと聞かれなくちゃならない?」
 
「ベーゼは関係無い! 放っておいて!」
 
「いやよ。だって私は他人が苦しんで歪んだ顔を見るのが大好きなの」
 
「うわ、変態じゃねえか」
「空気読みなさいよ」
「えぇ……」
 
「で、コーラーはね。人工的に作られたのよ」
「いや、そりゃ、人間様のおしべとめしべをこうドッキングしたらそうなるし、人間が人間を出産するんだから人工だろ? 頭悪いのか?」
「あんた貴族に向っていい口の利き方ね! あとそういう意味じゃないから!」
「じゃあどういう意味だよ! あれか最強の兵士でも作るのに人間とか亜人とかを集めて盛りパークして作ったのかよ!」
「そうよ。というかケルブスいないとアンタ本当に言いたい放題ね……」
「えぇ……マジなのコーラー?」
 
「……隠してて、ごめん」
「いやそれは隠して正解だ」
「騙すつもりじゃ――」
 
「そいつはアンタを騙していたのよ! 人間ですらないそいつは!」
 
「ん? 騙してねえけど?」
「へ?」
「え?」
 
「いや、俺最初に言ったけど言いたくないことは言わなくていいって」
 
 
 
「……ムカつく」
 
「なんで!?」
 
「調子狂うしナメた口ばかり私に使う、私は貴族よ。平民であるあなたを殺してもお咎めなんてないわ!」
「暴力で解決するなんて野蛮だな!」
「一番暴力に訴えそうな外見してるアンタが言うか!」
 
「そりゃ、誤解だ」
 
「そこの忌まわしき血族、母親が産んだ兄妹が産んだ子供と母親を交配させて生まれた男コーラー! アンタが苦しむ顔が目に浮かぶわ」
 
 アメリカーナの両目が紅蓮のように輝く。
 
「ごめん、ちょっといい?」
「何よ! 今更命乞いなんて手遅れよ!」
「母親のえっと?」
 
「母親が産んだ子供、兄と妹の二人兄妹の間に生まれた男の子と兄妹を産んだ母親との間に生まれたのがコーラーよ! なんで一回で覚えられないの!?」
 
「あー、なるほどな」
 
「ふざけてんじゃないわ――ッ!!」
 
 ベーゼの体が一気に燃え上がり、アメリカーナの目の色と同じ紅蓮の炎に身を焼かれる。
 
「ベーゼ!」
「ふふ、どう? これが私の持つユニークスキル『紅蓮の魔眼』よ! 見たものを好きに燃やすことが出来るわ!」
 
「やめて! ベーゼが死んじゃう」
 
 
 
「あの、すっげえ言いにくいんだけど……俺もユニークスキルの関係で炎に完全な耐性があんだ……」
「え……?」
「滅茶苦茶良い感じの展開なんだけど……その……すまんのぉ!」
 
「私の魔眼が……通用しない……?」
 
 アメリカーナは驚きの表情をしている。
 
「まぁ……そうなるな」
 
 炎を払ったベーゼは涼しい顔でアメリカーナの前に立つ。
 
「なっ! ちょっとこっち来ないでよ!」
「ん?」
 
「ななななななななな!」
 
 アメリカーナは茹で蛸のように真っ赤になり、ベーゼの顔から更に下のところへ視線が固定されている。
 
「あ、服が全焼してる」
 
「あんた覚えておきなさい!」
 
 アメリカーナは捨て台詞を吐いて走り去って行った。
 
「あいつ……なんだったんだ?」
 
 アームカバー以外の服が焼け落ちたベーゼは頭を掻きながら首を傾げた。
 
 
 
「とりあえず変な奴だったな。俺あいつあんまり好きになれねえけど」
「ベーゼ……その……」
「大丈夫だコーラー、お前はどう思うか自由だが俺はお前をダチだと思ってる」
 
 コーラーは目を丸くしてから、静かに笑った。
 
「うん!」
 
 
 
「ちょっとベーゼ! アンタ何やってるの!?」
 
 この世の者とは思えない剣幕で詰め寄るアドルフィネがそこにいた。
 
「えっとアドルフィネ様、これには深いワケがございまして――」
 
「こんの! ド変態!」
 
 この後、アドルフィネに事の顛末を話させてもらうまでにかなりの時間が掛かったのだった。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

限界勇者のスローライフ~追放気味に田舎暮らしに突入したけど、元魔王やら魔族の子と出会って何だか幸せに暮らせています~

みなかみしょう
ファンタジー
現代日本から転生し、魔王を倒した勇者クウト。 なんとか平和な世界を取り戻したはずが、彼だけは戦い続けていた。 その期間、120年。しかも年中無休、24時間営業である。 「さすがにこれは、ちょっとおかしくないか?」 戦いに疲れ果て、クウトはようやくそのことに気づいた。 自分を道具としてしか見ていない、かつての仲間の子孫にも飽き飽きだった。 会議の場で引退を宣言し、勇者の証も放棄。清々しく立場を強引に捨てることに成功。 遂に手に入れた自由な日々。 そんなクウトの前に、転生にも関わった女神が現れる。 想像よりも酷い状況を見て、女神は新たな力を授け言う。 「とりあえず、スローライフでもしてなさい」 そんな言葉と共に送り出された元勇者は、田舎でのんびり暮らすべく新生活を開始した。 しかし、そんな彼の前に現れたのは別世界に行ったはずの二代目魔王。 似たような事情を抱えた彼女の話を聞き、クウトは同居生活を提案する。 こうして、元勇者と元魔王の田舎暮らしが始まった。 無理のない範囲での畑仕事。 冒険者としての活動。 町の人々との触れ合い。 慣れない普通の生活に苦戦しつつも、二人は穏やかな日々を少しずつ手に入れていく。 たまに起きるトラブルは、その有り余るパワーで粉砕しながら……。

処理中です...