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ポワソン (3/4)
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「あっという間に行っちゃった」
「ふう、ロンドに起こされるとは最悪です」
バタンと扉が閉まった後に静けさが戻ると、フューネがまた大きなあくびをした。
「友達なの?」
「まさか。彼がそう言ったんですか?」
「うん、友人だって」
フューネは呆れた様子で首を横にふる。
「吸血鬼を狩るために嗅ぎまわっているだけです」
「そっか……というか、フューネも情報を売って大丈夫なの?」
「縄張りがバレるくらいでは危険はありませんから。まあ批判もありますが、私自体が同胞に何百年間も嫌われているので今さらです」
「……」
「独り暮らしなのも、そういうわけです。ロンドも私が孤立しているので、弱るのを待っているのかもしれません。気が長いですよね……まったく」
顎に手を当てていたフューネは、少し間を開けて息を吐いた。
「はあ、荷物をキッチンに運ばないと。すみませんがレブも手伝ってください」
「うん……あ、あの」
「?」
「ごめんなさい、俺、勝手に出ようとして……」
それを聞いたフューネは顔を緩ませる。
「いいんです。レブはまだここに居るでしょう?」
「あ……」
フューネに引き寄せられたレブはその腕に抱きしめられた。
冷たい腕に、レブはきゅっとしがみつく。
「助けてくれてありがと」
「レブ……」
「……あ、急に起きて大丈夫だった?」
「心配してくれるのですか? なんて可愛らしい人だ」
「んっ、舐め、ないで……」
嬉しそうにフューネはレブの肩にある嚙み跡を舐める。唾液によって溶けた血液がレブの肌に滲み、それをほんのり味わっていた。
「いつまでもこうしていたいですが、早く運びましょうか。一人で立てますか?」
「んう……」
レブは息をこぼしながら小さく頷く。
フューネはくたりと脱力するレブが回復するのを待ちつつ、微かに震えている身体を抱きしめていた。
……
キッチンの窓から淡い月の光が差し込む。
フューネは片手に持っていたロウソク台を長テーブルに置いて、壁に備え付けられた棚を開けると腕に抱えていた瓶を入れはじめた。
「フューネ、これはどこに置けばいい?」
「一通りテーブル下の棚に並べて置いてください。あ、手前の鍋はどけて」
「はい」
レブがしゃがみ込んで鍋をかき分け、奥の棚に瓶を置く。
「素敵なキッチンですね。ひんやりしてて、気持ちいいです」
「ふふ、そうなんです。食料置き場にちょうどよくって」
ほんわかとほほ笑んだフューネは、抱えている瓶をテーブルに移動する。
「こちらの物も収納おねがいします。私は残りの食材を取ってきます」
「わかった」
棚から少しだけ顔を出してレブが返事する。
フューネはその後、2,3回の往復でロンドから貰った食材をキッチンに運び終えた。レブは指示をもらいながら、キッチンの色々な棚に食材を収納していった。
やがて綺麗に整頓された棚を眺めながら、レブは呟く。
「ハムにチーズも……沢山食べれるねフューネ」
「これらは”人間用”ですから。私は食べないですよ」
「えっ!?」
イチゴジャムの瓶を食器棚に置くフューネは、何気なく言った。
「じゃあこれ全部……」
レブが並んだ食材に視線を移すと、ぐう、と腹が鳴る。
「あっ」
「ふふ、そろそろ何か作りましょう。レブはまだお茶だけでしたね」
「っごめんなさい!」
お腹を押さえたまま涙目のレブを横に、フューネは白いシャツの袖をまくる。
「好みの料理はありますか?」
「えと、わかんないから……作りやすいもので」
レブがもごもご言う横で、フューネは壁に掛けられた調理器具の中から鍋を取り、流し台の蛇口から出した水を入れ始めた。
「フューネ、俺も何か手伝う」
「おっと」
フューネが水の入った鍋を火にかけはじめると、背後にレブがちょこんと顔を出してシャツをつんつんしている。
「では野菜を洗ってほしいです。そこの箱にジャガイモとニンジンがあるので一つずつ……」
「うん……!」
フューネが隣にある流し台に目を向け、レブがそこに移動する。二人横並びになって調理台に並んだ。
レブは足元の箱から野菜を取り、流し台で土を落とし始めた。
「この野菜、運んだ中に入ってなかったですよね?」
「ええ、それは外の畑で育ったものです。いつもは夜に私が管理していますが、そのうちレブにも昼間に水やりをお願いするかもしれません」
「へえ、まかせて! 見てみたいな」
そんな会話をしていると、あっという間にフューネはスープを完成させていった。
レブは手伝いおわっても、じっと彼の横で調理を見学していた。
「ふう、ロンドに起こされるとは最悪です」
バタンと扉が閉まった後に静けさが戻ると、フューネがまた大きなあくびをした。
「友達なの?」
「まさか。彼がそう言ったんですか?」
「うん、友人だって」
フューネは呆れた様子で首を横にふる。
「吸血鬼を狩るために嗅ぎまわっているだけです」
「そっか……というか、フューネも情報を売って大丈夫なの?」
「縄張りがバレるくらいでは危険はありませんから。まあ批判もありますが、私自体が同胞に何百年間も嫌われているので今さらです」
「……」
「独り暮らしなのも、そういうわけです。ロンドも私が孤立しているので、弱るのを待っているのかもしれません。気が長いですよね……まったく」
顎に手を当てていたフューネは、少し間を開けて息を吐いた。
「はあ、荷物をキッチンに運ばないと。すみませんがレブも手伝ってください」
「うん……あ、あの」
「?」
「ごめんなさい、俺、勝手に出ようとして……」
それを聞いたフューネは顔を緩ませる。
「いいんです。レブはまだここに居るでしょう?」
「あ……」
フューネに引き寄せられたレブはその腕に抱きしめられた。
冷たい腕に、レブはきゅっとしがみつく。
「助けてくれてありがと」
「レブ……」
「……あ、急に起きて大丈夫だった?」
「心配してくれるのですか? なんて可愛らしい人だ」
「んっ、舐め、ないで……」
嬉しそうにフューネはレブの肩にある嚙み跡を舐める。唾液によって溶けた血液がレブの肌に滲み、それをほんのり味わっていた。
「いつまでもこうしていたいですが、早く運びましょうか。一人で立てますか?」
「んう……」
レブは息をこぼしながら小さく頷く。
フューネはくたりと脱力するレブが回復するのを待ちつつ、微かに震えている身体を抱きしめていた。
……
キッチンの窓から淡い月の光が差し込む。
フューネは片手に持っていたロウソク台を長テーブルに置いて、壁に備え付けられた棚を開けると腕に抱えていた瓶を入れはじめた。
「フューネ、これはどこに置けばいい?」
「一通りテーブル下の棚に並べて置いてください。あ、手前の鍋はどけて」
「はい」
レブがしゃがみ込んで鍋をかき分け、奥の棚に瓶を置く。
「素敵なキッチンですね。ひんやりしてて、気持ちいいです」
「ふふ、そうなんです。食料置き場にちょうどよくって」
ほんわかとほほ笑んだフューネは、抱えている瓶をテーブルに移動する。
「こちらの物も収納おねがいします。私は残りの食材を取ってきます」
「わかった」
棚から少しだけ顔を出してレブが返事する。
フューネはその後、2,3回の往復でロンドから貰った食材をキッチンに運び終えた。レブは指示をもらいながら、キッチンの色々な棚に食材を収納していった。
やがて綺麗に整頓された棚を眺めながら、レブは呟く。
「ハムにチーズも……沢山食べれるねフューネ」
「これらは”人間用”ですから。私は食べないですよ」
「えっ!?」
イチゴジャムの瓶を食器棚に置くフューネは、何気なく言った。
「じゃあこれ全部……」
レブが並んだ食材に視線を移すと、ぐう、と腹が鳴る。
「あっ」
「ふふ、そろそろ何か作りましょう。レブはまだお茶だけでしたね」
「っごめんなさい!」
お腹を押さえたまま涙目のレブを横に、フューネは白いシャツの袖をまくる。
「好みの料理はありますか?」
「えと、わかんないから……作りやすいもので」
レブがもごもご言う横で、フューネは壁に掛けられた調理器具の中から鍋を取り、流し台の蛇口から出した水を入れ始めた。
「フューネ、俺も何か手伝う」
「おっと」
フューネが水の入った鍋を火にかけはじめると、背後にレブがちょこんと顔を出してシャツをつんつんしている。
「では野菜を洗ってほしいです。そこの箱にジャガイモとニンジンがあるので一つずつ……」
「うん……!」
フューネが隣にある流し台に目を向け、レブがそこに移動する。二人横並びになって調理台に並んだ。
レブは足元の箱から野菜を取り、流し台で土を落とし始めた。
「この野菜、運んだ中に入ってなかったですよね?」
「ええ、それは外の畑で育ったものです。いつもは夜に私が管理していますが、そのうちレブにも昼間に水やりをお願いするかもしれません」
「へえ、まかせて! 見てみたいな」
そんな会話をしていると、あっという間にフューネはスープを完成させていった。
レブは手伝いおわっても、じっと彼の横で調理を見学していた。
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