15 / 20
15 2人きりのお茶会の効果
残り2週間……約14日の時間ではじめられた2人きりのお茶会は、それぞれの令嬢からも好評だったようだった。ケイたちの噂話が私の耳にも入ってくる。私と殿下のお茶会の話も誰かの耳に入っているのかしら、と思うけれど、そんなに深い事情が分かるような噂話は当たり前だが飛んでこない。
そんなに口が軽いようでは、王宮の使用人など務まらないのだ。
一人につき3回のお茶会の後、最後の晩餐会の前にはまた全員でお茶をして、最終日の晩餐会で殿下がダンスを申し込んだ相手が『リリィクイン』の中で王太子妃に選ばれた相手となる。
ただ、深い事情は入ってこなくとも、ある程度の予測のような物は飛び交うことになる。
ユーグレイス様はどうにも殿下とのお茶会でもワガママ放題なようで、何度かお菓子を取り替える事になったという。それだけ聞けばもう分かる、彼女はきっと選ばれはしないだろう。
皆でお茶をしていた時にもそうだったが、彼女は自分の立ち位置をワガママを言う事で確認しているような部分があった。私はそんな彼女のワガママで空気が悪くならないように、と時には同調したり、話を逸らしたりしていたが、イリア様と違って根が深そうだった。
イリア様は郷愁からだったが、ユーグレイス様は『リリィクイン』に選ばれたことで自分こそが王太子妃に相応しい、と思い込んでいるのだろうと思う。
一方、ノラ様は変わらずおっとりと過ごされているようで、お茶の時間も穏やか……と言えば聞こえがいいが、特に話題も無く当たり障りなく過ごしているとのこと。本来私がやりたかったのはそういうことなのかもしれない、という立ち居振る舞いを完璧にこなしていらっしゃる。
これがわざとだとしたら、ノラ様はとても侮れない方だ。仲良くしておいてよかったと思う。今度、お互いのお茶会の日が重ならない日にでも少しお話でもしに行ってみようかと考えてもみた。が、ノラ様はきっと私にものらりくらりと話を逸らす可能性もある。それでも、得る物は何かあるかもしれない。
メイベル様はかなりの猛攻を仕掛けているようだが、殿下の反応はいまいちらしい。どうにも、政治的な話が多くなりがちで、まるで会議のようらしいです、という話が聞こえてくる。
お茶会のお菓子は2人分には多いくらい用意されていて、毎日誰かの好みのお菓子が宮の夕飯のデザートについて来る。これならば無駄にはならないし、当日お茶をした相手も、自分の好きなお菓子をもう一度食べられるのだから得をしている。
そして巡って来た2回目の私のお茶会の時間。今日は、もう話す事は決めてある。そして、ちょっとした贈り物も用意した。
アリサに贈り物を持たせてお茶会の会場に到着すると、今日も立ったまま殿下は待っていて、私を見て少し微笑んだような気がした。
あまり表情が動かない方だと思っていたが、あれ以来……あの夜の邂逅以来、なんだか少し表情が柔らかいように感じる。それとも、私がただ見逃していただけで、本当はずっとこうして微笑んでいてくれたのだろうか。
今日も私が座ると同時に腰掛け、お茶を飲みながら「息災だったろうか」「殿下もお変わりなく?」などの挨拶から入った。
そして、今日は私が素直に話す番だった。
「殿下、私の祖母の事はご存知ですか?」
そんなに口が軽いようでは、王宮の使用人など務まらないのだ。
一人につき3回のお茶会の後、最後の晩餐会の前にはまた全員でお茶をして、最終日の晩餐会で殿下がダンスを申し込んだ相手が『リリィクイン』の中で王太子妃に選ばれた相手となる。
ただ、深い事情は入ってこなくとも、ある程度の予測のような物は飛び交うことになる。
ユーグレイス様はどうにも殿下とのお茶会でもワガママ放題なようで、何度かお菓子を取り替える事になったという。それだけ聞けばもう分かる、彼女はきっと選ばれはしないだろう。
皆でお茶をしていた時にもそうだったが、彼女は自分の立ち位置をワガママを言う事で確認しているような部分があった。私はそんな彼女のワガママで空気が悪くならないように、と時には同調したり、話を逸らしたりしていたが、イリア様と違って根が深そうだった。
イリア様は郷愁からだったが、ユーグレイス様は『リリィクイン』に選ばれたことで自分こそが王太子妃に相応しい、と思い込んでいるのだろうと思う。
一方、ノラ様は変わらずおっとりと過ごされているようで、お茶の時間も穏やか……と言えば聞こえがいいが、特に話題も無く当たり障りなく過ごしているとのこと。本来私がやりたかったのはそういうことなのかもしれない、という立ち居振る舞いを完璧にこなしていらっしゃる。
これがわざとだとしたら、ノラ様はとても侮れない方だ。仲良くしておいてよかったと思う。今度、お互いのお茶会の日が重ならない日にでも少しお話でもしに行ってみようかと考えてもみた。が、ノラ様はきっと私にものらりくらりと話を逸らす可能性もある。それでも、得る物は何かあるかもしれない。
メイベル様はかなりの猛攻を仕掛けているようだが、殿下の反応はいまいちらしい。どうにも、政治的な話が多くなりがちで、まるで会議のようらしいです、という話が聞こえてくる。
お茶会のお菓子は2人分には多いくらい用意されていて、毎日誰かの好みのお菓子が宮の夕飯のデザートについて来る。これならば無駄にはならないし、当日お茶をした相手も、自分の好きなお菓子をもう一度食べられるのだから得をしている。
そして巡って来た2回目の私のお茶会の時間。今日は、もう話す事は決めてある。そして、ちょっとした贈り物も用意した。
アリサに贈り物を持たせてお茶会の会場に到着すると、今日も立ったまま殿下は待っていて、私を見て少し微笑んだような気がした。
あまり表情が動かない方だと思っていたが、あれ以来……あの夜の邂逅以来、なんだか少し表情が柔らかいように感じる。それとも、私がただ見逃していただけで、本当はずっとこうして微笑んでいてくれたのだろうか。
今日も私が座ると同時に腰掛け、お茶を飲みながら「息災だったろうか」「殿下もお変わりなく?」などの挨拶から入った。
そして、今日は私が素直に話す番だった。
「殿下、私の祖母の事はご存知ですか?」
あなたにおすすめの小説
いつか優しく終わらせてあげるために。
イチイ アキラ
恋愛
初夜の最中。王子は死んだ。
犯人は誰なのか。
妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。
12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
婚約破棄までの168時間 悪役令嬢は断罪を回避したいだけなのに、無関心王子が突然溺愛してきて困惑しています
みゅー
恋愛
アレクサンドラ・デュカス公爵令嬢は舞踏会で、ある男爵令嬢から突然『悪役令嬢』として断罪されてしまう。
そして身に覚えのない罪を着せられ、婚約者である王太子殿下には婚約の破棄を言い渡された。
それでもアレクサンドラは、いつか無実を証明できる日が来ると信じて屈辱に耐えていた。
だが、無情にもそれを証明するまもなく男爵令嬢の手にかかり最悪の最期を迎えることになった。
ところが目覚めると自室のベッドの上におり、断罪されたはずの舞踏会から1週間前に戻っていた。
アレクサンドラにとって断罪される日まではたったの一週間しか残されていない。
こうして、その一週間でアレクサンドラは自身の身の潔白を証明するため奮闘することになるのだが……。
甘めな話になるのは20話以降です。
【完結】時戻り令嬢は復讐する
やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。
しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。
自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。
夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか?
迷いながらもユートリーは動き出す。
サスペンス要素ありの作品です。
設定は緩いです。
6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。
【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく
との
恋愛
予約半年待ちなど当たり前の人気が続いている高級レストランのラ・ぺルーズにどうしても行きたいと駄々を捏ねたのは、伯爵家令嬢アーシェ・ローゼンタールの十年来の婚約者で伯爵家二男デイビッド・キャンストル。
誕生日プレゼントだけ屋敷に届けろってど〜ゆ〜ことかなあ⋯⋯と思いつつレストランの予約を父親に譲ってその日はのんびりしていると、見たことのない美少女を連れてデイビッドが乗り込んできた。
「人が苦労して予約した店に義妹予定の子と行ったってどういうこと? しかも、おじさんが再婚するとか知らないし」
それがはじまりで⋯⋯豪放磊落と言えば聞こえはいいけれど、やんちゃ小僧がそのまま大人になったような祖父達のせいであちこちにできていた歪みからとんでもない事態に発展していく。
「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」
「⋯⋯わしが噂を補強しとった?」
「はい、間違いないですね」
最強の両親に守られて何の不安もなく婚約破棄してきます。
追伸⋯⋯最弱王が誰かは諸説あるかもですね。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
約7万字で完結確約、筆者的には短編の括りかなあと。
R15は念の為・・