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賢者、精霊王に会う。

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遊ぶのはほどほどにしてもらい、私たちはウルと出会った森へと足を踏み入れた。
ウルとシュンゲルは、きっと私たちにはわからない意思疎通方法で仲良くなったらしく、デューンの側を離れて軽快に森の奥へ走っていったかと思うと、また楽しそうに戻ってくる。
「……羨ましい」
ポツリとこぼすデューンは、手綱からも解放されて軽快に木々の間を走り抜ける大きくも美しい躯体から目を離せずにいる。
ウルはともかく、かなり大きいはずのシュンゲルも木枝を傷つけることなく、好きなだけ駆け回った。
「それにしても、本当に魔獣も魔物もいないみたいだけど……」
「そうだな……ラダの索敵にも引っかからないんだろう?」
「うん。ちょこちょこ動く気配はあるけど、皆普通の動物ばっかり……あと、魔力はあるけど魔物とは違う何かがいるんだけど……」
ケヴィンとラダがそんなふうに辺りをキョロキョロ見回していると、突然コロコロと毛玉が転がってきて──

「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「友───っ!」
「嫁───っ!」

それはまるで木霊のようにひとつずつ転がり、パッと小さな人型へと変化して可愛らしい叫び声を上げる。
その中でもひとりだけ違う声を上げると、ぴょんとミウの腕の中に飛び込んでいった。
「うわぁ!カヤシュ!!」
「よ…嫁……?」
ケヴィンたち三人が呆然としていると、モフモフの毛玉人形がクルッとミウの腕の中で回転する。
「うむっ!こ奴らが、嫁の友か!村長が待つ!村に来る!」
「村長が……?」
「うむっ!王が来る!勇者も来る!ロダムスの友の友を見つける!」
「友の友……」
ロダムスの村に『来る』のではなく『見付ける』友。

絶対に『ひとり』しかいないだろう。


どこまで行っても様々な緑と黒や茶色の木肌しか色彩のなかった森が急に拓ける。
そこにあったのは、忘れるには色鮮やかすぎるロダムス村の入り口だった。


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