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3章
39 ノティスの訪問②
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ソファへ移動した後は、互いに様子を窺いながら当たり障りのない会話を交わしていた。
ノティスは何か言いたいことがあるようなのだが、言い出せないでいるようだ。
そんな中、ジェーンがソーサへ戻したカップがカチャンと音を立てた。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません」
ジェーンが俯いて顔を赤らめる。
ソファへ座る時、ジェーンはさり気なく最も下座となる席へ移っている。
そういった知識はあるが、どうしても手の動きや体の動かし方に難がある。
今もまだ痣が治りきっていないので痛みもあるのだろう。
「気にしないで下さい。マルグリット様に引き取られる前のわたしはもっと酷いものでした」
控えめに微笑むノティスからは非難めいた気持ちは感じられない。
それよりも過去の自分を恥じる気持ちが強いようだ。
「…マルグリット様には心から感謝しているんです。ご存知だとは思いますが、実母が幽閉された後、わたしの相手をしてくれたのはマルグリット様だけでした。今は義母上と呼ぶことを許してくださっています。…わたしは義母上に大きな恩があるのです」
終始俯きがちだったノティスが大きく息を吸って目線を上げた。
しっかりとジェーンを見据えている。
意を決したように口を開いた。
「ジェーン嬢、どうかわたしと婚約していただけませんか?」
「…え?」
「ノティス殿下、それは王妃様の御意向なのでしょうか」
思いがけない言葉に驚いて固まるジェーンに代わってアリシアが尋ねた。
少しの変化も見逃さないように、ノティスの顔をじっと見つめる。
これがマルグリットの意向であれば断るのは難しい。
だけど今はまだノティスが個人的に口にしただけで、王家として正式に申し入れられたわけではない。
正式なものであればジェーンの後見となっているアダムのところへ話が行くはずなのだ。
息をつめて返事を待つアリシアとジェーンに、ノティスは小さく首を振った。
「義母上は何も知りません。これはわたしが考えたことです。…わたしと婚約を…いえ、結婚をしていただけるなら、わたしは絶対にジェーン嬢を裏切らないと誓います」
アリシアとジェーンが顔を見合わせる。
緊張からか、ノティスの体が微かに震えているのがわかる。ふざけているわけではないようだ。
「その…何故ですの?何故こんな急に?」
躊躇いがちにジェーンが問いかける。
ジェーンとノティスを引き合わせたのはマルグリットだ。
マルグリットがこの婚約を望んでいることはあの時感じていた。
それでもあれ以来ジェーンとノティスは会うこともなく、2人の間には何もなかった。
このまま立ち消えになる話だとジェーンは思っていたのだ。
「…噂を聞きました。ジェーン嬢と…異母兄の」
「!!」
「異母兄が義母上と話をしている時に、わたしも同じ部屋にいましたので」
そう言ってノティスは一度紅茶を口にする。
カップを持つ手が震え、視線はカップの上に落とされている。
「…異母兄は噂を否定していました。愛しているのは義姉上…失礼致しました、妃殿下だけだと義母上に誓っておられました」
「私のことは義姉と呼んで下さって結構ですわ。それで、それがお2人の婚約とどう繋がっているのでしょう」
義姉と呼ぶことを許しながらも、アリシアの声や表情から親しみの色は伺えない。
ノティスはごくりと生唾を飲み込んだ。
ノティスは何か言いたいことがあるようなのだが、言い出せないでいるようだ。
そんな中、ジェーンがソーサへ戻したカップがカチャンと音を立てた。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません」
ジェーンが俯いて顔を赤らめる。
ソファへ座る時、ジェーンはさり気なく最も下座となる席へ移っている。
そういった知識はあるが、どうしても手の動きや体の動かし方に難がある。
今もまだ痣が治りきっていないので痛みもあるのだろう。
「気にしないで下さい。マルグリット様に引き取られる前のわたしはもっと酷いものでした」
控えめに微笑むノティスからは非難めいた気持ちは感じられない。
それよりも過去の自分を恥じる気持ちが強いようだ。
「…マルグリット様には心から感謝しているんです。ご存知だとは思いますが、実母が幽閉された後、わたしの相手をしてくれたのはマルグリット様だけでした。今は義母上と呼ぶことを許してくださっています。…わたしは義母上に大きな恩があるのです」
終始俯きがちだったノティスが大きく息を吸って目線を上げた。
しっかりとジェーンを見据えている。
意を決したように口を開いた。
「ジェーン嬢、どうかわたしと婚約していただけませんか?」
「…え?」
「ノティス殿下、それは王妃様の御意向なのでしょうか」
思いがけない言葉に驚いて固まるジェーンに代わってアリシアが尋ねた。
少しの変化も見逃さないように、ノティスの顔をじっと見つめる。
これがマルグリットの意向であれば断るのは難しい。
だけど今はまだノティスが個人的に口にしただけで、王家として正式に申し入れられたわけではない。
正式なものであればジェーンの後見となっているアダムのところへ話が行くはずなのだ。
息をつめて返事を待つアリシアとジェーンに、ノティスは小さく首を振った。
「義母上は何も知りません。これはわたしが考えたことです。…わたしと婚約を…いえ、結婚をしていただけるなら、わたしは絶対にジェーン嬢を裏切らないと誓います」
アリシアとジェーンが顔を見合わせる。
緊張からか、ノティスの体が微かに震えているのがわかる。ふざけているわけではないようだ。
「その…何故ですの?何故こんな急に?」
躊躇いがちにジェーンが問いかける。
ジェーンとノティスを引き合わせたのはマルグリットだ。
マルグリットがこの婚約を望んでいることはあの時感じていた。
それでもあれ以来ジェーンとノティスは会うこともなく、2人の間には何もなかった。
このまま立ち消えになる話だとジェーンは思っていたのだ。
「…噂を聞きました。ジェーン嬢と…異母兄の」
「!!」
「異母兄が義母上と話をしている時に、わたしも同じ部屋にいましたので」
そう言ってノティスは一度紅茶を口にする。
カップを持つ手が震え、視線はカップの上に落とされている。
「…異母兄は噂を否定していました。愛しているのは義姉上…失礼致しました、妃殿下だけだと義母上に誓っておられました」
「私のことは義姉と呼んで下さって結構ですわ。それで、それがお2人の婚約とどう繋がっているのでしょう」
義姉と呼ぶことを許しながらも、アリシアの声や表情から親しみの色は伺えない。
ノティスはごくりと生唾を飲み込んだ。
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