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賢者、寄り道をする。
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色のついた果実水ではなく、虹色の水など怪しんでもおかしくはないが、ミウも私と同じように甘い香りに気持ちを轢かれて、やはりゴクリと喉を鳴らす。
《……お前たち、この水、好きか?》
「ミウもこの水が好きなのか?と」
「好きっていうか……何だかすごく飲みたい……っていうか、飲まないとダメって気がするんです……何でしょうか……?」
《うむ。では、飲め!》
「飲んでいいよって」
「うわ~!ありがとう!!」
偉そうに私のそばで頷くモフモフに向かってミウはお礼を言うと、コップに口を付けて一気に飲み干す。
「ぷっはぁぁ───っ!あぁぁぁぁぁあぁぁ──っ?!」
良い飲みっぷりだ──と思った瞬間、いきなりミウの身体が光り出した。
《おおっ?!お前は勇者か?》
「ゆ、勇者というか……勇者グループである『白雷の翼』のメンバーです!」
《ほっほぅ……そうか!お前は勇者のひとりか。お前は名を遺す!このロダムスの村のカヤシュが友になる!》
「えっ。は、はい!よろしくお願いします!カヤシュ!……って、カヤシュ?」
《うむ!お前の友となった!》
《お前の友ー!》
わぁわぁとノームたちが一斉に両手を上げて跳ねまわる。
「あ、あの……パトリック賢者様?これはいったい……?」
「う、うん……どうやらさっきの水は魔草の朝露を集めた物らしい。ウルが飲ませてもらっている物と同じだと、さっきあの子が言っていたんだよ。私も飲みたかったんだけど……それはミウ用だからと止められたんだ」
「そう…なんですね?」
《うむ!ちょっと話したいと言ったから、ちょっと話せる。でも、カヤシュがいいと言ったから、ミウはカヤシュの友として、いつでもノームたちと話せることにした!》
《話せるー!友が増えたー!》
「は、はぁ……?」
意味がよく分からずミウは首を傾げているが、とにかく表情が見えないほどのモフモフたちは嬉しそうに跳ね続けた。
《ウルの友は、村長に会え!村長の友になるはずだっ!》
《村長の友―!》
どうやら私たちはノームたちの集落であるロダムス村に招待してもらえたらしい。
そうして到着したのは、本当に可愛らしい集落だった。
「ちっちゃ~い…」
うっとりとミウが呟いたが、女の子らしく小さい物が好きらしい。
確かにミニチュアといかないまでも、まるで幼児が住めるぐらいの大きさの家ばかりあって、とてものどかである。
「帰ったぞ~!」
「えっ?」
驚いたことにモフモフたちは杭と縄でできた囲いをくぐった途端、モフモフではなく普通の小人に変わった。
声も普通に聞こえる。
「あのぐるりとなったのが、この村の結界だ!すごいだろう?精霊王が弱いカヤシュたちを護るために作ってくれた」
「精霊魔法なのか……それは人間でも魔族でも見つけられないはずだ」
えっへんと胸を反らす小人がミウと契約を結んだカヤシュで、その周りに集まった小人たちはキラキラと期待するような目で私を見上げる。
「コッ、コラッ!このウルの友は、村長に会わせるんだ!だから、勝手に友になったらダメなんだぞー!!」
バタバタと手を振ってノームたちを遠ざけるが、よく見れば皆その手にカヤシュが取り出した筒と同じ物を手にしていた。
《……お前たち、この水、好きか?》
「ミウもこの水が好きなのか?と」
「好きっていうか……何だかすごく飲みたい……っていうか、飲まないとダメって気がするんです……何でしょうか……?」
《うむ。では、飲め!》
「飲んでいいよって」
「うわ~!ありがとう!!」
偉そうに私のそばで頷くモフモフに向かってミウはお礼を言うと、コップに口を付けて一気に飲み干す。
「ぷっはぁぁ───っ!あぁぁぁぁぁあぁぁ──っ?!」
良い飲みっぷりだ──と思った瞬間、いきなりミウの身体が光り出した。
《おおっ?!お前は勇者か?》
「ゆ、勇者というか……勇者グループである『白雷の翼』のメンバーです!」
《ほっほぅ……そうか!お前は勇者のひとりか。お前は名を遺す!このロダムスの村のカヤシュが友になる!》
「えっ。は、はい!よろしくお願いします!カヤシュ!……って、カヤシュ?」
《うむ!お前の友となった!》
《お前の友ー!》
わぁわぁとノームたちが一斉に両手を上げて跳ねまわる。
「あ、あの……パトリック賢者様?これはいったい……?」
「う、うん……どうやらさっきの水は魔草の朝露を集めた物らしい。ウルが飲ませてもらっている物と同じだと、さっきあの子が言っていたんだよ。私も飲みたかったんだけど……それはミウ用だからと止められたんだ」
「そう…なんですね?」
《うむ!ちょっと話したいと言ったから、ちょっと話せる。でも、カヤシュがいいと言ったから、ミウはカヤシュの友として、いつでもノームたちと話せることにした!》
《話せるー!友が増えたー!》
「は、はぁ……?」
意味がよく分からずミウは首を傾げているが、とにかく表情が見えないほどのモフモフたちは嬉しそうに跳ね続けた。
《ウルの友は、村長に会え!村長の友になるはずだっ!》
《村長の友―!》
どうやら私たちはノームたちの集落であるロダムス村に招待してもらえたらしい。
そうして到着したのは、本当に可愛らしい集落だった。
「ちっちゃ~い…」
うっとりとミウが呟いたが、女の子らしく小さい物が好きらしい。
確かにミニチュアといかないまでも、まるで幼児が住めるぐらいの大きさの家ばかりあって、とてものどかである。
「帰ったぞ~!」
「えっ?」
驚いたことにモフモフたちは杭と縄でできた囲いをくぐった途端、モフモフではなく普通の小人に変わった。
声も普通に聞こえる。
「あのぐるりとなったのが、この村の結界だ!すごいだろう?精霊王が弱いカヤシュたちを護るために作ってくれた」
「精霊魔法なのか……それは人間でも魔族でも見つけられないはずだ」
えっへんと胸を反らす小人がミウと契約を結んだカヤシュで、その周りに集まった小人たちはキラキラと期待するような目で私を見上げる。
「コッ、コラッ!このウルの友は、村長に会わせるんだ!だから、勝手に友になったらダメなんだぞー!!」
バタバタと手を振ってノームたちを遠ざけるが、よく見れば皆その手にカヤシュが取り出した筒と同じ物を手にしていた。
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