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害悪の全ては虚構也 5
しおりを挟む未だに痙攣し続け収縮する蜜壺にずっと雄を埋め込んでいたいがやることがある。
過ぎた快感で意識を失ったシュナに緩やかな深い口づけをしたイアンは名残惜しげに口を離し、まだ出たくないと駄々をこねる雄を引き抜く。
シュナに掛布をかけ下履きだけ履いたイアンは恐らくその位置から写しているだろう方向に向かって口を動かした。
「スーラン」
「はいはい」
「イアンはこれからこれへの報復がある。スーランは見物したい?しないならシュナの傍に居て欲しいって」
「もう私は報復済ませたし、動かない雄を見た時のあれの信じられない顔がマジでざまあみろって感じ。それにグロいのは勘弁。汚物とグロいとかどれだけの罰ゲームなの。一刻くらいしたらバウデンが来るだろうからそれまでシュナの所に居る」
「…バウデンも変わったのねぇ」
「ね。性交に興味なさそうだったのに。魔力貰わないと。馬車で襲うんだー」
「ぶっ」
思わず噴き出したエリックにスーランから「悪態吐きながらも快楽に呑まれていくのが堪らん」と追撃され、今度は口を抑えて何とか耐えた。
「あの冷静沈着なイメージをこれ以上壊さないで」
「それも変わらないよ。感情が増えただけ。―――イアンもね」
「…そうね」
「じゃあ私はシュナの隣で昼寝でもしてる」
「よろしくね」
スーランは既にあまりのショックで消えてしまった円形の場所を瞬きせずに見続けているアーロを一瞥もせず出て行った。
*****************
目の前では元は整った男のギラつく瞳がイアンをぎりぎりと猿轡の布を引き千切る勢いで噛み締めて見ていた。イアンはそれを何の感情も湧かずに能面で見ながらエリックから事の次第を聞いていた。
「あの子の思惑は当たりだったんだね。流石ー」
「正気の失い方がまあ見ものだったわね。それであんたから?」
「そりゃ僕からでしょ」
「次は俺だ」
牢にはイアンとエリックとデュークが集まっていた。
「まず喉潰すか薬で焼きましょ。まともに声出せないように。あの子の名前呼ばれたら殺しちゃいそうだから」
「僕は爪と歯いこうかな。デュークはどこ?」
「瞼と鼻。それと手」
「わお。エリック、最終的には?」
「異国にバリタチ用意してある。慰み者用。それが出来ない状態にはしないで」
今度はアーロ自身がやられる側になるということだ。
「彼の好きな媚薬で?」
「まさか。それは最終段階。始めから良い思いさせるわけないでしょ」
「だよね。初めてはちゃんと純潔同等痛みを知らないと。エリックはそれだけ?」
「余った所貰う」
「あるかなぁ。最終的には?」
「自死くらいね。一年以上はさせない」
カラカラ笑う間にもアーロは腫れ上がった顔で凝視しながらイアンを睨み続けている。
その様子にイアンは笑みを消し瞳孔開いて殺気を解放すると、アーロが瞠目しぶるぶる震え始めた。
「お前が嬲ってきた彼女は僕の元に来た。一生僕の傍で幸せに浸る。対してお前は拷問の果てに行くのは雄からの性欲の捌け口の道具となる場所だ。せいぜい愉しめ」
イアンが能面の表情で伝えた言葉にアーロは震えが止まらなくなっていた。
イアンは生まれて初めて微笑まずに拷問を遂行した。
全く以て笑えない相手だったからだ。
牢獄にはとある外道の声にならない絶叫と異臭が立ち込め、あたりは血が飛び散り凄惨な場と化した。
外道は殆ど人間として硬い部分を失うことになり、その後はエリックの指示でとある特殊な趣味の多い異国の性奴隷として送られていった。
****************
シュナは丸まらずに全身で温かい何かに包まれている。背中や頭を撫でられて時折温かく柔らかいものが落ちてくる。
ゆっくり意識が浮上する。最近殆ど飛び起きることが無くなったシュナは目の前に見える上半身裸の美しい生きものにくっついていた。
柔らかい朱色と毛先が桃色の髪が見えてシュナは思わず口元が緩む。上からはすうすう寝息が聞こえて、なるべく起こさないようにゆっくりと顔を上げる。
そこには恐ろしく顔が整った美麗なイアンが気持ち良さそうに眠っている。この位置から見られるなんてなんて贅沢なのだろうと思いながら、もう少しこのまま寝かせてあげたいとシュナも目を閉じた。
一刻後、二人が湯を浴びて帰り支度をしていると、イアンがアーロの話をしてきた。
「シュナの思惑は大当たりだったよ。狂乱して暴れていたって」
「そうなんだ。ようやく理解したんだね」
「あいつの今後を聞きたい?」
「全然。私の脳内にあいつの入る隙はないし関わらないならどうでも良い」
シュナはイアンのおかげで殆どのトラウマを克服出来た。勿論過去にされたことを許す選択はないが、憎しみも嫌悪も全て相手への感情だ。
シュナはアーロに微々たるも感情を与えたくない。
その時間が勿体ないからだ。
感情も記憶からも薄れさせ関心を持たないのが一番だ。
元から居ない存在と同等となる。
イアンはシュナの頬を包み、とても綺麗な微笑みを見せた。
「シュナは本当に強い。ああいうのには無関心が一番」
「うん。私の先の人生の中で全く必要無いから。少しでも考える時間を他に使いたい」
イアンが優しく引き寄せて抱き締めてくれる。
「格好良い。最強。その辺の雄より漢前。僕と同じくらいかな」
「ふふ。イアンと同等に並べるほど?」
「そうそう。シュナ最高峰。さ、帰ろう」
「うん。お腹空いた」
「確かに。タルカル食堂久々に食べたいなー」
「良いね、乗った」
イアンが微笑みシュナの手を取って二人は客室から出て行った。
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