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改悪

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こうなってくると王宮内で王太子側近を勤めているアルベールと、学園内王太子側近の五人組の態度の違いなども気になってくる。
アルベールが学園を卒業するまでは彼ともうひとりが主に補佐し、卒業後に五人が最側近として仕えているが、元々はもう少し組織立って人数ももっと多かったとシーナは聞いていた。
「だいたいどうして他の人たちはいなくなったの?」
「それは……」
王太子側近といえど、すべてに同行するわけにはいかない。
女子学生もそれぞれ選択授業があるように、男子学生も自分が将来就くべき仕事に見合った学問をそれぞれ修める。
当然アルベールともうひとりの最側近、そして彼らの部下として組織化された側近たちも同様に勉学に励まなくてはならず、王太子ひとりが学ばねばならない授業もあった。
将来的に王として扱う国の機密事項にも通じるようなことは王宮内で、厳重に近衛兵などが警戒する王太子執務室や専用の図書室で行われるため安全だが、貴族の子息令嬢ばかりが通うとはいえ学園内で王族を護衛や側近なしで放置するということはあり得ない。
だからこそ学園内側近が組織化され、最側近がどうしても王太子と離れて授業を受けなければならない時に、別の者がそばに控えるためのローテーションが組まれていたはずである。
それがアルベールともうひとりが卒業したタイミングで総入れ替えされ、たった五人の最側近のみに減らされてしまったというのはどうにも解せない。
「それ……は……何故……」
確かに凛音の去年までの側近たちの大半は最高学年で、アルベール以外の者はそれぞれ希望する就職先に採用されたり、次期当主として領地で経営や現在の領内視察などを行うために王都を離れた者も多い。
それにしては組織作り自体が引き継がれなかったのはおかしいと、シーナは問題提議する。
「だってリオンはまだ一年は学園にいるんだから。確かに下の学年にひとりだけ……ルイフェンがいるけど、あの子以外にもリオンが王太子として仕事を行う上で優秀な者がまだいるはずなのに」
「そう…なんだよな。というか、イストフも含めて五人とも今年初めて僕の側近になったんだ」
「えっ?!」
確かゲームではベレフォン・ジュスト・ダンビューラとは幼馴染で、その弟であるルイフェン・クウェンティ・ダンビューラとも面識はあるはずなのだが──
「そりゃ、ダンビューラは伯爵家だからね。それならルエナ嬢がいるディーファン家のアルベールと親しくなった方が俺的にはメリットだろ?」
アルベールにとってはあまり好印象とはならなかった出会いではあるが、前世の記憶を取り戻したリオンにしてみれば何としても彼の忠誠心と信頼関係は手に入れること必須の『見えないアイテム』であり、幼女としては度が過ぎた高慢さを示していたルエナを自分の手元に手繰り寄せるためには離してはならない頼みの綱だった。


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