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番外編・処罰の後
3 処罰の後
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翌日は起きた時から散々だった。
ベッドサイドにある鈴を鳴らすとやってきたのはマーサ1人だけだった。
いつもはエミリー付きの侍女が1人と、他にも数人の侍女がやってきて世話をしてくれる。
彼女たちはどうしたのかと尋ねれば、皆解雇されて既に邸を出ていったという。侍女たちとは仲良くしていたと思っていたのに、一言の挨拶も残されていなかった。
落ち込むエミリーにマーサが冷めた目を向ける。
「あなたに媚びを売ってももう何の得もありませんからね」という言葉に愕然とした。
彼女たちが優しかったのは、侯爵夫妻に気に入られて甘い汁を吸う為に、夫妻が溺愛する娘に媚びを売っていただけなのだ。
エミリーはのろのろとベッドから降りた。
それから身支度を整えるのにマーサは手を貸してくれなかった。
傍にいて指示を出すだけで、顔を洗う水を桶に溜めて台へ運ぶのも、着替えるのも、髪を梳いたり化粧をするのも、全部エミリーが自分でするという。
水を入れ過ぎた桶は重くて運べずにひっくり返して水を浴びたし、水を浴びると寒くて先に着替えるしかなくなった。
それもマーサは「夜着を脱いで下さい」「体を拭いて下さい」「こちらに着替えて下さい」と指示するだけで手伝ってくれない。
コルセットは1人でつけられないからと簡単なワンピースを渡され、脱いだ夜着は後で自分で洗濯しろと言う。
背中のファスナーを上げられずに癇癪を起すと、マーサは「あなたがそのままでも私は困りませんから」と言って出て行ってしまった。
優しく宥めてくれないマーサに、エミリーは呆然とする。
引っ込みがつかなくなってそのままでいたら、本当に昼までそのままだった。
昼になると流石にお腹が空いていた。
それに扉越しに聞こえる声が気になる。揉めているわけではなさそうだが、聞いたことのない男の声がずっと聞こえているのだ。
それも1人や2人ではない。
何が起きているのか様子を見に行きたかった。
仕方なく言われた通りに水を溜めて顔を洗う。
今度はひっくり返さず運べるように少ししか水を入れなかったら少なすぎて掬うのに苦労した。
それでも1人でやり遂げたのだ。
顔は水で洗って拭いただけ、ワンピースは背中のファスナーが途中までしか上がっていないし、胸元や袖が濡れている。
髪は起きた時のままでぼさぼさだし、素足に部屋履きを履いただけだ。
今までなら考えられない様な格好だったが、それでもエミリーは部屋を出た。
部屋を出ると邸の中は騒然としていた。階下から複数の男たちの声や足音が聞こえてくる。
エミリーは急いで玄関ホールへ続く階段へと向かい、そこで信じられないものを見た。
男たちが調度品を抱えて玄関から運び出しているのだ。
「嘘でしょう…?」
呆然と呟く。
玄関に近い物から運び出されたようで、玄関ホールはすっかり寂しくなっていた。
花が活けられた大きな花瓶も、花瓶を乗せていた飾り棚も、壁に掛けられたいくつもの絵画もなにもない。
ハッとして振り返れば、ここまで続く廊下に掛けられていた絵画も、花瓶が置かれた飾り棚も、なんだかわからなかった置き物もすべて無くなっていた。
玄関扉の近くに立つ家令のクレールが調度品を運び出す男たちの動きを見ながらあれこれ指示をしている。
クレールはあんなに生き生きした顔をしていただろうか。
エミリーは呆然としながら、そんなことを考えていた。
ベッドサイドにある鈴を鳴らすとやってきたのはマーサ1人だけだった。
いつもはエミリー付きの侍女が1人と、他にも数人の侍女がやってきて世話をしてくれる。
彼女たちはどうしたのかと尋ねれば、皆解雇されて既に邸を出ていったという。侍女たちとは仲良くしていたと思っていたのに、一言の挨拶も残されていなかった。
落ち込むエミリーにマーサが冷めた目を向ける。
「あなたに媚びを売ってももう何の得もありませんからね」という言葉に愕然とした。
彼女たちが優しかったのは、侯爵夫妻に気に入られて甘い汁を吸う為に、夫妻が溺愛する娘に媚びを売っていただけなのだ。
エミリーはのろのろとベッドから降りた。
それから身支度を整えるのにマーサは手を貸してくれなかった。
傍にいて指示を出すだけで、顔を洗う水を桶に溜めて台へ運ぶのも、着替えるのも、髪を梳いたり化粧をするのも、全部エミリーが自分でするという。
水を入れ過ぎた桶は重くて運べずにひっくり返して水を浴びたし、水を浴びると寒くて先に着替えるしかなくなった。
それもマーサは「夜着を脱いで下さい」「体を拭いて下さい」「こちらに着替えて下さい」と指示するだけで手伝ってくれない。
コルセットは1人でつけられないからと簡単なワンピースを渡され、脱いだ夜着は後で自分で洗濯しろと言う。
背中のファスナーを上げられずに癇癪を起すと、マーサは「あなたがそのままでも私は困りませんから」と言って出て行ってしまった。
優しく宥めてくれないマーサに、エミリーは呆然とする。
引っ込みがつかなくなってそのままでいたら、本当に昼までそのままだった。
昼になると流石にお腹が空いていた。
それに扉越しに聞こえる声が気になる。揉めているわけではなさそうだが、聞いたことのない男の声がずっと聞こえているのだ。
それも1人や2人ではない。
何が起きているのか様子を見に行きたかった。
仕方なく言われた通りに水を溜めて顔を洗う。
今度はひっくり返さず運べるように少ししか水を入れなかったら少なすぎて掬うのに苦労した。
それでも1人でやり遂げたのだ。
顔は水で洗って拭いただけ、ワンピースは背中のファスナーが途中までしか上がっていないし、胸元や袖が濡れている。
髪は起きた時のままでぼさぼさだし、素足に部屋履きを履いただけだ。
今までなら考えられない様な格好だったが、それでもエミリーは部屋を出た。
部屋を出ると邸の中は騒然としていた。階下から複数の男たちの声や足音が聞こえてくる。
エミリーは急いで玄関ホールへ続く階段へと向かい、そこで信じられないものを見た。
男たちが調度品を抱えて玄関から運び出しているのだ。
「嘘でしょう…?」
呆然と呟く。
玄関に近い物から運び出されたようで、玄関ホールはすっかり寂しくなっていた。
花が活けられた大きな花瓶も、花瓶を乗せていた飾り棚も、壁に掛けられたいくつもの絵画もなにもない。
ハッとして振り返れば、ここまで続く廊下に掛けられていた絵画も、花瓶が置かれた飾り棚も、なんだかわからなかった置き物もすべて無くなっていた。
玄関扉の近くに立つ家令のクレールが調度品を運び出す男たちの動きを見ながらあれこれ指示をしている。
クレールはあんなに生き生きした顔をしていただろうか。
エミリーは呆然としながら、そんなことを考えていた。
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