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2章
6 ジェーンの家庭事情と婚約者②
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「家の者は何をしているんだ?侯爵家には親がいるはずだろう」
婚約者のいる屋敷の中で、その義妹と浮気をするというのは信じ難いことだった。
だけどそれ以上に、同じ屋敷の中には両親がいるはずなのだ。
侯爵夫妻は何をしているのか。
「…家の中で、ジェーンはあまり強い立場ではないのです」
ジェーンの立場?
その言葉に違和感を覚えた。
侯爵家はジョッシュを次期当主として迎える。
侯爵家としても、次期当主が結婚前から義妹と醜聞を起こしているのは問題ではないのだろうか。
沈黙が落ちる。
レイヴンが知らない何かがあるようだ。
「…殿下はジェーンとエミリーの母親が違うことはご存知でしょう」
レオナルドが重い口を開く。
レイヴンは頷いた。
侯爵家の惣領姫であるサンドラにデミオンが婿入りしたこと。
だがデミオンは恋人のアンジュと別れておらず、前侯爵が亡くなると、サンドラを捨ててアンジュと別邸へ移ってしまったこと。
そしてサンドラの死後、アンジュとエミリーを連れて侯爵家へ戻ったこと。
それは有名な話だった。
当時から侯爵家の醜聞として、面白おかしく噂されていたので社交界で知らない者はいない。
「デミオン殿もアンジュも、エミリーだけを溺愛し、ジェーンを嫌っています。エミリーに婚約者を寝取られてジェーンが傷つくのは間違いない。2人なら喜んで協力するでしょう」
吐き気がするような話だった。
義姉の婚約者と関係するのを、両親が後押ししているというのか。
レオナルドは2人を名前で呼んだ。
叔父と叔母とは呼びたくないのだ。
「…エミリーは何があっても侯爵家を継ぐことはできません。侯爵家の血筋はあくまでジェーンです。アンジュはサンドラ叔母様に強い対抗意識を持っていて、デミオン殿の跡を継ぐのがジェーンであることに強い抵抗を示しています」
そこまで言って、アリシアはハッとしたように顔を上げた。
「2人はエミリーをジョッシュ殿の愛人にして、エミリーが生んだ子を侯爵家の跡取りにするつもりなのかもしれません」
それは衝撃的な言葉だった。
エミリーはキャンベル侯爵家の血を持たない為、たとえジェーンに何かあったとしても侯爵家を継ぐことはできない。デミオンがエミリーに家督を譲ろうとしても、侯爵家の縁者から必ず反対の声が上がる。
これまでデミオンの横暴を許しているのは、正当な血筋のジェーンがいるからだ。
だけどジョッシュがジェーンと結婚し、家督を継げばジョッシュが侯爵家の当主となる。
しかしジョッシュがジェーンを相手にせず、白い結婚を貫いていれば当然子は生まれない。
そこで愛人――エミリーが子を生めば、侯爵家当主の子として迎えられ、その子が侯爵家を継ぐことになる。
アンジュは、そしてデミオンは、サンドラとその娘から合法的に侯爵家を簒奪しようというのか。
「考えたくはないが、あり得ないことではないな。実際エミリーには婚約者がいない。元はどうあれ、今はエミリーも侯爵家の令嬢だ、婚約の申し込みは少なくないだろう。それなのにまだ婚約者を決めていないということは、なにか考えがあるはずだ」
レオナルドが厳しい顔で唇を噛む。
「そんなこと、絶対に許さないわ」
アリシアもまた、厳しい顔をしていた。
今はまだ想像でしかないが、それはあり得る未来なのだった。
婚約者のいる屋敷の中で、その義妹と浮気をするというのは信じ難いことだった。
だけどそれ以上に、同じ屋敷の中には両親がいるはずなのだ。
侯爵夫妻は何をしているのか。
「…家の中で、ジェーンはあまり強い立場ではないのです」
ジェーンの立場?
その言葉に違和感を覚えた。
侯爵家はジョッシュを次期当主として迎える。
侯爵家としても、次期当主が結婚前から義妹と醜聞を起こしているのは問題ではないのだろうか。
沈黙が落ちる。
レイヴンが知らない何かがあるようだ。
「…殿下はジェーンとエミリーの母親が違うことはご存知でしょう」
レオナルドが重い口を開く。
レイヴンは頷いた。
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そしてサンドラの死後、アンジュとエミリーを連れて侯爵家へ戻ったこと。
それは有名な話だった。
当時から侯爵家の醜聞として、面白おかしく噂されていたので社交界で知らない者はいない。
「デミオン殿もアンジュも、エミリーだけを溺愛し、ジェーンを嫌っています。エミリーに婚約者を寝取られてジェーンが傷つくのは間違いない。2人なら喜んで協力するでしょう」
吐き気がするような話だった。
義姉の婚約者と関係するのを、両親が後押ししているというのか。
レオナルドは2人を名前で呼んだ。
叔父と叔母とは呼びたくないのだ。
「…エミリーは何があっても侯爵家を継ぐことはできません。侯爵家の血筋はあくまでジェーンです。アンジュはサンドラ叔母様に強い対抗意識を持っていて、デミオン殿の跡を継ぐのがジェーンであることに強い抵抗を示しています」
そこまで言って、アリシアはハッとしたように顔を上げた。
「2人はエミリーをジョッシュ殿の愛人にして、エミリーが生んだ子を侯爵家の跡取りにするつもりなのかもしれません」
それは衝撃的な言葉だった。
エミリーはキャンベル侯爵家の血を持たない為、たとえジェーンに何かあったとしても侯爵家を継ぐことはできない。デミオンがエミリーに家督を譲ろうとしても、侯爵家の縁者から必ず反対の声が上がる。
これまでデミオンの横暴を許しているのは、正当な血筋のジェーンがいるからだ。
だけどジョッシュがジェーンと結婚し、家督を継げばジョッシュが侯爵家の当主となる。
しかしジョッシュがジェーンを相手にせず、白い結婚を貫いていれば当然子は生まれない。
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「考えたくはないが、あり得ないことではないな。実際エミリーには婚約者がいない。元はどうあれ、今はエミリーも侯爵家の令嬢だ、婚約の申し込みは少なくないだろう。それなのにまだ婚約者を決めていないということは、なにか考えがあるはずだ」
レオナルドが厳しい顔で唇を噛む。
「そんなこと、絶対に許さないわ」
アリシアもまた、厳しい顔をしていた。
今はまだ想像でしかないが、それはあり得る未来なのだった。
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