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3章
90 近況報告①
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「まあ、ジェーン様。素敵ですわ」
「本当に、よくお似合っています」
「カナリー殿下、ノティス殿下、ありがとうございます」
カナリーとノティスの言葉にジェーンが頬を染める。
ジェーンが研修を受けるようになってから3ヶ月が過ぎた。
コルセットをつける許可が下り、研修ではダンスの授業が始まっている。
そしてアリシアとのお茶会にもこれまでとは違ってきっちりとしたドレス姿で参加していた。
ワンピース姿のジェーンしか知らなかった2人が、ドレスを着たジェーンを見て感嘆の声を上げているのだ。
4人でのお茶会も回数を重ねる内に以前からの知り合いの様に話をできるようになった。
ノティスの口数が少ないのが多少気掛かりではあるけれど、これまでの経験から言葉を発することに慎重になっているのだとわかっているので嫌な感じはしていない。
自分の発言に責任を持つことを知り、大切な時に話し合える人ならば何も問題はないのだ。
紅茶を一口飲んだアリシアはそっと息を吐きだした。
ジェーンに話すことがあるのだ。
カナリーやノティスがいるところではあまり話題にしたくないが、最近はジェーンと2人で会えるような機会がないので仕方がない。
「結婚式は無事に終わったそうよ」
「――そうですか」
誰の、とは言わなかったが、ジェーンはすぐにわかったようだ。
ジェーンがその日程を忘れるはずがない。
自分が結婚するはずの日だったのだから。
カナリーとノティスは何のことかわからない様子でこちらを見ているが、訊いてはいけないことだと察しているようだ。
ジョッシュとエミリーの結婚式は、侯爵家と伯爵家の縁組とはとても思えない様な淋しいものになったようだ。
あの日国王は、元から決まっていたキャンベル侯爵家とカルヴィエ伯爵家の結婚式として、既に公示されている日時と場所で行うようにと言い渡した。
確かにキャンベル侯爵家とカルヴィエ伯爵家の縁組には違いないが、侯爵家の惣領姫と次期当主が挙げるはずだった結婚式は、継承権の絡まない2人のものになった。
それも醜聞に塗れた2人である。
婚約者と義姉を裏切っていた2人のことは誰もが知っている。
この縁組がジェーンを裏切った2人へ、国王から下された罰だということも知られている。
社交界で評判の悪いジェーンにはあまり友達がいない。
それでもジョッシュとジェーンの結婚式には、侯爵家の一族や生前のサンドラと親交を持っていた者、侯爵家との繋がりを求める者、ジェーンと親しいルトビア公爵家やモルガン伯爵家との繋がりを求める者など、大勢の貴族たちが参列することになっていた。
結婚式に参列予定だった者たちは、花嫁が入れ替わったことを知るとそのほとんどが欠席すると決めた。
ジョッシュとエミリーの元に欠席の連絡は次々に届いていたけれど、王命の為に結婚式を挙げる教会を変えることも結婚披露パーティーの規模を縮小することもできない。
デミオンとアンジュは蟄居謹慎を命じられているので邸から出ることができない。
侯爵家の一族やルトビア公爵家、モルガン伯爵家の者が参列するはずもない。
エミリーには親身になってくれるような友人もいない。
結局結婚式や結婚披露パーティーに出席したのは、長男に伯爵位を譲って引退したカルヴィエ前伯爵夫妻と既に家を出ている次兄、あとはジョッシュの友人の中でも次男や三男で既に家を出ている者たち数人だけだったようだ。
2人はガランとした教会で結婚式を挙げ、ガランとした会場で結婚披露パーティーを行った。
結婚式でもパーティーでもエミリーは終始暗い顔をしていたという。
人生で一番幸せであるはずの日にエミリーは惨めな思いをしただろう。
あれはそれを見越した上での王命だった。
アリシアは、エミリーがジェーンへしていたことを許すことは出来ない。
だけどエミリーもデミオンの思惑のせいでまともな教育を受けられずに育っていた。
感情のままに泣き喚くエミリーをアリシアはずっと呆れて見ていたけれど、あの日、友達がいないと静かに涙を零していたエミリーを思い出すと胸が痛んだ。
「本当に、よくお似合っています」
「カナリー殿下、ノティス殿下、ありがとうございます」
カナリーとノティスの言葉にジェーンが頬を染める。
ジェーンが研修を受けるようになってから3ヶ月が過ぎた。
コルセットをつける許可が下り、研修ではダンスの授業が始まっている。
そしてアリシアとのお茶会にもこれまでとは違ってきっちりとしたドレス姿で参加していた。
ワンピース姿のジェーンしか知らなかった2人が、ドレスを着たジェーンを見て感嘆の声を上げているのだ。
4人でのお茶会も回数を重ねる内に以前からの知り合いの様に話をできるようになった。
ノティスの口数が少ないのが多少気掛かりではあるけれど、これまでの経験から言葉を発することに慎重になっているのだとわかっているので嫌な感じはしていない。
自分の発言に責任を持つことを知り、大切な時に話し合える人ならば何も問題はないのだ。
紅茶を一口飲んだアリシアはそっと息を吐きだした。
ジェーンに話すことがあるのだ。
カナリーやノティスがいるところではあまり話題にしたくないが、最近はジェーンと2人で会えるような機会がないので仕方がない。
「結婚式は無事に終わったそうよ」
「――そうですか」
誰の、とは言わなかったが、ジェーンはすぐにわかったようだ。
ジェーンがその日程を忘れるはずがない。
自分が結婚するはずの日だったのだから。
カナリーとノティスは何のことかわからない様子でこちらを見ているが、訊いてはいけないことだと察しているようだ。
ジョッシュとエミリーの結婚式は、侯爵家と伯爵家の縁組とはとても思えない様な淋しいものになったようだ。
あの日国王は、元から決まっていたキャンベル侯爵家とカルヴィエ伯爵家の結婚式として、既に公示されている日時と場所で行うようにと言い渡した。
確かにキャンベル侯爵家とカルヴィエ伯爵家の縁組には違いないが、侯爵家の惣領姫と次期当主が挙げるはずだった結婚式は、継承権の絡まない2人のものになった。
それも醜聞に塗れた2人である。
婚約者と義姉を裏切っていた2人のことは誰もが知っている。
この縁組がジェーンを裏切った2人へ、国王から下された罰だということも知られている。
社交界で評判の悪いジェーンにはあまり友達がいない。
それでもジョッシュとジェーンの結婚式には、侯爵家の一族や生前のサンドラと親交を持っていた者、侯爵家との繋がりを求める者、ジェーンと親しいルトビア公爵家やモルガン伯爵家との繋がりを求める者など、大勢の貴族たちが参列することになっていた。
結婚式に参列予定だった者たちは、花嫁が入れ替わったことを知るとそのほとんどが欠席すると決めた。
ジョッシュとエミリーの元に欠席の連絡は次々に届いていたけれど、王命の為に結婚式を挙げる教会を変えることも結婚披露パーティーの規模を縮小することもできない。
デミオンとアンジュは蟄居謹慎を命じられているので邸から出ることができない。
侯爵家の一族やルトビア公爵家、モルガン伯爵家の者が参列するはずもない。
エミリーには親身になってくれるような友人もいない。
結局結婚式や結婚披露パーティーに出席したのは、長男に伯爵位を譲って引退したカルヴィエ前伯爵夫妻と既に家を出ている次兄、あとはジョッシュの友人の中でも次男や三男で既に家を出ている者たち数人だけだったようだ。
2人はガランとした教会で結婚式を挙げ、ガランとした会場で結婚披露パーティーを行った。
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あれはそれを見越した上での王命だった。
アリシアは、エミリーがジェーンへしていたことを許すことは出来ない。
だけどエミリーもデミオンの思惑のせいでまともな教育を受けられずに育っていた。
感情のままに泣き喚くエミリーをアリシアはずっと呆れて見ていたけれど、あの日、友達がいないと静かに涙を零していたエミリーを思い出すと胸が痛んだ。
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