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第15話 甘すぎる同居生活
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春の雨が明け、王都の外は一気に緑を取り戻しつつあった。
修道院を後にしたアーロンとリシェルは、森を抜けた先の小さな湖畔の館に身を隠していた。
王妃の古い別邸だったというその建物は、石造りながらも穏やかな佇まいを見せる。古びた窓枠から差し込む朝の光が、室内に淡く満ちていた。
「……まさか、こんなところに隠れ家があるなんて」
リシェルは食器を並べながら呟いた。
「王家の離宮は、ただの飾りじゃない。母上は政治の裏でこういう場所を幾つも備えていたらしい」
アーロンは暖炉の火を調整しながら笑う。その笑顔を見た瞬間、リシェルは思わず目を逸らした。
「……不思議ですわ。追われているのに、こんなに穏やかな時間があるなんて」
「嵐の前の静けさ、というやつだろう。だが、俺は今だけはこの静けさを信じたい」
リシェルは微笑み、ポットから紅茶を注いだ。
二人の間に漂う香りは、まるで年月を埋めるように柔らかかった。
「殿下……いえ、アーロン。お砂糖は?」
「君の手が入っていれば、甘さはいらない」
「そんな言葉を言える余裕があるとは思いませんでしたわ」
「少しは言わせてくれ。いつも凛としている君を前にすると、時々からかいたくなる」
からかう声に、リシェルは顔を上げられなくなった。胸の奥が妙にくすぐったい。
暖炉の火がぱちりと音を立てた。静かな館には、鳥の囀りさえも穏やかに響いている。
逃亡という緊張で始まった朝なのに、奇妙な安らぎがあった。
「……アーロン。あなたは、どうしてそこまで平然でいられるのですか? 王都では今も混乱が続いているはずでしょう」
「平然ではない。だが、焦っても何も変わらない。今は、心を整える時期だ」
「心を、整える……」
「そうだ。戦い抜くには、剣だけじゃ足りない。信念を研ぐ時間が必要なんだ」
アーロンの言葉に、リシェルは静かに頷いた。
そして少し躊躇いながら、懐から小さな書簡を取り出した。
王妃とグレイス家の誓約書――父から託された真実。
封を解き、それをアーロンの前に差し出した。
「これを……渡します。母と王妃陛下が結んだ契約だそうです」
アーロンは目を見開き、手を伸ばす。
「……グレイス家と王家の“盟約”。噂だけだと思っていたが、本当に存在したのか」
「父が持ってきました。母はこれを守るために命を落としたのです」
リシェルの声がわずかに震える。
アーロンは黙って彼女の手を取り、包み込むように握った。
「君の母上は勇気ある人だった。この文があれば、俺が王家の正統である証を示せる」
「でも、その前に争いが起きれば……」
「そのときは俺が止める。……君の手の中で生まれた未来を、血で汚したくはない」
言葉の余韻が静かに零れた。リシェルは俯きながら小さく笑う。
「あなたは本当に不器用ですわね。そんなことを言われたら、もう怖くて離れられません」
「離れてもいいと思ったことは、一度もない」
顔を上げたリシェルは、ゆっくり息を呑んだ。
アーロンの瞳があまりにも真っ直ぐで、光を宿していたからだ。
次の瞬間、彼はそっと彼女の額に触れた。
「君がいてくれてよかった」
「……アーロン」
「君の笑顔を見るだけで、どんな絶望も倒せそうな気がする」
「それは勇者の台詞です」
「戦うための理由が欲しいだけだ。俺を支えてくれる言葉が、君の唇で生まれていく。そのたびに、明日を描けるんだ」
リシェルは視線を外し、耳まで赤く染まった。
彼の言葉は、戦よりも鋭く、優しく、心の奥に届く。
――こんな時間がいつまで続くのだろう。
それを考えた瞬間、胸が少しだけ痛んだ。
「アーロン、お願いがあります」
「何だ?」
「どんな未来が待っても、わたくしの存在を“罪”にはしないでください」
「罪?」
「愛するという行為が、いつも女の罪にされるのが嫌なのです。母もそうでした。けれど、わたくしは違う。あなたの隣を歩くと決めたのは、誰の命令でもありません。――わたし自身の選択です」
アーロンは静かに彼女の頬を撫で、目を閉じた。
「約束する。君の愛は、俺の誇りだ」
その言葉に、リシェルの目から一粒の涙がこぼれた。
だが、その顔に浮かぶ笑みは晴れやかだった。
その後、二人は隣の部屋にある書庫を調べ、王妃が残した文書の断片を見つけた。
そこには「印璽への道標」が示されており、王家の地下迷宮に通じる隠し道の場所が記されていた。
「これだ。これが王印の在り処への鍵になる」
「王妃陛下は、あなたがこの場所を見つけるのを待っていたのですね」
「母上の最後の贈り物だ」
アーロンは文書を大切にしまい込んだ。
そしてリシェルに向き直り、真剣な声で言った。
「これを得るため、もう一度王都に戻る。今度は俺ひとりで行く」
「そんなこと――許しません」
「君を危険に巻き込めない。母上の教会に行ってくれ。そこにいれば必ず安全だ」
「安全? それは生きて“待つだけ”の時間でしょう。わたくしには、あなたの隣で息をする未来しか見えません」
リシェルの強さを感じて、アーロンは沈黙した。
やがて、彼はふっと微笑んだ。
「……分かった。では約束しよう。君が一緒に来るなら、絶対に誰も死なせない。俺たちの戦いは、命を奪うためじゃない。真実を生かすための戦だ」
「それなら、わたくしも誓います。決して恐れません」
二人は手を握り合い、静かに火の灯りを見つめた。
外では再び雨が降り始める。
湖面が細かな波を立て、夜風がカーテンを揺らす。
アーロンがそっと彼女の肩を抱き寄せる。
「この雨がやんだら、次の旅が始まる」
「ええ。今度こそ、終わりではなく始まりのために」
その言葉とともに、火が静かに燃える音だけが響く。
追われることを忘れるようなひととき。
それは確かに、二人にとって一瞬の“平和”であり、甘い夢のような時間だった。
だが外の闇の向こうでは、王都の灯が燃え、王太子の命による新たな討伐命令が発せられていた。
二人の静寂を破る運命が、また音を立てて動き始めていた――。
続く
修道院を後にしたアーロンとリシェルは、森を抜けた先の小さな湖畔の館に身を隠していた。
王妃の古い別邸だったというその建物は、石造りながらも穏やかな佇まいを見せる。古びた窓枠から差し込む朝の光が、室内に淡く満ちていた。
「……まさか、こんなところに隠れ家があるなんて」
リシェルは食器を並べながら呟いた。
「王家の離宮は、ただの飾りじゃない。母上は政治の裏でこういう場所を幾つも備えていたらしい」
アーロンは暖炉の火を調整しながら笑う。その笑顔を見た瞬間、リシェルは思わず目を逸らした。
「……不思議ですわ。追われているのに、こんなに穏やかな時間があるなんて」
「嵐の前の静けさ、というやつだろう。だが、俺は今だけはこの静けさを信じたい」
リシェルは微笑み、ポットから紅茶を注いだ。
二人の間に漂う香りは、まるで年月を埋めるように柔らかかった。
「殿下……いえ、アーロン。お砂糖は?」
「君の手が入っていれば、甘さはいらない」
「そんな言葉を言える余裕があるとは思いませんでしたわ」
「少しは言わせてくれ。いつも凛としている君を前にすると、時々からかいたくなる」
からかう声に、リシェルは顔を上げられなくなった。胸の奥が妙にくすぐったい。
暖炉の火がぱちりと音を立てた。静かな館には、鳥の囀りさえも穏やかに響いている。
逃亡という緊張で始まった朝なのに、奇妙な安らぎがあった。
「……アーロン。あなたは、どうしてそこまで平然でいられるのですか? 王都では今も混乱が続いているはずでしょう」
「平然ではない。だが、焦っても何も変わらない。今は、心を整える時期だ」
「心を、整える……」
「そうだ。戦い抜くには、剣だけじゃ足りない。信念を研ぐ時間が必要なんだ」
アーロンの言葉に、リシェルは静かに頷いた。
そして少し躊躇いながら、懐から小さな書簡を取り出した。
王妃とグレイス家の誓約書――父から託された真実。
封を解き、それをアーロンの前に差し出した。
「これを……渡します。母と王妃陛下が結んだ契約だそうです」
アーロンは目を見開き、手を伸ばす。
「……グレイス家と王家の“盟約”。噂だけだと思っていたが、本当に存在したのか」
「父が持ってきました。母はこれを守るために命を落としたのです」
リシェルの声がわずかに震える。
アーロンは黙って彼女の手を取り、包み込むように握った。
「君の母上は勇気ある人だった。この文があれば、俺が王家の正統である証を示せる」
「でも、その前に争いが起きれば……」
「そのときは俺が止める。……君の手の中で生まれた未来を、血で汚したくはない」
言葉の余韻が静かに零れた。リシェルは俯きながら小さく笑う。
「あなたは本当に不器用ですわね。そんなことを言われたら、もう怖くて離れられません」
「離れてもいいと思ったことは、一度もない」
顔を上げたリシェルは、ゆっくり息を呑んだ。
アーロンの瞳があまりにも真っ直ぐで、光を宿していたからだ。
次の瞬間、彼はそっと彼女の額に触れた。
「君がいてくれてよかった」
「……アーロン」
「君の笑顔を見るだけで、どんな絶望も倒せそうな気がする」
「それは勇者の台詞です」
「戦うための理由が欲しいだけだ。俺を支えてくれる言葉が、君の唇で生まれていく。そのたびに、明日を描けるんだ」
リシェルは視線を外し、耳まで赤く染まった。
彼の言葉は、戦よりも鋭く、優しく、心の奥に届く。
――こんな時間がいつまで続くのだろう。
それを考えた瞬間、胸が少しだけ痛んだ。
「アーロン、お願いがあります」
「何だ?」
「どんな未来が待っても、わたくしの存在を“罪”にはしないでください」
「罪?」
「愛するという行為が、いつも女の罪にされるのが嫌なのです。母もそうでした。けれど、わたくしは違う。あなたの隣を歩くと決めたのは、誰の命令でもありません。――わたし自身の選択です」
アーロンは静かに彼女の頬を撫で、目を閉じた。
「約束する。君の愛は、俺の誇りだ」
その言葉に、リシェルの目から一粒の涙がこぼれた。
だが、その顔に浮かぶ笑みは晴れやかだった。
その後、二人は隣の部屋にある書庫を調べ、王妃が残した文書の断片を見つけた。
そこには「印璽への道標」が示されており、王家の地下迷宮に通じる隠し道の場所が記されていた。
「これだ。これが王印の在り処への鍵になる」
「王妃陛下は、あなたがこの場所を見つけるのを待っていたのですね」
「母上の最後の贈り物だ」
アーロンは文書を大切にしまい込んだ。
そしてリシェルに向き直り、真剣な声で言った。
「これを得るため、もう一度王都に戻る。今度は俺ひとりで行く」
「そんなこと――許しません」
「君を危険に巻き込めない。母上の教会に行ってくれ。そこにいれば必ず安全だ」
「安全? それは生きて“待つだけ”の時間でしょう。わたくしには、あなたの隣で息をする未来しか見えません」
リシェルの強さを感じて、アーロンは沈黙した。
やがて、彼はふっと微笑んだ。
「……分かった。では約束しよう。君が一緒に来るなら、絶対に誰も死なせない。俺たちの戦いは、命を奪うためじゃない。真実を生かすための戦だ」
「それなら、わたくしも誓います。決して恐れません」
二人は手を握り合い、静かに火の灯りを見つめた。
外では再び雨が降り始める。
湖面が細かな波を立て、夜風がカーテンを揺らす。
アーロンがそっと彼女の肩を抱き寄せる。
「この雨がやんだら、次の旅が始まる」
「ええ。今度こそ、終わりではなく始まりのために」
その言葉とともに、火が静かに燃える音だけが響く。
追われることを忘れるようなひととき。
それは確かに、二人にとって一瞬の“平和”であり、甘い夢のような時間だった。
だが外の闇の向こうでは、王都の灯が燃え、王太子の命による新たな討伐命令が発せられていた。
二人の静寂を破る運命が、また音を立てて動き始めていた――。
続く
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