【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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2章

64 アリシアの秘密③

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「まさか…知っておられるのですか?まさか…なぜ…?」

 呆然と呟くジェーンに、アリシアを抱き寄せ、指で涙を拭いながらレイヴンは怪訝な顔を向けた。

「何のことを言っているんだ?何かあったのか?」

「…私たちが17歳の時、ジェーンが学園を休んだことがありました」

 アリシアは大人しくレイヴンに身を委ねながら、過去を語る。

 アリシアはこの時、秘めておくことを選んだ。
 ジェーンも口に出さなかった。
 だからそれが正解なのだと、今まで思っていた。

 ジェーンが学園を休んでいたことは、レイヴンも覚えていた。
 勤勉なジェーンが一か月も学園を休んだのだ。忘れるはずがない。

「ジェーンは将来が掛かっているからと熱心に学んでいました。そのジェーンが休むのはおかしいと思い、初めて休んだ日に私はジェーンを訪ねたのです」

「…あの時いらっしゃったのですか?」




 ジェーンが休んだことを不審に思ったアリシアは、先触れを出さずに侯爵邸を訪れた。
 アリシアが到着すると、侯爵邸はなんともいえない異様な雰囲気に包まれていた。

「アリシア様こちらです!」

 アリシアを出迎た家令のクレールは一瞬ホッとした表情を見せ、アリシアを急いで邸内へ招き入れた。
 走るクレールを追ってアリシアも走る。
 邸内を走るなど淑女にあるまじき行為だが、そんなことを言ってられる様子ではなかった。

「どうか侯爵を止めてください!」

 そう言って招き入れられたデミオンの部屋で、アリシアはとんでもないものを見た。

 床でぐったりしているジェーンをデミオンが鞭で打っていたのだ。
 何度も鞭で打たれていたのだろう。ジェーンのドレスは切り裂かれ、あちらこちらから出血している。
 その姿にアリシアは一瞬怯んでしまう。
 その時デミオンがまた鞭を振り上げた。

「やめなさい!!」

「アリシア様!!」

 咄嗟のことだった。
 クレールの悲鳴と、驚愕に目を見開いたデミオン。
 だけどデミオンが振り上げた鞭はもう止められない。

 アリシアはジェーンの上に覆い被さり、その鞭を受けた。
 鞭はアリシアの右肩を打ち、ドレスが切り裂かれる。
 痛みをこらえ、体を起こしたアリシアは、呆然としているデミオンを無視してクレールに命じた。

「何をしているの?!早く医師を呼びなさい!!」




「お、お父様が、アリシア様を打ったのですか?!アリシア様は私の代わりに…?!」

「デミオン殿が、アリシアを打ったというのか!まさかそんなことが…!」

 ジェーンが震えてながらアリシアを見ていた。
 ジェーンだけでなく、この場にいる全員が動揺し、青褪めている。
 レオナルドも今まで知らなかったのだ。

 レイヴンがアリシアを抱き寄せる腕に力を込める。

「アリシアも怪我をしたのか…?」

 そんな言葉が唇から漏れた。

「そんな、私、知りませんでした。そんな、なぜ…?」

「あなたは既に気を失っていて、私が来たことにも気がついていなかったから口止めしたのよ。あなたが知ると気に病むと思ったから」

 これまで秘めいていたことを告白するアリシアの表情は酷く沈んでいた。



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