【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 4章

53 応接間での交流②

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 アリシアのところへも挨拶に来る少女たちはいた。王子様と同じくらいお姫様に憧れる少女は多い。
 レイヴンの前で頬を染めていた少女たちも、アリシアの前では目を輝かせている。

 貴族の令嬢たちも挨拶に来た。
 彼女たちはドレスの色が持つ意味を理解している。晩餐が始まるまでは、「王太子殿下の側妃候補に!」と意気込んでいた令嬢やその両親も、アリシアのドレスや2人の仲睦まじい様子を見て諦めたようだ。

 そうなると次に狙うのは王太子宮の侍女である。
 貴族の令嬢がその体面を損なわずに働ける場所は少ない。その中でも王太子宮の侍女やメイドは花形で、憧れの職なのだ。

 それに彼女たちは結婚を諦めたわけではない。
 王太子宮の侍女となれば箔がつくし、レイヴンの傍近くで働く内にあわよくば・・・・・と思っているのかもしれない。そうでなくても高位貴族の令息と知り合う機会は増える。
 アリシアが嫁いでからこれまでにも、数人の侍女やメイドが職務上知り合った騎士や文官と結婚していた。

 アリシアは少女たちの質問に丁寧に答えた。
 実際に王太子宮で働くには登用試験があり、学園での素行や成績も考慮される。また容姿も重要視される為、優秀であっても器量が悪いと落とされる。他にも本人を含めた四親までの身辺が調べ上げられ、問題ない場合のみ合格となる。
 宮女はそれだけの厳しい審査を経て選ばれているからこそ箔がつくのだ。
 ここにいる令嬢の内、1人でも王太子宮で再会できたら、それは感動的なことに違いない。

 ホーキンス子爵の令嬢も両親に付き添われて挨拶に来た。
 代官であるホーキンス子爵は初めからアリシアに好意的な人物だ。晩餐の席でも、「妃殿下が領地のことを気に掛けて下さるのは有難いことだ」と口にしていた。

「ホーキンス子爵家の次女で、ナタリーと申します」

 そう言ってカテーシーをする令嬢は初々しく、随分と若い様に見えた。
 そんな気持ちが伝わったのか、ホーキンス子爵が申し訳なさそうに口を開く。 

「申し訳ありません、妃殿下。ナタリーは今年14歳でして、まだデビュタントを迎えておりません。ですが両殿下と同席できる機会など滅多にないことですから、本日は同行させてしまいました」

 この国では15歳でデビュタントを迎えるのが一般的だ。
 ただそれは法で決まっているわけではなく、16歳で学園に入学する前にデビュタントを済ませようという令嬢が多いだけである。
 社交界とは結婚相手を探す為の場所でもあるので、早くデビュタントを済ませた方が良い相手が見つかり易いと、年の近い姉妹がいれば姉の年齢に合わせて同時にデビュタントを済ませる家もあった。
 そう考えると14歳のナタリーがデビュタントを済ませていないのは、それほどおかしなことではない。
 ただホーキンス子爵は、晩餐会という正式な場所へデビュタントを済ませていない娘を連れて来たことを気にしているのだ。

 アリシアは扇で口元を隠しながらコロコロと笑った。

「今日のことは構いません。お気になさらないで」

「ありがとうございます」

 少女の顔にも安堵の笑みが浮かぶ。
 アリシアはナタリーに笑いかけた。 

「デビュタントは来年かしら?王宮でまたお会いできるのを楽しみにしていますわ」

「ありがとうございます!」

 ナタリーが元気な声で応える、
 アリシアは溌溂とした少女の姿に笑みを深めた。




 アリシアの元へは男性も多く訪れた。
 かつて男たちが王妃に気に入られて中央で役職を得たというのは、そういった意味で気に入られた・・・・・・のが大きい。
 それを知っている彼らは、アリシアに媚びを売ろうとする。

 但し、それは悉く失敗に終わる。

 彼らがアリシアににじり寄り、甘い言葉を吐こうとする度に隣に座ったレイヴンがアリシアの腰を引き寄せる。
 令嬢の相手をしているはずのレイヴンに引き寄せられたアリシアは、レイヴンを軽く睨んで苦情を言う。
 そのレイヴンを睨む表情からも、笑いながら謝るレイヴンからも互いへの愛情が溢れていて、男たちは引き下がるしかなかった。


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