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2章
44 ハンナとの再会②
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横抱きにされて運ばれながら、アリシアは困惑していた。
確かに休みたいとは言ったけれど体調が悪いわけではないのだ。
レオナルドやロバートが過保護なのはわかっていたが、レイヴンまでこうなるとは思っていなかった。
木陰に入るとレオナルドが大判のハンカチーフを広げたので、レイヴンはその上にアリシアを降ろす。
「大丈夫?」
心配そうにのぞき込まれて、アリシアは曖昧に頷いた。
他の3人も心配そうに様子を窺っている。
アリシアは何とも言えずに曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
その3人の後ろに、大きなバスケットを抱えたふくよかな女性が近づいて来るのが見えた。
「ハンナ!」
アリシアが嬉しそうに名前を呼んで両手を広げると、その女性も満面の笑みを浮かべて大きく手を振る。
「アリシアお嬢様!お久しぶりです!」
あの家の管理をしているハンナである。
アリシアの両親より年上のハンナは、アリシアが物心ついた時にはもう侯爵家で働いていた。
下働きではあるものの、あの家の管理をまかされているので、遊びに来るたびにアリシアたちの面倒を見てくれていたのだ。
レオナルドもハンナを見て頬を緩めたが、それは一瞬のことだった。
「随分元気そうだね?」
腰を落とし、アリシアと目線の高さを合わせる。
レオナルドに見つめられて、アリシアは目を逸らした。
「…私、疲れたから休みたいとは言いましたけど、体調が悪いとは言っていませんわ」
「違ったの?」
今度はレイヴンに見つめられる。
アリシアは気まずくて俯いた。
「だけどアリシアが疲れたなんて言うのも珍しいね。本当に体調は悪くない?」
「…なんともないわ」
「…そうか。本当に体調が悪くないなら良いよ」
レオナルドは納得がいかないというようにしばらくアリシアを見ていたが、諦めたように息を吐いた。
その隣ではレイヴンがやはり納得がいっていない顔をしている。
その時、こちらへ向かって来ていたハンナがすぐ傍までたどり着いた。
「皆様、今日はこちらでピクニックですか?お菓子をお持ちしましたよ」
「ありがとう、ハンナ。重たかっただろう」
ロバートがバスケットを受け取る。
ロバートを見て目を見開いたハンナが大きな声を上げた。
「まああ!ロバート坊ちゃま!随分とご立派になられて!!」
ロバートがこの国に戻って来たのは2年ぶりだった。
2年前、アリシアの結婚式に合わせて帰国したロバートは、アリシアたちと一緒にここへ来ていたが、その時既に24歳で立派な成人男性だった。
アリシアから見たロバートは、それからあまり変わったようには見えないが、子どもの頃から成長を見守っているハンナには随分と違って見えるようだ。
「まあ、まあ!」と感嘆の声を上げるハンナに、ロバートは苦笑いしている。
「ところで、そちらの方は?」
ハンナはここでやっとレイヴンの存在に気がついたようだ。
ハンナは、「こちらにお友達を連れてこられるなんて、珍しいですね」と言いながら、レイヴンの顔をじっと見ていたが、急に悲鳴を上げるとガバッと平伏した。
「ひえええぇっ!!王太子殿下!!」
平民であるハンナが、これまでレイヴンと顔を合わせるような機会はない。だけど市庁舎などに飾られている王族の肖像画を見たことがあるのだろう。
そしてアリシアが王太子の元へ嫁いだことを思い出したようだ。
確かに休みたいとは言ったけれど体調が悪いわけではないのだ。
レオナルドやロバートが過保護なのはわかっていたが、レイヴンまでこうなるとは思っていなかった。
木陰に入るとレオナルドが大判のハンカチーフを広げたので、レイヴンはその上にアリシアを降ろす。
「大丈夫?」
心配そうにのぞき込まれて、アリシアは曖昧に頷いた。
他の3人も心配そうに様子を窺っている。
アリシアは何とも言えずに曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
その3人の後ろに、大きなバスケットを抱えたふくよかな女性が近づいて来るのが見えた。
「ハンナ!」
アリシアが嬉しそうに名前を呼んで両手を広げると、その女性も満面の笑みを浮かべて大きく手を振る。
「アリシアお嬢様!お久しぶりです!」
あの家の管理をしているハンナである。
アリシアの両親より年上のハンナは、アリシアが物心ついた時にはもう侯爵家で働いていた。
下働きではあるものの、あの家の管理をまかされているので、遊びに来るたびにアリシアたちの面倒を見てくれていたのだ。
レオナルドもハンナを見て頬を緩めたが、それは一瞬のことだった。
「随分元気そうだね?」
腰を落とし、アリシアと目線の高さを合わせる。
レオナルドに見つめられて、アリシアは目を逸らした。
「…私、疲れたから休みたいとは言いましたけど、体調が悪いとは言っていませんわ」
「違ったの?」
今度はレイヴンに見つめられる。
アリシアは気まずくて俯いた。
「だけどアリシアが疲れたなんて言うのも珍しいね。本当に体調は悪くない?」
「…なんともないわ」
「…そうか。本当に体調が悪くないなら良いよ」
レオナルドは納得がいかないというようにしばらくアリシアを見ていたが、諦めたように息を吐いた。
その隣ではレイヴンがやはり納得がいっていない顔をしている。
その時、こちらへ向かって来ていたハンナがすぐ傍までたどり着いた。
「皆様、今日はこちらでピクニックですか?お菓子をお持ちしましたよ」
「ありがとう、ハンナ。重たかっただろう」
ロバートがバスケットを受け取る。
ロバートを見て目を見開いたハンナが大きな声を上げた。
「まああ!ロバート坊ちゃま!随分とご立派になられて!!」
ロバートがこの国に戻って来たのは2年ぶりだった。
2年前、アリシアの結婚式に合わせて帰国したロバートは、アリシアたちと一緒にここへ来ていたが、その時既に24歳で立派な成人男性だった。
アリシアから見たロバートは、それからあまり変わったようには見えないが、子どもの頃から成長を見守っているハンナには随分と違って見えるようだ。
「まあ、まあ!」と感嘆の声を上げるハンナに、ロバートは苦笑いしている。
「ところで、そちらの方は?」
ハンナはここでやっとレイヴンの存在に気がついたようだ。
ハンナは、「こちらにお友達を連れてこられるなんて、珍しいですね」と言いながら、レイヴンの顔をじっと見ていたが、急に悲鳴を上げるとガバッと平伏した。
「ひえええぇっ!!王太子殿下!!」
平民であるハンナが、これまでレイヴンと顔を合わせるような機会はない。だけど市庁舎などに飾られている王族の肖像画を見たことがあるのだろう。
そしてアリシアが王太子の元へ嫁いだことを思い出したようだ。
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