トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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強くなければいけない 1

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「リアがそんなに飲むことは珍しいな」
「そうかもー何だろう…最近楽しくなくなってきた」
「…そうか」
「年かなぁ」
「どうだろうな」


リアはユニュイスに訪れていたのだが、今夜は…いや今夜もどうしても相手の雄と楽しもうという気持ちが沸き起こらない。

何人か話しかけてはきたが、どうしても気が乗らず飲みに来ているだけと断っていた。

今までからは有り得ないことだった。


「はあ…困った。そろそろ魔力も微妙なのに」
「最悪は魔力薬だな」
「うーん高くつくのよね」


シュナは今まで魔力薬を使ったことがない。それはシュナがずっと何年も誰かと性交し続けてきたからなのだが、本来は魔力薬と並行し、休息も経て皆魔力を回復させているのだ。

シュナの魔力量はスーラン曰く魔術師よりも多少少ないが、普通の人族よりは多いそうだ。よって性交が一番手っ取り早く魔力回復できて精製が好きなだけできる。


「ギムレットおかわり」
「もう五杯目だぞ」
「ちょっと酔いたい気分」


今夜はのらない。
今夜ものらない。

その理由はもう明確にシュナの頭の中にあった。
理解はしているが、認めるわけにはいかないのだ。
認めたらリアの克服方法が失くなってしまう。


(イアンに……覆ってもらって拘束してもらったら、克服できる?)


十年経った今でも拒否反応を示す行為だ。鬱血痕然り。

覆われて身体全体で相手を感じるのは本来の恋人同士ならばとても尊い体勢なのかもしれないが、リアにとっては拷問だ。

鬱血痕も好きな相手に対して自分のものだと主張する手段なのだろうが、リアからしたら烙印だ。


それを洗いざらいイアンに全部伝えられるのか。
答えは否だ。


(義理父に散々陵辱されたって知られたら流石にドン引きされそう)


にこにこ微笑みながら去っていくイアンを想像するとぶるりと身体が震えた。


「寒いのか」
「ん。大丈夫、いただきまーす」


シュナは味わって飲むギムレットをぐびりと一気に飲んだ。





「失礼。貴女がリアさんですか?」


八杯目のギムレットを飲み干し、次は何にしようかと悩んでいると後ろから声を掛けられた。

かなり酒が入ったリアがゆっくりと振り向くと、そこには濃い色の色眼鏡をかけた女性。

店内が薄暗いので黒く見えるが焦げ茶色の色眼鏡だろうか。暗いので相手の瞳は見えない。

顎あたりまでの長さのボブカットの女性はとてもスタイルが良く、シンプルなグレーのジャケットにハイネック。綺麗な脚を魅せるような細身の黒いバンツを履いている。


「はい。何か?」
「化粧しているからでしょうか。凄くお綺麗ですね」


目の前の彼女の瞳は分からないが、全体のパーツを見る限りでは強気な美人といった感じの人である。

リアはゆっくりとカウンターのデュークを見ると、珍しくいつもより鋭い視線になっていた。


「…デューク」
「何だ」
「もしかして、私初めての女性からのお誘い?」
「「は?」」


二人の声が同時に重なった。


「できなくはない?いや…雄がなくどうやって…これタチとねこ?だっけ。私どっちできる―――完全にタチでしょ、性格的に。でも雄が―――」
「お言葉ですが」


女性がリアのぼやきを遮った。


「そういうお誘いではありません」
「何だ。そうですか。新しい世界に踏み込んでみても良かったけど、…まあやっぱり雄を食い散らかす方が性に合っているかなー」
「イアンさ――イアンとの関係は?」


その言葉を聞いてリアはゆっくりと瞬きをして女性を見る。





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