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カニカマ学園編
第26話「全員集合、標的を穿て!」
しおりを挟む「コーラー・キャラバス・ダマスター・ブラプトアイズです。よろしくお願いします。えっと好きな食べ物は、エスカルゴです」
「はーい、皆さん。自己紹介してくださーい! 私は担任のコーニコリスです」
「副担任のパープレア」
「アドルフィネ・ランプリマ」
「ケルブス・ルカヌス」
「ベーゼ」
「レギウス・メソトプス」
「プニューダ・バエティス・カリッターラ」
「ローチ・ディナステス・ネプトゥヌス」
「スピロタ・モレリア」
「復帰は僕が最後になっちゃったね」
「ちょっと待てやアアアアア!」
「誰よこいつ!」
「曲者でござるか!?」
「オメーだよ! 誰だよ!」
「小生、ローチと申すでござる」
発色の良い赤茶色の髪に群青色の瞳、ベーゼほどではないが引き締まった体、そしてなによりも顔が良い。
「いや知ってるけど! 不登校じゃなかったのかよ!」
「何を仰られるベーゼ殿? 小生は実家の都合で半年程前から休学していただけでござる!」
「あ、そうだったのか」
「あのー、ローチ君、たぶんその休学申請、受理されていないと思います」
「何ですと!! 小生の皆勤賞がぁぁぁ!」
「なんだか可哀想な奴ね」
「なんでこういつも拙者だけこんな目に!」
「色々大変だったな……元気出せよ」
「ベーゼ殿! かたじけないでござる!」
ローチの休学についてコーニコリスがよく調べたところ、前任の教員が報告を怠っていたのが原因であることが判明。
Aクラスに戻ることも出来たが、教育内容が変わるわけでもないしAクラスで胃を痛めながら生活するのも嫌ということで引き続きFクラスのまま過ごすこととなった。
午前中は元不登校生のカバーということで教員含め全員で座学を教える。
Fクラスも人数が倍になり活気が溢れる光景が広がっていた。
****************
午後になると魔法の実戦訓練が始まる。
「はーい、今日の訓練ですが、ベーゼ君の実戦も兼ねて動く相手に対して魔法を放つ訓練にしましょう!」
「動くってことは魔物とか何か使うのか?」
ベーゼの質問に対して教師、クラスメイトが一斉に視線が一箇所に集まる。
「あっ俺か」
「それでは! 皆さん手加減無しで行きましょう!」
「待って、死んじゃう」
「大丈夫です! ベーゼ君は上級魔法くらいなら余裕で耐えられますので!」
「じゃあ! 全力でいくわよ! 死んだら葬式は盛大にやったげる!」
「はぁ!? アドルフィネテメー! アアアアア!」
四方八方から魔法攻撃が炸裂する。
ベーゼは直撃しながらも距離を保とうとするが、荒野の訓練場は遮蔽物がなく視認性が非常に高い。
両腕で顔を覆い、顔面への攻撃を避ける。神の肉体を持つベーゼでも脳震盪を起こせばまともに立ってはいられない。
腕の隙間から周囲を見渡して相手の弱点を探る。
アドルフィネは中央を護り、その隣にはケルブス、左翼にはコーラーとスピロタ、右翼にはレギウスとローチ、中央後方にはプニューダが観測手として状況を伝達している。
「知らないところで頑張ってたんだな。でもまぁ俺も――」
ベーゼはアドルフィネが見張っている編隊中央まで一気に距離を詰める。
「アンタならバカ正直に突っ込んでくると思ったわ!」
「へっ、なんか対策でもしてんのか?」
「もちろん」
ベーゼは周囲を見回すとケルブスの姿が見えないことに気付く。
右か左か後ろか――
その選択の中をベーゼは勘ぐるが、それよりも早く頭に衝撃が突き抜ける。
「上かッ!」
地面に手を突いてベーゼは転ぶがそのまま前転の要領で衝撃を逃がして受け身を取る。
ケルブスは訓練用の木剣を二本構える。
「今のでノーダメージ、すごいね」
「いや、普通にしんどいわ。でも一撃で仕留められなかったのはまずいかもな」
ケルブス、レギウス、ローチが前衛に出る。
「三対一かよォ!」
「相手は人の皮を被った獣だ!」
「おいおい、ケルブスひっでえな」
レギウスとローチは木剣を両手で構えて前に出る。
ベーゼはレギウスに狙いを定め右拳を固める。必中距離まで引き寄せる。
そして右腕を弾丸のようにはじき出す――
「甘いッ!」
ベーゼの右腕にひんやりとした冷たいものが巻き付く。右腕を見ると触手のように地面から伸びた水が右腕に絡みついていた。
「水の魔法か……ふんっ!」
強引に右腕を振り回して水の拘束をそのまま引きちぎりレギウスの腹に一撃を入れる。レギウスはベーゼにもたれ掛かるように倒れる。
「まずは一人!」
「まだ終わっていない!」
レギウスはベーゼの肩を掴んで地面を蹴りハンドスプリングの感覚で背後に回ると木剣で喉を締め上げる。
「さっきの耐えるのかよ!」
「ローチの妨害がなかったら医務室送りだったさ!」
「離れろ!」
「今だローチ! ケルブス!」
ローチは木剣をベーゼの腹に突き刺す。
「敵将――」
「それ言うにはちと早いぜ」
ベーゼは体を反らしてローチに頭突きを入れる。首を絞められている木剣をかみ砕くと力任せにレギウスを地面に叩き付ける。
「力と耐久しか取り柄がねえからな、これだけは譲れねえ」
「コーニコリス先生にも言われたけどクリーンヒットしたら簡単にやられちゃうな」
「どうするケルブス?」
「どうしようかな」
「白旗上げるなら今のうちだ」
「そうじゃないよベーゼ」
「どういうことだ?」
ケルブスが後ろを指差す。おびただしい量の火球や雷槍、土塊が投射された状態で空中に静止している。
「魔法が止まって――スピロタの『阻止の魔眼』か」
「前衛が君を止めている間に攻撃魔法を幾重に発動させてスピロタがそれらの動きを止める。そして一気に解き放つ」
「こりゃ一本取られたな」
ケルブスが腕を上げてスピロタに合図を送る。
ベーゼは体を丸めて防御の姿勢を取る。
直後、コーニコリスの訓練でも食らったことのない攻撃が雨霰のようにベーゼを葬ろうとする。
数分続いた攻撃が止む。
ベーゼはそれでもなお立ち上がる。
「まだ立てるんだね」
ケルブスが木剣を二本持って構える。
「降参、立ってるのがやっとだよバーカ!」
「はーい! お疲れ様です!」
コーニコリスの合図と共にベーゼは背中から地面に倒れる。
「しんどい」
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