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2章
50 『花の王国』①
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「そんなことがあるかも…ねえ」
レオナルドが呟く。
納得していない顔をしているが、しばらくアリシアを見つめた後で大きく息をついた。
「まあいいか。アリシアは離宮で自由にしてそうだしね」
レオナルドはアリシアの「もしも話」にのってくれる気になったようだ。
昔はよく4人でそんな話をしていた。
なんでも持っている様に見えて身分故の制約が多い公爵家の兄妹と、家族に虐げられていて家の中に居場所がない侯爵令嬢、そして将来継げる家がない伯爵家の三男である。
そんな4人は様々な想像をして楽しんでいた。
「こんなことをしてみたい」「あんなところへ行ってみたい」「それなら私は〇〇をするわ」「それじゃあ僕は××しようかな」
叶わない夢を一緒に思い描いて笑い合う。
夢の中でならなんでもできるし、どこへだって行ける。
「そうですわね。長く暮らすのなら、今度こそリトマインのチェストを買いたいわ」
「アリシア様はリトマインがお好きですものね」
リトマインとは、シェルツ国にある調度品の高級メーカーだ。
品質が高く、デザインも上品で美しい為、アナトリアの貴族の間でも人気が高い。だがシェルツ国にしか店が無い為、手に入れるにはシェルツ国から取り寄せるしかない。
元より商品が高価な上に高額の輸送費が掛るので、1つ購入するにも結構な金額が掛かるのだ。
アリシアの母もリトマインの調度品をいくつか使用している。
オレリアと一緒にパンフレットを覗いていたアリシアは、そこに載っていたチェストに一目惚れをした。
「そういえばチェストを買うかどうか、父上と喧嘩をしていたね」
「あれは…お父様が酷いのですわ」
レオナルドが笑うとアリシアが不満気に目を伏せた。
アリシアはチェストに一目惚れをしてから、購入する為にお金を貯めていた。けして少なくはない額のおこずかいを貰っていたアリシアでも、購入できるだけの金額が貯まるのに何年も掛かったのだ。
やっとお金が貯まったのは、結婚する半年前だった。
「あと半年で嫁ぐのに新しいチェストなんて必要ないなんて!半年だけでも使いたかったのに!!」
当時のことを思い出して頬を膨らませるアリシアに、レオナルドは苦笑した。
リトマインの調度品は確かに高価だが、公爵家が購入できない程のものではない。アリシアが望むなら部屋中の調度品をリトマインにすることだってできる。
チェストをアダムが購入しなかったのは、自分で購入したいアリシアの意志を尊重したからだ。
そして嫁入り前のアリシアがチェストを購入するのを止めたのは、里心がつかないようにする為だった。
王家へ嫁いでしまえば里帰りなど中々できることではない。
アダムはアリシアが公爵邸を思い出して帰りたいと思うことがないように、実家に心を残さない様にと考えていた。
「決めたわ!離宮では調度品を全部リトマインのものにするわ」
「それは素敵だわ。お部屋が素敵だとそれだけで幸せよね」
「それじゃあ僕もひとつくらい何か贈ろうかな」
「あら、お兄様。ひとつと言わず、たくさん贈ってくださいませ」
アリシアはレオナルドと笑い合うと、レイヴンへ問いかける。
「レイヴン様はリトマインはお好きですか?」
「僕は…アリシアが好きなものは、すべて好きだよ」
思いがけない答えにアリシアはきょとんとし、レオナルドとロバートは思わず吹き出していた。
レオナルドが呟く。
納得していない顔をしているが、しばらくアリシアを見つめた後で大きく息をついた。
「まあいいか。アリシアは離宮で自由にしてそうだしね」
レオナルドはアリシアの「もしも話」にのってくれる気になったようだ。
昔はよく4人でそんな話をしていた。
なんでも持っている様に見えて身分故の制約が多い公爵家の兄妹と、家族に虐げられていて家の中に居場所がない侯爵令嬢、そして将来継げる家がない伯爵家の三男である。
そんな4人は様々な想像をして楽しんでいた。
「こんなことをしてみたい」「あんなところへ行ってみたい」「それなら私は〇〇をするわ」「それじゃあ僕は××しようかな」
叶わない夢を一緒に思い描いて笑い合う。
夢の中でならなんでもできるし、どこへだって行ける。
「そうですわね。長く暮らすのなら、今度こそリトマインのチェストを買いたいわ」
「アリシア様はリトマインがお好きですものね」
リトマインとは、シェルツ国にある調度品の高級メーカーだ。
品質が高く、デザインも上品で美しい為、アナトリアの貴族の間でも人気が高い。だがシェルツ国にしか店が無い為、手に入れるにはシェルツ国から取り寄せるしかない。
元より商品が高価な上に高額の輸送費が掛るので、1つ購入するにも結構な金額が掛かるのだ。
アリシアの母もリトマインの調度品をいくつか使用している。
オレリアと一緒にパンフレットを覗いていたアリシアは、そこに載っていたチェストに一目惚れをした。
「そういえばチェストを買うかどうか、父上と喧嘩をしていたね」
「あれは…お父様が酷いのですわ」
レオナルドが笑うとアリシアが不満気に目を伏せた。
アリシアはチェストに一目惚れをしてから、購入する為にお金を貯めていた。けして少なくはない額のおこずかいを貰っていたアリシアでも、購入できるだけの金額が貯まるのに何年も掛かったのだ。
やっとお金が貯まったのは、結婚する半年前だった。
「あと半年で嫁ぐのに新しいチェストなんて必要ないなんて!半年だけでも使いたかったのに!!」
当時のことを思い出して頬を膨らませるアリシアに、レオナルドは苦笑した。
リトマインの調度品は確かに高価だが、公爵家が購入できない程のものではない。アリシアが望むなら部屋中の調度品をリトマインにすることだってできる。
チェストをアダムが購入しなかったのは、自分で購入したいアリシアの意志を尊重したからだ。
そして嫁入り前のアリシアがチェストを購入するのを止めたのは、里心がつかないようにする為だった。
王家へ嫁いでしまえば里帰りなど中々できることではない。
アダムはアリシアが公爵邸を思い出して帰りたいと思うことがないように、実家に心を残さない様にと考えていた。
「決めたわ!離宮では調度品を全部リトマインのものにするわ」
「それは素敵だわ。お部屋が素敵だとそれだけで幸せよね」
「それじゃあ僕もひとつくらい何か贈ろうかな」
「あら、お兄様。ひとつと言わず、たくさん贈ってくださいませ」
アリシアはレオナルドと笑い合うと、レイヴンへ問いかける。
「レイヴン様はリトマインはお好きですか?」
「僕は…アリシアが好きなものは、すべて好きだよ」
思いがけない答えにアリシアはきょとんとし、レオナルドとロバートは思わず吹き出していた。
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