【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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3章

80 夜の約束②※

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 小刻みに震えるアリシアを抱き締めたレイヴンの荒い息が耳元で聞こえている。
 達したばかりで敏感になっているアリシアは、その息遣いにさえ感じてしまう。
 それに体の奥はまだ刺激を与えられないままで疼いている。
 アリシアもまた荒い息を吐きながら体をくねらせた。

「…大丈夫?」

「レイヴン様…」

 レイヴンがアリシアの紅潮した顔を覗き込むと、目を潤ませたアリシアが疼く熱を逃がそうと太腿を擦り合わせている。
 物欲しそうな顔でレイヴンを見あげるアリシアは、ゾクゾクするほど可愛い。

「可愛い、アリシア」

 蕩けるような顔のレイヴンがアリシアの額や頬に口づける。
 口づけられる度にアリシアの腰が跳ねるが、欲しいのはそこではない。
 アリシアが焦れるほど求めているものはレイヴンにもわかっているはずだ。

 それに先程レイヴンも達していたようだが、背中に感じる昂ぶりは硬さを失っていない。
 レイヴンもアリシアと繋がりたいと思ってくれているはずだ。
 それでもそれが欲しいと口に出せないアリシアは、体をくねらせて背中でその昂ぶりを刺激した。

「アリシア…っ!」

 背中で擦られたレイヴンが慌てて体を離す。
 このまま2度も達するわけにはいかない。
 体を起こしたレイヴンが体を入れ替え、アリシアの膝を割り開く。
 すぐにでもアリシアの中へ入りたいところを、ほぐさずに無理矢理入れることは出来ないので堪えているのだ。

「ぃぁ…!」

 熱い舌の感触に反射的に出てしまった声を、アリシアは手で口を塞いで飲み込んだ。
 レイヴンの顔が哀し気に歪んだけれど、そのことには気がついていない。

「んんっ!んーーっ!!」

 ぴちゃぴちゃと音を立てて襞を丁寧に舐められ、溢れた蜜を啜られる。
 アリシアは強い快感に体を跳ねさせる。
 レイヴンが舐めながらゆっくりと指を差し入れた。

「ひぁぁっ!」

 待っていた刺激に耐えられずアリシアは体を震わせる。
 くぐもった声が引っ切り無しに溢れ、抜き差しされる指をぎゅうぎゅうと締め付けた。

「可愛い、アリシア。中に欲しかったんだね」

 指を締め付けて震えるアリシアが可愛くて自然と笑みが浮かんでくる。
 指を増やしてかき混ぜながら、体を起したレイヴンは柔らかい胸の頂に吸い付いた。

「んんん…っ!!」

 じゅぷじゅぷと水音が鳴り、溢れ出た愛液が飛び散る。

「可愛い、可愛いよ、アリシア」
 
 柔らかい双丘に吸い付きながら、レイヴンもうわ言の様に「可愛い」と繰り返す。

「ぁぁ…っひぁっ!ぁ…っ」

 アリシアの中に沈められた指は、アリシアが好きなところを覚えている。
 それでも一番奥には届かない。疼きが酷くて、もどかしくて、いつしか生理的な涙が溢れていた。

「アリシアっ!」

 ぽろぽろと零れる涙に気づいたレイヴンが、焦った声を上げてアリシアの顔を覗き込む。

「ごめん、アリシア!嫌だった?!」

「レイヴン、様…」

 慌てふためくレイヴンに何かを言いたいけれど、こんな時に何と言えばいいのかわからなくて頭を横に振った。
 体が熱くてもどかしくて、疼いて苦しいけれど、レイヴンがアリシアを苦しめたくてそうしているとは思っていない。
 レイヴンはいつも丁寧にアリシアを抱いてくれている。
 大切にされているのだと感じている。

 そうしている間も体は疼いて涙は零れ続けている。
 どうしたら良いかわからなくてアリシアが手を伸ばすと、悲痛な顔のレイヴンがその手を受け止め、手のひらに口づけた。

「…こうしているのは嫌じゃない?」

 レイヴンの問い掛けにアリシアは必死で頷く。

「……中に欲しいのかな?」

 躊躇いがちな問いにアリシアの顔に熱が集まる。
 それでも意を決して頷くと、レイヴンがふっと笑った。

「真っ赤だ、アリシア。可愛い」

 そう言ってまた手のひらに口づけると、レイヴンは自身を入口へ押し当てた。

「辛かったら言ってね」

 アリシアの顔を窺いながらゆっくりと腰を進めていく。
 熱くて質量のあるそれは、少しの抵抗もなくアリシアの中へ入っていった。

「んんっ!んんんーーーっ!」

 待ち望んでいたものにゆっくり擦られてアリシアはそれだけで達してしまう。

「うっあ…っ!」

 引き絞られたレイヴンも思わず呻く。
 寸前で耐えたけれど、限界は近い。

「アリシア、ごめん、動いて良い…?」

 達したばかりで動くと感じすぎて辛いと思う。
 だけど我慢ができない。

 息をつめたレイヴンが問い掛けると、朦朧とした様子のアリシアが小さく頷いてくれた。

「ごめん、できるだけ、ゆっくりするから…っ」

 そう言いながらゆっくりと腰をゆする。
 
「んっ!んんっ!んんんーーーっ!」

 レイヴンの腰の動きに合わせてアリシアの抑えきれない声が響く。
 その声にも煽られて、レイヴンはどんどんと限界へ近づいていく。
 ゆっくりな動きでは物足りないアリシアが自分でも快感を追うように腰を振っている。
 パンパンという肉がぶつかる音が部屋に響く。
 気がつけばレイヴンも必死に腰を揺すりたてていた。

「アリシア!アリシアっ!」

「んぁぁっ!ん、んんぅーーーっ!」

 アリシアの名を呼んだレイヴンが最奥に精を放つ。腹の奥で放たれた熱を感じたアリシアは同時に達していた。


 アリシアの隣にどさっと倒れこんだレイヴンは肩で息をしている。
 それでもまだ足りていない。

 長い夜は始まったばかりだった。




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