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番外編・処罰の後

25 処罰の後(15)

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「詫び状と招待状の準備が終わったわ。クレールが明日発送してくれるそうよ」

「わかった。それじゃあ伯爵家の分も明日出すよう伝えておくよ」

 侯爵邸を訪れたジョッシュに準備が終わったことを伝えると、ジョッシュはホッとしたように頷いた。だけど表情は暗いままだ。
 マーサに叱責を受けてからジョッシュは暗い表情をしていることが増えた。
 エミリーには何も話してくれないからわからないけれど、きっと伯爵家でも叱られたのだと思う。

 マーサも他の使用人たちも、ジョッシュに冷たい。最近は少しだけエミリーに優しくなったから、それがよくわかるようになった。
 どうしてジョッシュに優しくしてくれないのか、マーサに訊いてみたことがある。
 マーサは「私はエミリー様の面倒を見るよう言われましたが、ジョッシュ様の面倒を見るように、とは言われておりません」と言った後、大きく溜息を吐いた。

「私がジョッシュ様へ言ったことを覚えておられますか?ジョッシュ様はジェーンお嬢様の婚約者でした。これは元々ジェーンお嬢様とジョッシュ様の結婚式だったのです。ですが結婚式の準備をしていたのはジェーンお嬢様だけで、ジョッシュ様は何もしていません。エミリー様も詫び状や招待状を書くのは大変だったでしょう?そうして大変な思いをしている時に、婚約者が――この場合もジョッシュ様ですが、同じ邸の中で別の女性と関係を持っていたらどう思われますか?」

「っ!!」

 エミリーは子どもの頃からジョッシュが好きだった。ジョッシュが他の女性と親密にしていたらと思うと、胸がきゅっと締め付けられる。
 それが同じ邸の中で。
 エミリーが結婚式の準備をしている時に。

 考えただけで泣きそうだ。

「お義姉様はジョッシュ様のこと…?」

「婚約が調った頃から慕っておられました」

「っ!!」

 エミリーの顔からさっと血の気が引いた。
 以前はジェーンの婚約者を奪ってやったのだと得意になっていた。
 エミリーがいつも1人なのはジェーンのせいだと思っていたから、ジェーンを傷つけられることが嬉しかったのだ。

「私たち、お義姉様にとても酷いことをしていたのね…」

「そうですね。私たちは、とても幸せになれるとは思えない結婚式の準備を黙々と続けていたジェーンお嬢様を忘れられません。ですから私たちのジョッシュ様への態度は期待しないでいただけますか」

 エミリーはこくりと頷いた。

 

 伯爵家の分の詫び状を家族へ任せてから、ジョッシュは残っている式の準備を進めていた。
 これまではすべてジェーンが行っていたので何をすれば良いのかわからない。ロバートも何も教えてくれなかった。
 ジョッシュに残された道は家族に教えてもらうことだけである。



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