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3章
106 三兄弟③
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「デミオン殿?」
「これはデミオン殿やアンジュの処罰の時に父から聞いたことですが、学園に入学するまでのデミオン殿は優秀な方だったそうですわ。学齢前の子どもですからまだまだ学び、身につけなければならないことは沢山ありましたけれど、同年代の子の中では十分に優秀な子として評価を得ていたようです。ですがデミオン殿のすぐ傍には更に優秀な方々がいました。兄のアダムと弟のライアンです」
アダム、デミオン、ライアンも1つずつ年が違う兄弟だ。
アダムは家庭教師がつくようになってからすぐに優秀だと言われる様になったらしい。
一族の者は変わらず3人共に厳しく接していたし、幼い頃のデミオンは優秀なアダムを自慢にしていた。
それはデミオンに家庭教師がつくようになってからも変わらなかった。
兄の勉強の進みが早いことは知っていたが、デミオンに家庭教師がつくまでに1年の差があった。それにこの頃の年代は1年違うと身体の発達が全然違っている。
だから兄に追いつけないのは当然のことだと思っていた。
だけどライアンが教育を受けるようになり、周りにその才能を認められるようになると徐々に焦りを見せるようになったという。
「ライアン叔父様は、ロイ兄様と違って教育を受けるようになってすぐに才覚を現したわけではないそうです。学問も初めの内はデミオン殿と同じ程度の進み具合だったようですが、年を重ねるにつれてその差が埋まり、デミオン殿が学園に入学する頃にはライアン叔父様の方が先に進んでしまっていたそうです」
但しそれはデミオンが怠けていたからではない。デミオンは他から見れば十分に優秀だった。ライアンが優秀過ぎたのだ。そしてアダムはそんな2人よりも更に優秀で、ライアンと比べても随分と先に進んでいた。
だが学齢前のこの時点ではまだ教育を受けている最中である。公爵家の人間として望まれるものがすべて身に着いていなくても仕方がないことで、公爵夫妻も一族の者も卒業までに身につければ良いと考えていた。
そもそもルトビア公爵家の一族が求めるレベルは高い。
高い教養や作法は社交界を渡る上で武器となる。
公爵という高い身分故におもねる者が多い反面、反目する者も多い。ルトビア公爵家では、家と自分の身を守る為に高い教養と作法を身につけることが必須とされている。
家を継ぐ嫡男は当然のこと、独立して身を立てなければならない兄弟も、下心を持って近づいてくる者を見抜き、付け込まれて利用されないだけのものを身につけていなければならない。
ただ在学中のアダムは、もう公爵家の者として望まれるすべての教養や作法を身につけていた。
そしてデミオンより年下であり、まだ学園に入学前のライアンもまた、一族が納得するだけの教養と作法を身につけるまであと少しとされていた。
兄とは随分と差がついてしまった。
弟よりも下とされている。
一族からのプレッシャーは相変わらず強い。
そんな焦燥の中、デミオンはアンジュと出会ってしまった。
そしてアンジュに安らぎを感じたデミオンは、努力することを止め、楽な方へと流れていってしまった。
「それはデミオン殿が選んだことで、ライアン叔父様のせいではありません。弟より劣っていようとも、変わらず努力を続けていれば一族の望む域まで達することはできたのです。デミオン殿にはそれだけの才能がありました。デミオン殿は自らそれを捨てたのですわ。……ですが叔父様は、ご自身にお子ができて末の弟が他の兄よりも優秀だと言われる様になった時に、2人の兄が…、特にルーファス兄様がデミオン殿のようになってしまうのではないかと不安になられたのではないでしょうか」
幼い頃から弟の方が優秀で、弟が家を継げないことを残念だと言われている。
普通であれば兄弟仲が悪くなり、ルーファスがいじけて勉強を放棄したり粗暴になったとしても不思議ではない。
だけどライアンが早くからルーファスを次期当主と定めたことで、ルーファスはロバートにその座を奪われるのではないかという疑念を持つことなく次期当主としての勉強に真面目に取り組むことができた。
ルトビア公爵家の一族から離れたことで過度のプレッシャーを与えられることも無く、弟との差を実感する場面も減った。
「貴族は生まれた順番で将来が決まります。それが不公平…とも言えますが、その決まりがあることで跡目争いを防ぐことができています。ルーファス兄様が余程の無能でない限り、長男が家を継ぎ、次男と三男は家を出て独立する。決められたことを守ることを良しとする、とても公平な方ですわ」
「これはデミオン殿やアンジュの処罰の時に父から聞いたことですが、学園に入学するまでのデミオン殿は優秀な方だったそうですわ。学齢前の子どもですからまだまだ学び、身につけなければならないことは沢山ありましたけれど、同年代の子の中では十分に優秀な子として評価を得ていたようです。ですがデミオン殿のすぐ傍には更に優秀な方々がいました。兄のアダムと弟のライアンです」
アダム、デミオン、ライアンも1つずつ年が違う兄弟だ。
アダムは家庭教師がつくようになってからすぐに優秀だと言われる様になったらしい。
一族の者は変わらず3人共に厳しく接していたし、幼い頃のデミオンは優秀なアダムを自慢にしていた。
それはデミオンに家庭教師がつくようになってからも変わらなかった。
兄の勉強の進みが早いことは知っていたが、デミオンに家庭教師がつくまでに1年の差があった。それにこの頃の年代は1年違うと身体の発達が全然違っている。
だから兄に追いつけないのは当然のことだと思っていた。
だけどライアンが教育を受けるようになり、周りにその才能を認められるようになると徐々に焦りを見せるようになったという。
「ライアン叔父様は、ロイ兄様と違って教育を受けるようになってすぐに才覚を現したわけではないそうです。学問も初めの内はデミオン殿と同じ程度の進み具合だったようですが、年を重ねるにつれてその差が埋まり、デミオン殿が学園に入学する頃にはライアン叔父様の方が先に進んでしまっていたそうです」
但しそれはデミオンが怠けていたからではない。デミオンは他から見れば十分に優秀だった。ライアンが優秀過ぎたのだ。そしてアダムはそんな2人よりも更に優秀で、ライアンと比べても随分と先に進んでいた。
だが学齢前のこの時点ではまだ教育を受けている最中である。公爵家の人間として望まれるものがすべて身に着いていなくても仕方がないことで、公爵夫妻も一族の者も卒業までに身につければ良いと考えていた。
そもそもルトビア公爵家の一族が求めるレベルは高い。
高い教養や作法は社交界を渡る上で武器となる。
公爵という高い身分故におもねる者が多い反面、反目する者も多い。ルトビア公爵家では、家と自分の身を守る為に高い教養と作法を身につけることが必須とされている。
家を継ぐ嫡男は当然のこと、独立して身を立てなければならない兄弟も、下心を持って近づいてくる者を見抜き、付け込まれて利用されないだけのものを身につけていなければならない。
ただ在学中のアダムは、もう公爵家の者として望まれるすべての教養や作法を身につけていた。
そしてデミオンより年下であり、まだ学園に入学前のライアンもまた、一族が納得するだけの教養と作法を身につけるまであと少しとされていた。
兄とは随分と差がついてしまった。
弟よりも下とされている。
一族からのプレッシャーは相変わらず強い。
そんな焦燥の中、デミオンはアンジュと出会ってしまった。
そしてアンジュに安らぎを感じたデミオンは、努力することを止め、楽な方へと流れていってしまった。
「それはデミオン殿が選んだことで、ライアン叔父様のせいではありません。弟より劣っていようとも、変わらず努力を続けていれば一族の望む域まで達することはできたのです。デミオン殿にはそれだけの才能がありました。デミオン殿は自らそれを捨てたのですわ。……ですが叔父様は、ご自身にお子ができて末の弟が他の兄よりも優秀だと言われる様になった時に、2人の兄が…、特にルーファス兄様がデミオン殿のようになってしまうのではないかと不安になられたのではないでしょうか」
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普通であれば兄弟仲が悪くなり、ルーファスがいじけて勉強を放棄したり粗暴になったとしても不思議ではない。
だけどライアンが早くからルーファスを次期当主と定めたことで、ルーファスはロバートにその座を奪われるのではないかという疑念を持つことなく次期当主としての勉強に真面目に取り組むことができた。
ルトビア公爵家の一族から離れたことで過度のプレッシャーを与えられることも無く、弟との差を実感する場面も減った。
「貴族は生まれた順番で将来が決まります。それが不公平…とも言えますが、その決まりがあることで跡目争いを防ぐことができています。ルーファス兄様が余程の無能でない限り、長男が家を継ぎ、次男と三男は家を出て独立する。決められたことを守ることを良しとする、とても公平な方ですわ」
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