調律協定~王女、司書になる~

四季の二乗

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殺戮の夜

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 会議室のテーブル。
 周辺地図の上で、彼らは一纏まりの群生を成していた。
 小人たちは背丈以外人間と変わらない。異常であるのは、彼らが持つ装備類の威力と出所だ。
 ランプに照らされた地図は、”種の村”周辺の地図。半年前の悲劇から村の建物群の配置は変わっていないと思われる。

「作戦の説明を、RM1」
「第一小隊、第二小隊が偵察、及び書籍回収の任務へと赴く。第一小隊は斥候だ。索敵と同中の安全の確保を行い、第二小隊はカフカを護衛し目的地へと移動する。目標は、この村の中心にある村長宅。
 例の場所では、未だに紙片。もしくは手記本体の効果が発揮されている可能性が非常に高い。塀内の状況と化け物共の種類が居酒屋とは異なる点からも、本命と言って間違いないだろう。
 問題は、未だに出力されている魔力の原料は何か?といった所だが、それは確保して確認する。
 確保の際は慎重に行い、術者に意識がある場合は拘束して持ち帰る。温床となっていた場合は即殺せ。
 ルート#で後退。作戦を終了する。
 それとルート#の経路が使えなかった場合は、地下水路を利用し脱出する。地図の場所を頭に叩き込んでおけよ」

 目標の村長宅へは、点在する住宅を経て十キロ程度の道程だ。
 村を囲っている円形の石垣から中心へ向かうと、約二キロ地点に村がある。其処から点在する家々を渡り、約八キロ徒歩だ。
 元々遊牧民が腰を落ち着けた場所である為、家々の間隔が広い。

「隊長、我々は何を?」
「敵兵力も未知数で、その能力には不明な点も多い。第三小隊以下は、情報収集を行う現地職員の護衛と残りの居酒屋に対しての奇襲を行え。複製された紙片は出来る限り回収せよ」
「__また暇人かよ」
「レイン。暇なら、連中の住処の偵察にでも行ってこい。葬儀代が浮かぶぞ」

 冗談多い隊員を嗜める。
 死んで来いという言葉も、彼らの内ではジョークの部類だ。

「取り込まれたら、呪ってやろうかな」
「植物主義者は、ビールとワインが飲めなくなるらしいぞ?」
「おいおい。俺に禁酒しろって言うのかよ」
「いい機会だろうな」

 そんな事を言って盛り上がる彼らに、咳き込む声を含めて状況を説明する。
 今回の相手は、未知の部分が多い相手である。既にいくつかの特徴的な異常を理解しているとはいえ、人型と種子に対しての理解は浅い。
 この作戦が成功し、理会の及ぶきっかけになる情報が得る事が出来ればマシになる。

「今回の作戦では、技術開発班特製のギリースーツを着用してもらいます。慣れない環境ですが、御尽力ください」
「そういう事だ、野郎共。遠足は帰るまでが遠足だ。ドンパチ出来ないからといって、駄々を捏ねるなよ?それと、装備の点検は念入りに行え」

 彼らは、彼らの隊長に逆らう事は無い。

「了解」
「へいへい」
「第三小隊以下は、ターキーの支持下に入れ。孤児院、及び修道院の偵察は保留だ。第三小隊は現地職員による聞き込みに同行しろ。植物共に取り込まれない様に彼らの護衛をしてやれ。残りの居酒屋に対しての襲撃、人型実体の確保は第4小隊が行うように。既に、感づいて対策を立てている可能性もある。警戒を怠るな」
「種の村での、目標度は」
「関連する要注意団体の書類。副官に対する書類。新たな手記、又は紙片の捜索。この三つを、最優先とする」

 種の取引の仲介をしている居酒屋は他にもあり、それを絶たなければ種は売買され続ける。
 彼らの目的が何かは分からないが、少なくともこれ以上の犠牲者を出す訳にはいかない。

「作戦は以下の通りです。何か質問は?」
「はい」
「RM3」
「結局、副官と繋がっているかもしれない”親切な人間”の正体は分かっているんですか?」
「現状では植物主義者が怪しいですが、証拠は何もない状況です。ですから、関連書籍の回収には様々な関係を洗い出せる物もお願いします。__他には?」

 手を上げる者は居なさそうだ。

「全員の帰還を以て、終了とします」

 小さき我々は、その全てが家族だ。
 平穏である為に、あらゆる武器を以て異常を破壊する。

「分かってますよ、博士」
「任せてください」

 我々は、小さき破壊者である。

「貴方方の健闘と生還を祈ります。何時もの通り、がんばりましょう」

 祈りを忘れず。
 武器を携え。
 確かな実力を以て。

 この世界を、より良くする。

「これより、重要案件の返却に入る。各員、引き締めろ」

 



 小人達は、常に小さき者を守る盾である。








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