【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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3章

135 懇願②※

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「レイヴン様っ!あの、先に湯浴みを…」

 食事はともかく湯浴みをして身を整えたい。
 
 アリシアがそう言うだろうことはわかっていた。
 だけどレイヴンにアリシアを離すつもりはない。

「嫌だ、離れないで。ごめんね、アリシア。だけど嫌なんだ。お願いだから離れないで」

 アリシアの嫌がることはしたくない。
 ずっとそう思っていた。
 だけど今日は守れそうにない。

 アリシアと離れることを思うと焦燥が募る。
 もしアリシアがレイヴンから離れて1人であの扉の向こうへ行ってしまったら。考えただけで叫び出しそうだ。

 そんなレイヴンの狂おしい気持ちが伝わったのだろうか。
 元々弱弱しかったアリシアの抵抗がなくなった。

「愛している、アリシア」

 レイヴンはアリシアの髪を指に絡めて口づける。

 アリシアだってあれだけ口づけていたのだから体に火がついているはずだ。
 今は羞恥心やこれまで守られてきた習慣を気にする気持ちが勝っているけれど、レイヴンに抱かれることを嫌がっているわけではない。

 そう信じてレイヴンは口づけを繰り返す。
 舌を差し込み、アリシアの舌に絡めて舐め上げる。

「ん…っ」

 繰り返す内にアリシアの甘い吐息が聞こえるようになった。
 
 レイヴンは頬から耳元、首筋へ口づけながら背中のファスナーを下ろしていく。
 簡単なワンピースなので脱がすのも簡単だ。

 露わになった背中を撫でながらアリシアの体をベッドの上へ横たえていくうちに堪らなくなって自分のシャツを乱暴に脱ぎ捨てる。
 細身のスキニーパンツが前を圧迫していて苦しい。
 レイヴンは早急な仕草でバックルを外すとベルトを引き抜き、ファスナーを下ろした。

 もう我慢できない。

 下着をはぎ取りながらアリシアの体へ口づけていく。
 柔らかい胸に触れ、弾力のある膨らみを揉みしだく。
 僅かに身をよじって逃げようとするアリシアの体を逃がさないように体重を掛けて抑えつけ、その頂を口に含んだ。

「あぁっ…!」

 アリシアの甘い声が上がる。
 それだけでレイヴンは堪らなくなる。
 いつもの様に乳房へむしゃぶりつきながら、ふと冷静になる自分がいた。

――今なら願いを聞いてくれるかもしれない。

 いつもとは違う、非日常な今日なら。

「アリシア、……僕の背中に手をまわして?」

「…え?」

「……抱き締めて、欲しい」

「っ!!」

 それはレイヴンが密かに願い続けていたことだった。
 アリシアを抱いていてもアリシアから抱き締められることはない。
 レイヴンがどれ程求めていてもアリシアはレイヴンを愛していない。
 だから仕方がないと思っていた。

 だから、胸ばかり舐めるようになっていた。
 執拗に愛していたら、焦れて訳が分からなくなったアリシアが頭を引き寄せるように手をまわしてくれるから。
 抱き締められているような気分になれるから。

 だけど今なら。
 本当に抱き締めてくれるかもしれない。
 アリシアは僕を愛してくれている…から。
 

 アリシアはレイヴンの泣き出しそうな顔を見つめた。
 その顔を見ていると、なにか込み上げてくる気持ちがある。

 アリシアは体に沿って投げ出されていた腕を持ち上げ、レイヴンの背中へまわした。
 そのままぎゅっと抱き締める。

「アリシア……っ!」

 レイヴンが歓喜の声を上げる。
 余程耐えていたのだろう。早急に秘所をまさぐられてすぐに剛直が入ってきた。
 アリシアの秘所もいじられる前から既に濡れていた。
 レイヴンの昂ぶりを難なく受け入れたそこは、レイヴンをきゅうきゅうと締め付ける。

「あっ…!あぁ……っ!」 

 アリシアが声を上げる。
 堪らなくて、レイヴンはがむしゃらに腰を打ち付けた。
 アリシアも応えるように腰を振る。
 レイヴンの背中へまわした手に力が入り、背中に爪を立てていることにも気がつかずに喘ぎ続けた。



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