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色んな好みが違う!朝飯和or洋だけじゃない!
⑥
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杏奈はいつも何か不満げで、怒ったような顔をしている。しかし別に何か嫌なことがあってそういう顔をしているのではなく、他の人間のように色々なことに不満がありそれが表情として現れているだけの話であり、そもそものちょいコワモテと相まって一層不機嫌に見えるだけなので、道子は最近は気にならなくなった。しかし今日の杏奈は明らかにいつもと違う、負の表情をしている。先程届いた郵便物を見て、青ざめている。
「どうしたの杏奈さん」
「……第一希望落ちました……」
「え?」
「よりによって、第四希望のとこですよ……いやー、予定が狂った!」
「??」
「保育園ですよ保育園!」
なるほど。今日は保活とやらの合否が出る日なようだ。
聞くと申し込み時点では第五希望まで書けるということで、自宅から近い園と会社から近い園、それから通勤途中の園から五つ選んで書いたという。今回決定した園は、自宅と会社の中間パターンの中で一番通勤路からそれているということだ。
「ていうことは、朝は七時半くらいに出ないと……」
杏奈は青ざめているが、道子は単に早起きが嫌なだけかと思ったらおかしかった。
「杏奈さん、私が起こしてあげるから大丈夫よ。私は七時過ぎには家出てるから」
「是非! お願いします!」
「!」
あら。いつも道子の申し出など嫌そうな顔でブーブー言うくせに、今日は素直に目をキラキラさせているではないか。なかなか可愛いじゃないの。そして頼られると、道子も嬉しい。
「任せてちょうだい」
道子は胸を張って答えた。
更にその晩、杏奈と和馬はまた保育園のことで話し合いをしたらしく、午後の体調不良時の呼び出しの場合の迎えも道子に頼んできた。
「私たち一台の車で通勤するので、午後は迎えに行くともう一人が帰れないんです。お義母さん仕事は午前中だと思うんで、是非お願いしたいです」
杏奈はものすごい大それたことを頼むように深刻な顔をしているが、道子からすれば些細なことである。
「いいわよ。でもるりちゃん、私にまだ泣くから、保育園入るまでは少し関わらせて。慣れておいてもらわないと」
「勿論です!」
杏奈め、ここに来てようやく道子の大切さに気付いたか。そうなのだ。子育てとは、大人の数が多いほど助かるものなのだ。道子も三人の子供を育てているとき、疎ましかった姑に助けられてきたのだ。
道子は瑠璃夏を抱っこさせてもらった。泣く。悪趣味な服を着せられているこの子が、道子の初孫が、一歳を待たずして保育園に入れられる。サポートしてあげようじゃないの。
「……迎えとなると、自転車がいるわね……」
「買います買います。赤ちゃんシートのついたやつ買います」
そして道子はマイチャリもゲットすることとなったのだった。
「どうしたの杏奈さん」
「……第一希望落ちました……」
「え?」
「よりによって、第四希望のとこですよ……いやー、予定が狂った!」
「??」
「保育園ですよ保育園!」
なるほど。今日は保活とやらの合否が出る日なようだ。
聞くと申し込み時点では第五希望まで書けるということで、自宅から近い園と会社から近い園、それから通勤途中の園から五つ選んで書いたという。今回決定した園は、自宅と会社の中間パターンの中で一番通勤路からそれているということだ。
「ていうことは、朝は七時半くらいに出ないと……」
杏奈は青ざめているが、道子は単に早起きが嫌なだけかと思ったらおかしかった。
「杏奈さん、私が起こしてあげるから大丈夫よ。私は七時過ぎには家出てるから」
「是非! お願いします!」
「!」
あら。いつも道子の申し出など嫌そうな顔でブーブー言うくせに、今日は素直に目をキラキラさせているではないか。なかなか可愛いじゃないの。そして頼られると、道子も嬉しい。
「任せてちょうだい」
道子は胸を張って答えた。
更にその晩、杏奈と和馬はまた保育園のことで話し合いをしたらしく、午後の体調不良時の呼び出しの場合の迎えも道子に頼んできた。
「私たち一台の車で通勤するので、午後は迎えに行くともう一人が帰れないんです。お義母さん仕事は午前中だと思うんで、是非お願いしたいです」
杏奈はものすごい大それたことを頼むように深刻な顔をしているが、道子からすれば些細なことである。
「いいわよ。でもるりちゃん、私にまだ泣くから、保育園入るまでは少し関わらせて。慣れておいてもらわないと」
「勿論です!」
杏奈め、ここに来てようやく道子の大切さに気付いたか。そうなのだ。子育てとは、大人の数が多いほど助かるものなのだ。道子も三人の子供を育てているとき、疎ましかった姑に助けられてきたのだ。
道子は瑠璃夏を抱っこさせてもらった。泣く。悪趣味な服を着せられているこの子が、道子の初孫が、一歳を待たずして保育園に入れられる。サポートしてあげようじゃないの。
「……迎えとなると、自転車がいるわね……」
「買います買います。赤ちゃんシートのついたやつ買います」
そして道子はマイチャリもゲットすることとなったのだった。
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