トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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前回のお礼を 2

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一度家に戻ったシュナは香油の瓶を取り、再度外に出た。

今日はイアンに香油を届ける日だが、まだ時間が早いのでいつもの公園に向かう。

正直なところイアンの部屋の前に置いて去ればいいだけの話なのだが、あとで何言われるかもわからないし、逃げたと思われるのは些か癪なので、ちゃんと相手をして意識を飛ばさずおさらばするのだ。

シュナはいつもの花が一番見える場所のベンチに座り、満開なパンジーとビオラを見ながら心を洗う。

薄汚れた心がほんの僅かにでも洗がれるように。


「パンジーはどっちかって言うと香りが控えめなのよね。でも繊細な香りが部屋にほんのり香っていたら素敵」


比較的育てやすいパンジーはいつかシュナが小さな家を買ったら育てたい花の一つだ。


――果たしてそんな日が来るのだろうか。


ふと先日見た悍ましい夢を思い出してシュナは身震いするが、それでも望むことと、それに向かって邁進するのは自由だ。

退いて蹲ったらきっと二度と前を向けないかもしれない。あんな奴のせいで自分の人生をこれ以上台無しにするなんてごめんだ。

そろそろ良い時間になってきたので、シュナが移動すると、公園の入口近くで何やら男女が揉めている、というか女性の方が喚いているといった方が正しい。

そして喚いている女性の相手は、軍服姿のイアンだった。


「ねえ、イアン!お願いよ」


涙ぐみながら希っているのは綺麗なドレスを身に纏った可憐な令嬢だ。


「だからそれは聞けないお願いだよ」


対するイアンは微笑んではいるが、面倒そうな胡散臭い笑みだ。

このまま素通りしても良いのだが、この後用事があるのはシュナである。今夜こそ意識を飛ばさず気合を入れているので、早くことを済ませて帰りたい。

シュナがそのまま揉めている二人に向かっていく。

清楚で股なんか開いたことありませんという儚げな雰囲気で。


「イアン…!」
「あの…すみません」


ちょっと申し訳なさそうに二人に話しかける。

シュナは邪魔をするなと雰囲気で表す令嬢を見ずにイアンだけに目を向ける。


「あの、以前薬屋でお見かけした方ですよね?先日私あそこに用事があって行っていたのですが、…店主が多分外見から貴方だと思うんですけど、頼んだ用事がまだだって言ってました。仕事関連?かもしれませんが」
「…ああ、あの時店主と話していた子かな?これから行こうと思っていたんだ。丁度用事の報告に行こうと思っててさ」
「あ、そうなんですね。良かったです。結構気にされていたのでもしかしたらと思って。突然声かけてしまってごめんなさい」


イアンは無事に話に乗ってくれたようだ。ゆっくりとシュナの元に歩いてくる。


「ううん。逆に教えてくれて助かったよ。君もこれから薬屋に用事?」
「はい。いつもの頼まれているものを卸しに行くんです」
「じゃあ一緒に行こうか」


そう言ってイアンがシュナをエスコートしようとすると、後ろから金切り声が聞こえた。


「イアン!誰よその女!」


わざとらしく困惑したような表情をしたシュナはイアンの表情を見て些か驚いた。

イアンの口角は上がってはいるが、橙色の瞳は全く微笑んでいない。その笑みには蔑みがしっかりと滲んでいる。


「前にも説明したし、僕の意向は初めに話してあるはずだよ」
「それは知っているわ!でも―――」
「嘘つきは嫌い。そして仕事を邪魔する相手は問題外」
「!」


イアンがシュナに微笑み、「行こうか」と促してくる。その笑みはいつも通りの人当たりの良いものだ。

シュナは令嬢にぺこりと頭を下げてイアンと共に公園から離れた。




「ありがと。助かった」


暫く歩いた後、イアンがいつもの口調で話してきた。


「別に。対処出来るだろうとは思ったけど、私との時間が先延ばしになるのは迷惑だから。早く帰れなくなるし」
「ふはっ」


少し前のめりに噴き出したイアンがにこりと微笑む。


「相変わらずだなー薬屋の話は?」
「適当。仕事は?」
「丁度終わったところ。じゃあ、何か食料調達し
てから行こうか」





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