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「ところでしお…んんっ、シーナ嬢の方こそ……」
「あっ!あぁーっと!えーっと!エリーちゃん!!」
自分の方へ飛び火が向かわないように、砂糖を吐きそうな表情をしているイストフに視線を向け、シーナはリオンに問い詰められる前に大声を出した。
「はっ?えっ?なっ…何だろう…か……?」
くるりと可愛らしい顔を向けられたせいか、イストフはドギマギとした表情で顔を赤らめつつ返事をする。
「いやぁ……エリーちゃん自身からは何も言わないんだけど。あちらの…ご実家の方からは、何かコンタクトはないのかなぁ~…って」
「こんたくと?」
「あ~……連絡とか…その、心配とか」
本当にそんな連絡が来たとは思えないが、話題を変えたくてシーナは言葉を続けた。
ただエリー嬢が少しだけソワソワしていたのは事実で、その理由を聞いてみると、実家の方から来ていた便りがないのだという。
「とはいえ、来るのは『いつ頃行儀見習いが終わって帰ってくるのか?』っていう催促ばかりなんだけどね。二泊三日の職業体験でもあるまいし、そんなにすぐに帰れるわけないっつーの!」
「ああ~……なるほど。あちらとしてはせっかく王家との繋がりができそうなディーファン公爵家からご令嬢のお相手として呼ばれたのはいいけど、よけいな知恵をつけられたくはないんだろうね」
「よけいな知恵……?」
リオンが納得という顔で頷くが、公爵家に行儀見習いに来たことの何が悪いのかわからず、当の公爵令嬢がキョトンと首を傾げる。
「うん。聞けばエリー嬢はなるべく世俗に触れないようにと、領地の、しかも自分の邸宅からもあまり出されずに育てられたらしいじゃないか?」
「そうですね……婚約者である兄の意向とも聞いています」
チラリと主君に視線を投げられ、顔つきを改めてイストフは頷いた。
「あっ!あぁーっと!えーっと!エリーちゃん!!」
自分の方へ飛び火が向かわないように、砂糖を吐きそうな表情をしているイストフに視線を向け、シーナはリオンに問い詰められる前に大声を出した。
「はっ?えっ?なっ…何だろう…か……?」
くるりと可愛らしい顔を向けられたせいか、イストフはドギマギとした表情で顔を赤らめつつ返事をする。
「いやぁ……エリーちゃん自身からは何も言わないんだけど。あちらの…ご実家の方からは、何かコンタクトはないのかなぁ~…って」
「こんたくと?」
「あ~……連絡とか…その、心配とか」
本当にそんな連絡が来たとは思えないが、話題を変えたくてシーナは言葉を続けた。
ただエリー嬢が少しだけソワソワしていたのは事実で、その理由を聞いてみると、実家の方から来ていた便りがないのだという。
「とはいえ、来るのは『いつ頃行儀見習いが終わって帰ってくるのか?』っていう催促ばかりなんだけどね。二泊三日の職業体験でもあるまいし、そんなにすぐに帰れるわけないっつーの!」
「ああ~……なるほど。あちらとしてはせっかく王家との繋がりができそうなディーファン公爵家からご令嬢のお相手として呼ばれたのはいいけど、よけいな知恵をつけられたくはないんだろうね」
「よけいな知恵……?」
リオンが納得という顔で頷くが、公爵家に行儀見習いに来たことの何が悪いのかわからず、当の公爵令嬢がキョトンと首を傾げる。
「うん。聞けばエリー嬢はなるべく世俗に触れないようにと、領地の、しかも自分の邸宅からもあまり出されずに育てられたらしいじゃないか?」
「そうですね……婚約者である兄の意向とも聞いています」
チラリと主君に視線を投げられ、顔つきを改めてイストフは頷いた。
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