すみません。その魔王は親友なので、勝手に起こさないでもらえます?

行枝ローザ

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賢者、転生する。

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それから2年間、私とリラは一緒に暮らしながら私が習得した過去の魔術の一部を『私の先祖』の物として口伝した。
リラとその際に交わした『口外しない契約』というのは、私自身がこのように偽って魔術を譲ったことである。
「……いろいろと、面倒なのですよ」
「まぁ~、ですよね~……私自身が成長するわけにいかないのも、他人から見れば『いつまでも若く見える魔法』と捉えられてしまいますもん。『呪い』と偽った方がまだましです」
「あはは~……そう、ですね……」
お互いどんなふうに時間を重ねても、他人には理解できない。
だから恋仲になるには──ならなかった。

残念ながら可愛らしいとはいえ実際のリラの年齢は私より30歳以上も上で、私の過去を私自身に加算するわけにはいかないので、今現在の私は20歳である。
ほのかな想いがなかったわけではないけれど、それはお互いに『好奇心』という分厚いコーティングによってとうてい成就するものではなかったし、どちらにしろ『先生』と『弟子』という関係より先に進もうと思えるほどの強さではなかった。
どちらにしろリラには私より2歳ほど上の息子がいて、もうすぐ孫も生まれるという。
「子供……」
「えっ?!あっ!!うそうそっ!!いえ、嘘じゃないですけど!ああっ……恥ずかしいなぁ……いわゆる、未婚の母で……相手はちゃんと婚約してたんですけど……まあ……婚姻する前にデキちゃいまして。平民だとままあること……と言ってはいけないですけど。式を挙げる前に、戦死して……しまったんです……」
「あ……いえ、その……す、すいません……辛いことを……」
実をいえば、考えたのは私自身が産んだ子供のことだ。
あの時は最期の瞬間に魔王と会うためとしか思えないタイミングで森に向かって凍死したけれど、私にとっては数少ない穏やかな人生のひとつだった。
私は当時男の子2人と女の子1人に恵まれ、それぞれ結婚して子供も生まれていたのである。
「その……孫たちがどうなったかなぁ……って。贅沢ですけど。こうやって過去の人生を覚えているだけでも他人様ひとさまより恵まれていると思うのに、その孫たちの人生も見ていたかったなぁ……なんてね」
「えっ!いえいえいえ!私の話でそんなことまで思い出していただけたのなら……はい。夫になるはずだった人も魔術師だったから、徴兵は仕方なかったんです。絶対数が少ないですから、戦闘魔術師は」
「へぇ~……優秀だったんですね!」
「えへへ……」
そんなぐあいで、私たちは師弟関係と共に秘密を共有する友人となった。
もっとも私の生きてきた人生の8割ぐらいが魔王に、そして残りのうちの1割は仲間というか人間によって終わらされたため、穏やかに閉じたのは約1割というのは黙っていたけれど。

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