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3章
幕間ーアリシアは可愛いー
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レイヴンは最近誰にも言えない気持ちに悩まされていた。
誰かに言いたい!
だけど誰にも知られたくない!!
そんな悶々とした気持ちを抱えるレイヴンに、レオナルドが気がつかないはずがない。
「最近やけにそわそわしておられますが、どうかされましたか?」
不思議そうにこちらを見下ろすレオナルドにレイヴンはしばし考える。
誰かに言いたい!
だけど誰にも知られたくない!!
無言で葛藤した後、言いたい気持ちが勝ったレイヴンは、言える相手はレオナルドだけだと思いきった。
「最近アリシアが可愛いんだ!」
「――は?」
思いきって言ったのに、レオナルドの反応は冷たかった。
「アリシアは生まれた時から可愛いですが?」
レオナルドには妹を溺愛している自覚がある。
アリシアは生まれた時から可愛かった。
間違いない。
「~~~~っ!そんなことはわかっている!だけど最近は、もっと可愛くなったんだ!!」
最近のアリシアは一段と表情が柔らかくなり、よく笑ってくれるようになった。
「アリシアの表情は元々柔らかいですし、よく笑う娘ですよ」
「~~~~っ」
そりゃあレオナルドにはそうだろう。
レイヴンはアリシアに柔らかい表情や笑顔を向けられるレオナルドがずっと羨ましくて妬ましかったのだ。
「それに最近は、抱き締めたら胸に頬を寄せてくれるんだ!抱き締め返してくれることもあるし、あ、アリシアから…手を握ってくれたりするし、戻るのを、起きて待っていてくれるし…」
レイヴンの声は段々と小さくなり、途切れがちになっていく。
最後には真っ赤になって黙り込んでしまった。
そんなレイヴンの姿をレオナルドは呆気に取られて見ている。
とても結婚して2年も経つ夫婦の話とは思えない。
それでも恋愛ごとに背を向けていたアリシアがやっと少し向き合い始めたのだから、このまま上手くいってくれれば良いとレオナルドは思う。
アリシアが目指していた、誰も愛さず、レイヴンの正妃という身分にだけ支えらて生きる人生は淋しすぎる。
だけどアリシアの為に釘を刺すことも忘れない。
「それは良い兆候でしょうね。アリシアは愛情で成り立つ関係を信じていません。ですが誰も愛さずに1人で生きていく人生は淋しいでしょう。愛し合える人がいるならその方が良いと思います。但し、アリシアの心を溶かしておいて裏切るようなことがあれば、わたしは殿下を許しません」
レイヴンの立場上、側妃を持つな、とは言えない。
このままアリシアに子が出来なかったり、貴族間の勢力のバランスを取る為に側妃を迎えなければならないこともある。
だけど側妃にかまけてアリシアを蔑ろにするようなことがあれば許さない。
「そんなことは絶対に有り得ない!アリシアを裏切るようなことは絶対にしない!!」
レイヴンの気持ちはともかく、「側妃を絶対に娶らない」なんて誓いを信じることはできない。
それでもその可能性を少しでも減らそうとレイヴンが動いていることを知っているレオナルドは、にっこり笑って答えた。
「それならば、わたしに異論はありません。アリシアを存分に甘やかして、愛してあげてください」
笑顔の裏に隠された圧力を感じ取りながら、レイヴンは頷いた。
誰かに言いたい!
だけど誰にも知られたくない!!
そんな悶々とした気持ちを抱えるレイヴンに、レオナルドが気がつかないはずがない。
「最近やけにそわそわしておられますが、どうかされましたか?」
不思議そうにこちらを見下ろすレオナルドにレイヴンはしばし考える。
誰かに言いたい!
だけど誰にも知られたくない!!
無言で葛藤した後、言いたい気持ちが勝ったレイヴンは、言える相手はレオナルドだけだと思いきった。
「最近アリシアが可愛いんだ!」
「――は?」
思いきって言ったのに、レオナルドの反応は冷たかった。
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レオナルドには妹を溺愛している自覚がある。
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間違いない。
「~~~~っ!そんなことはわかっている!だけど最近は、もっと可愛くなったんだ!!」
最近のアリシアは一段と表情が柔らかくなり、よく笑ってくれるようになった。
「アリシアの表情は元々柔らかいですし、よく笑う娘ですよ」
「~~~~っ」
そりゃあレオナルドにはそうだろう。
レイヴンはアリシアに柔らかい表情や笑顔を向けられるレオナルドがずっと羨ましくて妬ましかったのだ。
「それに最近は、抱き締めたら胸に頬を寄せてくれるんだ!抱き締め返してくれることもあるし、あ、アリシアから…手を握ってくれたりするし、戻るのを、起きて待っていてくれるし…」
レイヴンの声は段々と小さくなり、途切れがちになっていく。
最後には真っ赤になって黙り込んでしまった。
そんなレイヴンの姿をレオナルドは呆気に取られて見ている。
とても結婚して2年も経つ夫婦の話とは思えない。
それでも恋愛ごとに背を向けていたアリシアがやっと少し向き合い始めたのだから、このまま上手くいってくれれば良いとレオナルドは思う。
アリシアが目指していた、誰も愛さず、レイヴンの正妃という身分にだけ支えらて生きる人生は淋しすぎる。
だけどアリシアの為に釘を刺すことも忘れない。
「それは良い兆候でしょうね。アリシアは愛情で成り立つ関係を信じていません。ですが誰も愛さずに1人で生きていく人生は淋しいでしょう。愛し合える人がいるならその方が良いと思います。但し、アリシアの心を溶かしておいて裏切るようなことがあれば、わたしは殿下を許しません」
レイヴンの立場上、側妃を持つな、とは言えない。
このままアリシアに子が出来なかったり、貴族間の勢力のバランスを取る為に側妃を迎えなければならないこともある。
だけど側妃にかまけてアリシアを蔑ろにするようなことがあれば許さない。
「そんなことは絶対に有り得ない!アリシアを裏切るようなことは絶対にしない!!」
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それでもその可能性を少しでも減らそうとレイヴンが動いていることを知っているレオナルドは、にっこり笑って答えた。
「それならば、わたしに異論はありません。アリシアを存分に甘やかして、愛してあげてください」
笑顔の裏に隠された圧力を感じ取りながら、レイヴンは頷いた。
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