すみません。その魔王は親友なので、勝手に起こさないでもらえます?

行枝ローザ

文字の大きさ
48 / 248
賢者、寄り道をする。

2

しおりを挟む
色のついた果実水ではなく、虹色の水など怪しんでもおかしくはないが、ミウも私と同じように甘い香りに気持ちを轢かれて、やはりゴクリと喉を鳴らす。
《……お前たち、この水、好きか?》
「ミウもこの水が好きなのか?と」
「好きっていうか……何だかすごく飲みたい……っていうか、飲まないとダメって気がするんです……何でしょうか……?」
《うむ。では、飲め!》
「飲んでいいよって」
「うわ~!ありがとう!!」
偉そうに私のそばで頷くモフモフに向かってミウはお礼を言うと、コップに口を付けて一気に飲み干す。
「ぷっはぁぁ───っ!あぁぁぁぁぁあぁぁ──っ?!」
良い飲みっぷりだ──と思った瞬間、いきなりミウの身体が光り出した。
《おおっ?!お前は勇者か?》
「ゆ、勇者というか……勇者グループである『白雷の翼』のメンバーです!」
《ほっほぅ……そうか!お前は勇者のひとりか。お前は名を遺す!このロダムスの村のカヤシュが友になる!》
「えっ。は、はい!よろしくお願いします!カヤシュ!……って、カヤシュ?」
《うむ!お前の友となった!》
《お前の友ー!》
わぁわぁとノームたちが一斉に両手を上げて跳ねまわる。
「あ、あの……パトリック賢者様?これはいったい……?」
「う、うん……どうやらさっきの水は魔草の朝露を集めた物らしい。ウルが飲ませてもらっている物と同じだと、さっきあの子が言っていたんだよ。私も飲みたかったんだけど……それはミウ用だからと止められたんだ」
「そう…なんですね?」
《うむ!ちょっと話したいと言ったから、ちょっと話せる。でも、カヤシュがいいと言ったから、ミウはカヤシュの友として、いつでもノームたちと話せることにした!》
《話せるー!友が増えたー!》
「は、はぁ……?」
意味がよく分からずミウは首を傾げているが、とにかく表情が見えないほどのモフモフたちは嬉しそうに跳ね続けた。
《ウルの友は、村長に会え!村長の友になるはずだっ!》
《村長の友―!》
どうやら私たちはノームたちの集落であるロダムス村に招待してもらえたらしい。


そうして到着したのは、本当に可愛らしい集落だった。
「ちっちゃ~い…」
うっとりとミウが呟いたが、女の子らしく小さい物が好きらしい。
確かにミニチュアといかないまでも、まるで幼児が住めるぐらいの大きさの家ばかりあって、とてものどかである。
「帰ったぞ~!」
「えっ?」
驚いたことにモフモフたちは杭と縄でできた囲いをくぐった途端、モフモフではなく普通の小人に変わった。
声も普通に聞こえる。
「あのぐるりとなったのが、この村の結界だ!すごいだろう?精霊王が弱いカヤシュたちを護るために作ってくれた」
「精霊魔法なのか……それは人間でも魔族でも見つけられないはずだ」
えっへんと胸を反らす小人がミウと契約を結んだカヤシュで、その周りに集まった小人たちはキラキラと期待するような目で私を見上げる。
「コッ、コラッ!このウルの友は、村長に会わせるんだ!だから、勝手に友になったらダメなんだぞー!!」
バタバタと手を振ってノームたちを遠ざけるが、よく見れば皆その手にカヤシュが取り出した筒と同じ物を手にしていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

処理中です...